貴方を想いますわ。
「ーぅっぷ」
「ー・・・・最悪」
グレイ様が、白い顔を更に青ざめ、ぐったりとしていらっしゃるわ。
「大丈夫ですの?ご気分が優れなくて?まぁ!どうかなされましたの?一体何が原因かしら??」
「・・・・アクヤック嬢。原因わかってるよね?」
「あら?何が原因ですの?私良くわかりませんわ」
ハンスの野菜攻めが原因だなんて、私、知らなくってよ?
オホホホホホホホ。
にこやかに微笑む私に、グレイ様は大きな溜息をつかれますわ。
「ー君って良い性格してるよね」
「あら?グレイ様ほどではありませんわ。オホホホホ」
うふふ。悪魔が野菜で弱ってますわ。追い討ちをかけるならいつですの?ー今でしてよ!?
「ご気分が優れないのでしたら、お飲み物などいかが?ほら。こちらをどうぞ」
ほら、優しいヴィーちゃんは、ストローまで差して差し上げましたのよ。後はお口にいれるだけですわ。御遠慮なさらずにどうぞお飲みになって?グレイ様?ほら。どうぞ。ナウ!
「・・・・」
「さぁ。こちらをググッと!!」
「・・・・」
「まぁ、私が用意した飲み物は気に入りませんか?グレイ様を想って買って参りましたのに」
今、私は中庭の噴水に腰かけ、グレイ様を介抱(する振りを)していますの。
他の4人は、レオニダスがどうしてもと言うので演習場へ行きましたわ。お腹がいっぱいで動けない私と、気分の優れないグレイ様は暫し中庭で休憩中ですの。
悪魔と2人きりというのは、些か不安でいっぱいでしたが・・・・ふふふ。こうやって悪魔成敗ができるのだと思えば、この時間も悪くはないですわね。
こうなれば、奥の手を使ってでも徹底的にギャフンとやっつけて差し上げてよ!
「グレイ様は・・・・私がお嫌いですのね。」
よよよとあからさまに悲しみを演じて見せましてよ。涙目。上目遣いのダブルコンボですわ!ふふふ。女優ヴィーちゃんの名演技!どんな殿方だってイチコロですのよ!(※ただし、ハンスは除く。)
「・・・・」
あら、反応がありませんわ。
寧ろものすごく冷めた視線を感じましてよ。
「グレイ様?」
「アクヤック嬢・・・・いや。ヴィクトリア嬢」
「はい?」
「ジュースを僕に飲ませたいんだね?」
「ええ」
沈黙・・・・居心地が悪くってよ。
「飲んであげてもいいよ」
「せっかく、君が僕を想って買ってきてくれたんだものね?」
何故そこまで【想い】を強調なさるの?その笑顔・・・・背筋にぞわぞわとしたモノが走りますわ!
「いえ。その・・・・ご気分が優れないのでしたら、無理にとは・・・・」
「なんで?気分を和らげる為に用意してくれたんだよね?僕の為を想って」
「君の気持ちが籠ったジュースを、無下になんてできないよ」
がっ!とジュースを持つ腕を捕まれますわ。
あっ。これ。逃げられない。
「あの。本当に宜しくってよ?私が飲みますし」
むしろこれ、飲ませると取り返しのつかない事になりそうな・・・・気の所為かしら。
「気付いてるかと思うけど。僕ね。野菜苦手なんだよね」
ええ。あの様子を見ればわかりましてよ。
「それで、ヴィクトリア嬢。これは、青汁・・・・だよね?」
「・・・・」
「僕・・・・やられたらやり返す質なんだ。それも完全犯罪で完膚無きまでに徹底的に」
ふふふ。
オホホ。
やだわ。
至近距離で笑い合ってる筈ですのに、殺伐とした空気が流れますわ。
心無しか、私達の周りだけブリザードが吹き荒れていましてよ?
んん?物理的にツンドラ状態ですわ??
ー本能が、エマージェンシーと警告しますわ!避難経路は何処ですの!?
ヴィー。にげてー。




