此処にキスしたい
本日3話更新してます。
前話の続きになります。
息抜き代わりに、気軽な感じで読んで下さいませませ。
◆◆◆
「キス・・・・」
BMRの部室で、魔道具の修繕をしていた手を止め・・・・ふと昨日の女子会を思い出す。キスの場所だなんて、意識した事がありませんでしたわ。昨日は唇にして欲しいだなんて言ったけれど・・・・他の場所にもされてみたい。ハンスにたくさんキスされたい。ああ、私ったらはしたない。頭の中は、キスの事ばかり。
妄想で体が火照ってきますわ! だめよヴィクトリア! クールダウン! ソークール! 汗で濡れたらそれこそアウトですわ!
そう思うものの、目は対面に座るハンスの唇を追ってしまう。緩く弧を描く口元。薄く形の良いソレ。ハンスは一体どんなキスをするのかしら。フレンチ? ディープ? 甘いの?それとも苦いの?
そういえばハンスの・・・・
「キスしたい場所って・・・・どこなのかしら・・・・」
「ん?どうしたの?ヴィクトリア」
右横に座っているグレイ様が不思議そうな顔をして、私の方を覗き込んできましたわ。しまった! 隣に悪魔が居たのをすっかり忘れていましたわ! 今の言葉・・・・聞こえてませんわよね?ね? 大丈夫よね?
「・・・・なんでもありませんわ。おほほほほほほ。さぁ~修繕修繕~。魔道具解体って面白いですわねー。うふふふふふふ」
いけないいけない。キスだなんてはしたない事を考えていただなんて・・・・腹黒にバレたら、何を言われるかわかったもんじゃありませんわ。反応ないからセーフよね? 悪魔だからって地獄耳な訳ではありませんのね。あー良かった。
「ふーん。キスの場所なんか気にしてるから、誰かにキスでもされたのかと思ったけど・・・・。というか、修繕しなきゃいけないのに、解体してどうするの? それ。スクラップは頼まれてないよ? 」
「動揺しすぎ」
ーくっ! やはり聞こえてましたのね! しかも、くすくすと底意地の悪い笑顔を浮かべてますわ! 何か思い付いたのね!全ヴィクトリアに告ぐ! 配置につけ! これより対グレイ陣形をとる! 悪魔の奇襲に備えよ! さぁ! 悪魔! 心構えはばっちりですわ! ばっちこーいですわー!
「そんなに興味あるの?キスに」
「別にありませんわ! 昨日、フィロス達とそんな話をしたのを思い出しただけですわ! 」
「ふーん。でも、目はハンスの唇に釘付けだよね? 」
がフッ!
ば・・・・バレてる・・・・。
「何処にされたいとか・・・・妄想でもしてたの? ・・・・やーらしぃ。」
「ひゃうっ!! 」
唐突に耳元で囁いてきましたわ!! なっ・・・・ななな何をなさるの!? このドSセクハラ!! し・・・・心臓が抉られる!! この悪魔・・・・的確に心臓を止めにきていますわ!
「ちなみに僕がしたい場所は、手首かな。あっ・・・・ヴィクトリアには耳を攻めたい」
「はい!? 」
にこにこと、何を仰ってるの? このセクハラ悪魔は!
「だって君、此処弱いでしょ。反応良すぎてすごく愉しい」
「はあぁあ!? 」
私の知らない私の弱点を悪魔に把握されてますわ!! ヒィィ! 無理無理無理! 全員退避! ヴィクトリア緊急避難よ!! あっ丁度よい所にレオニダスが!!
「レオニダス! 貴方ちょっとこちらにいらっしゃい! 」
「ん? お嬢どーした? 俺、これから壊した壁の修繕に行かなくちゃ・・・・「いーからきなさい! 」・・・・はい! 」
レオニダスは、慌てて私の方へと駆け寄ってきますわ。よーしよしよし! いい子ね! 賢いですわ!
「レオニダス、私が修繕に行くから貴方は此処でグレイ様と一緒に・・・・」
「壁の修繕は、オズがルビアナ嬢とインカ嬢と行ったから大丈夫だよ。レオニダスは、魔道具の修繕を手伝ってくれるかな? 」
にっこり笑い、レオニダスを私の左横に座らせるグレイ様。
ジーザス! 身代わり作戦が失敗しましたわ! 新たにレオニダスという不発弾を抱えてしまいましたわ!! お馬鹿わんこに魔道具の修繕って・・・何を考えてますの!? グレイ様!! 危険よ! 物理的な危険が伴いますわよ!?
◆◆◆
「キスの場所?んなもん聞いてどーすんだよ」
何故か部室で、何処にキスをしたいか・・・・そんな話になっていますわ。うう。なんだか居心地が凄まじく悪い。メンバーが私以外、男性というのが精神的にきますわね。ルビアナとフィロス・・・・早く戻ってきて! 私・・・・針のアルマジロですわ!
「手の甲にでもしときゃいーか? 」
グレイ様の質問に、面倒くさそうに答えるレオニダス。貴方、こういった話題は、興味がないのね。あら? でも好きな方がいるって仰ってたわよね?
「手の甲? 」
「騎士がするなら、そこだろ」
「好きな相手の場合でも? 」
グレイ様が、尋ねる。私も同じように思いましたわ。
「あ? 好きな奴にか? するなら口だろ? それ以外何処にすんだよ」
その言葉に、グレイ様はふふふと笑いましたわ。悪魔の微笑・・・・貴方・・・・レオニダスに何を吹き込む気?
「そこだけじゃないよ。キスする場所は・・・・ねぇ。ハンス? 」
対面で作業をしていたハンスは、悪魔の呼びかけに一瞬顔を顰め口を開く。
「あーそーだな。恋人同士なら、色んな場所にするんじゃないか? 」
「そうなのか? 例えば? 」
「頬や額・・・・」
「ハンス。親兄弟でもする奴だろ。それ」
レオニダスは、ハンスの答えにつまらなそうな顔をし呟く。ええ。それは恋人同士じゃなくてもする場所よ。
「大体・・・・場所なんて何処でもいーだろ」
そう呟いたレオニダス。一瞬、その顔に陰が差したような・・・・。
「できるならそれで。する相手がいるならそれで。何処にするとか・・・・そんなのする相手がいなけりゃ、考えたって仕方ねーよ」
投げやりな態度ですわね。確かに、好きな方とできるなら・・・・それで十分ですけれど・・・・相手の此処にしたい。とかないのかしら?それに先程から酷くイラついてるようですわ。レオニダスらしくない。
「ハンスはどうなんだよ。好きな奴の何処に、キスするんだ? 」
不機嫌な声で、レオニダスがハンスに振りますわ。
ああ! レオニダス! 貴方、ナイスよ! ナイス! グッジョブですわ! ハンスは、好きな相手の何処にキスをするのかしら? 唇? おでこ? それとも・・・・髪?
「時と場合による」
「あ? 時と場合によるって? 」
きょとんとした顔をするレオニダス。んん? どういう事かしら? 私もきょととんよ?
「その時にならないと何処にするかなんてわからないし、感情次第でする場所なんて変わる」
ハンスが、そう言いますわ。
「流石、大人は言う事が違うね。経験則からの言葉かな? 因みに、今まで何処にキスを? 」
ぱちぱちと手を叩き、関心したように言うグレイ様。
ー経験則? んん? どういう事かしら? ハンス・・・・まさか・・・・キスの経験があって??
思わずギロりと睨み付けると、ハンスがサッと視線を逸らしましたわ。左眉がくっと下がる。ハンス・・・・なぜ狼狽えてますの? んん? 正直に仰って。ふふふ大丈夫よ。キスくらいで嫉妬なんて致しませんわ。ハンスは大人ですもの。経験のひとつやふたつくらい、ありますわよね? ねえ? ハンス?
「お嬢・・・・殺気が漏れてる・・・・」
「ふふふ。何を仰ってるの? レオニダス。殺気? そんなの木の精、森の精ですわ。オホホホホホ」
◆◆◆
「・・・・一般論を語っただけだ」
私から目を逸らしながら、ハンスが答えますわ。なるほど。一般論ね。でも・・・・
「僕は、ハンスの個人的な意見を聞きたいんだけどな」
私もですわ。気が合いますわね。グレイ様。不本意ですけれども、同意見ですわ。
「だから・・・・それは、その時による・・・・」
手元の魔道具をカチャカチャと弄りながら、ハンスはもごもごと呟きますわ。
「ふーん。なら、状況によって色んな場所にしちゃうんだね」
「・・・・そういう事になるな」
「脚を出されたら、そこに口付けるって事? 」
「そうだな」
「ふーん。因みに脚なら何処に? 」
グレイ様・・・・妙に脚を推しますわね。貴方、もしや脚フェチ? その銀糸の髪をかき揚げ、白く長い指先で貴婦人の脚を持ち上げ、そこに口付けをするグレイ様・・・・。やだわ、絵になり過ぎ!
「ふともも? 脛? 足の甲? つま先? 」
机に肘をのせ、両手を組み小首を傾けハンスに質問をするグレイ様。
「・・・・足の・・・・甲? 」
ハンスは、困惑しながら答えましたわ。
「なるほどね。ふふふ。ハンスにぴったりだね」
ニコッと笑い満足そうに頷くグレイ様。えっと・・・・グレイ様? 一体何にご満足されたの? 私にも教えて下さらない?
窺うようにグレイ様を見ると、悪魔の微笑がそこに! あっ目が合ってしまいましたわ。呪われる!
「僕は、ふとももにしたいかなー。うん。脚の場合はね」
だーかーらーその含みのある言い方は、なんですの! 聞きたい! 聞きたいけれど、薮をつついたら蛇がでてきそうですわ! ああ、何かで聞いた事がありますのよ! 蛇は悪魔の化身だって! 蛇=悪魔=グレイ様! つまり、そういう事ですのね!!
「ヴィクトリア・・・・僕に対して、何かとんでもなく失礼な事考えてるよね。うん。ご期待に添ってあげてもいいんだよ? 」
ぞわわ
「いいえ! 何も! 私、何も考えていませんわ! 」
「あーうん。確かにお嬢は、何も考えてないだろなー」
隣で相槌を打つレオニダス。ちょっと貴方。それ意味が微妙に違ってません?
「おい。何を騒いでるんだ、お前等。煩いぞ」
扉が開くと同時にオズワルド皇子の不機嫌な声が。ルビアナとフィロスも戻ってきたのね。良かった。これでこの話は、おしまいね。
「あーん。疲れたー。ヴィーちゃん、癒して~」
戻ってくるなり、私に抱きつくフィロス。
「スキンシップが過ぎんるんじゃない? 」
グレイ様、もっと言ってやって!
「いーの! 同性なんだから!ヴィーちゃん成分補給しないと、私死んじゃうんだからー」
「なら死ねば? 」
さらりと笑顔で言い捨てる超絶美形ドS男!容赦がない!
「ふふ。私が死んでも、第二第三のフィロスがヴィーちゃんを襲うわ」
ドSの口撃にびくともしないフィロス! ヒロインったら、鋼のハートでできているのね! 流石だわ!
「それは、面倒だね。根絶やしにできればいいのに・・・・」
「そう。私を一人みかけたら、30人はいると思ってもらわなくちゃ! っというわけで補給でむぎゅー! 」
「何が【というわけ】ですの!? 私、納得してませんわ! あとフィロス、貴女、G的な何かなの!? 離しなさい、このおバカーーーーー!! 」
どさくさに紛れて私に抱きつくフィロス。オズワルド皇子が、その首根っこを捕まえ、ぺいっと引き剥がしましたわ。まさか、オズワルド皇子に助けられるなんて・・・・
「騒ぐなと言っただろうが。・・・・消し炭にするぞ」
皇子の手元で炎が揺れる。あっ違う、まとめて消されますわ。これ。
「ちょっと、オズ。嫉妬は抑えて」
「嫉妬などしていない! 怒っているだけだ! 」
メラっさと怒りを具現化させるオズワルド皇子。うんざりとしながら、グレイ様は氷でその頭を冷やしますわ。ああ。いつもの光景ね。
「そういや、オズワルドは何処にキスしたいんだ? 」
レオニダス。その話題は、先程終わったのよ?蒸し返す必要なくってよ?
「ああ・・・・さっきまで、好きな相手の何処にキスをしたいかって話をしてたから・・・・」
「なっ好きな奴に・・・・・・キス・・・・だと? 」
「オズ・・・・あくまで仮定の話だからね? ヴィクトリアが興味深々だったから話てただけで・・・・」
グレイ様が、私を主犯に仕立てあげますわ。ちょっと! その言い方だと私、破廉恥娘じゃありませんの!
「オズワルド皇子・・・・違いますのよ? 私は別にキスだなんて・・・・オズワルド皇子? 」
顔を真っ赤にして、小刻みに震えるオズワルド皇子・・・・不味いわ・・・・これ、本気でお怒りのよう・・・・
「オズワルド皇子。あの・・・・」
怒りを鎮めようと、肩に触れた瞬間。
ーぼフッ!
「あっ! また、オズワルドが発火した! 」
「ええええ!? 」
「お嬢様! 水魔法を! 早く! 」
「ええええ!? 」
「今のはヴィクトリアが悪いよ。早くオズに水をぶっかけてやって! 」
「ええええ!? 」
「ヴィー! 早くしないと引火しちゃう! 」
あーもーなんですのー!? 私、オズワルド皇子専属のぶっかけ要員ではありませんのよ!? 不安定すぎですわよ!? オズワルド皇子!! 早く、精神的に大人になって下さらないかしら!? 私の為にも!!
「皇子が発火だなんて・・・・冗談でも笑えませんわ」
びしょ濡れになった部室と私とオズワルド皇子。
ええ。例に漏れず私まで濡れ濡れですわ。
「なんだ。いつものパターンか」
ぽたぽたと滴り落ちる水に、透け透けの制服。血塗れの皇子。黙って上着を私にかけるハンス。この惨状を目にして呟くレオニダス。
ふふふふ。そうね。
確かにいつものパターンですわね。ふふふふふ。
レオニダス・・・・・その台詞・・・・一体どれに対してかしら? 何処から何処までが、一セットなのかしらー?
返答によっては、私、武力行使も辞さない所存ですわよ?
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おまけ
ハンス
足の甲→【隷属】
グレイ
ふともも→【支配】
おっ・・・・おおう・・・・コメントに困る内容で申し訳ございません。
キスの日に因んだお話でした。
少しでも楽しんでいただけますと幸いです。




