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176 中毒

クレハが全員の前に差し出した飴玉を見て、みんな、不思議な顔をしている。全員、これが何か分かっていないからだ。


「クレハ、これはいったい何なの?ただの丸い塊に見えるのだけれど。」


「オーナー、ここ何日か見ないと思っていたらこんなものを作っていたんですか?というか、前も言いましたけど、戦争なんて仕掛けないでくださいよ。」


王妃は興味深々に、ルークはクレハが再び戦争などと言っているので呆れてしまっている。


「ルーク、言ったはずですよ、戦争にも色々やり方があるんですよ。武力で戦争をするなんて、最も効率が悪いやり方なんですから、そんなことをするはずがないじゃないですか。」


そう言うと、クレハは先ほどから不思議そうに手のひらにある飴玉を見ているサラの口の中に放り込む。


まさか、いきなりクレハから何かを口の中に入れられると思っていなかったサラは動揺を見せるが口の中に広がった幸せに笑顔を見せる。


「甘いです~、口の中に幸せが広がります!」


「それはなめるものですよ。口の中で溶けてなくなるまで味わうことが出来ますからね。」


クレハはとりあえず、何かをしでかす前に食べるのに時間がかかる飴をサラの口の中に入れておく。


「王妃様もこれをどうぞ。ひとまず、食べてみてください。食べながら、私がどうしてこれを作ったのかをお話ししましょう。」


そうして、クレハはルークと王妃の二人にも飴玉を手渡す。二人ともそれを口の中に放り込むと押し寄せてくる甘さに幸せそうな顔をしている。


「さて、それではどうやってこれで帝国に侵略戦争を仕掛けるのかということですが、とりあえず、これを帝国にバラまきます。」


そんなクレハの言葉に、全員が正気か?というような目で見ている。普段のクレハであればこの飴玉を帝国以外の国に配って帝国に仕返しをすると思っていたからだ。


「ク、クレハ?これを帝国にバラまくなんてどういうことなの?いつもなら、帝国以外に売り出すとかではないの?」


「いえ、むしろ逆ですよ。では王妃様、お聞きしますが、この飴玉を食べてどう思いましたか?」


「えっ?どうって、また食べたいと思うけど?これだけ甘いし、美味しいのならまた食べたいわよね?」


王妃はそう言うと、ルークとサラの二人にも尋ねる。もちろん、二人も同じ意見のようでうん、うんと頷いている。


「そうなんです!もう一つ、もう一つ、食べたいと思いますよね。この飴玉は砂糖がふんだんに使われているものなのです。そして、砂糖は高級品ですので知らないかもしれませんが、一度、砂糖の虜になってしまうと、なかなか抜け出せないんですよ!


帝国の国民をこれで砂糖漬けにしてやりますよ。そんな中で、急に飴玉が帝国では買えないなんて国民が知ればいったいどうなるでしょうか?ばらまくのは初めだけであとは徹底的に締め出しますよ。ほんと、どうなっちゃうんでしょうね。この方法でじわじわと帝国を侵略しますよ!」


こうして、クレハの悪い笑みと共に、侵略戦争が始まるのであった。


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