162 明日は葬儀ですね!
「へぇ~、第四皇子ね。いい度胸じゃないの、わが国で開かれた催し物でそのような事件を起こすだなんて。それで、いったいどこの国の第四皇子なのかしら?今からお父様にかけあってその国の第四皇子を目の前に引きずり出してやるわ!」
第一皇女殿下はライスオット帝国のイベントで暴れた輩が所属している国を叩き潰そうと考えていたのだ。しかし、彼女は理解していなかったのだ。その、第四皇子がどこの国の人間かを。
「どこの国と言われますと、我々の国としか。」
「へっ?いったい何を言っているのかしら。」
護衛の言葉が予想外で第一皇女の先ほどまでの勢いは一旦、おさまってしまった。
「ですから、ライスオット帝国の第四皇子がクレハ様を攫おうとしたのです。第一皇女殿下の兄弟のです。」
その言葉にようやく自分たちの敵が誰であるのかを理解するのだ。第一皇女に至っては自分の身内の犯行と知り、目を血走らせている。いま、彼女の目の前に第四皇子を連れてくれば間違いなく、彼の生涯はそこで潰えてしまうだろう。
「ふふふふふっ、どうやら明日は身内の葬儀に出席する必要が出てきたわね。」
「本来であれば、そいつを始末するか私の国と戦争をするかを選ばせてあげるところだクネが、その必要はなさそうクネ。明日の葬儀には私も参列することが条件で帝国を許してあげるクネ。もちろん、今から一緒に明日の準備をしてもいいクネよね?」
「もちろんですよ、テクネー王妃にも協力してもらいたいと思っていました。明日は葬儀なんですから主賓が棺桶に収まっていないといけませんよ。」
二人は目からハイライトを消し、笑いながら第四皇子の住む王城へと歩いていく。そんな二人の姿を見た参加者は誰も彼女たちに声をかけることすらできないのであった。
もちろん、それは護衛にも当てはまったことだ。しかし、ふりであるならまだしも彼女たちに本当に第四皇子を害させるわけにはいかないのだ。
それこそ、明日の予定が第四皇子の葬儀などとなってしまえば自身の仕えている第一皇女にどんな罰が下されるかもわからない。
それにテクネー王妃に関してもそうだ。彼女も忘れてはいるかもしれないが一国の王妃なのだ。そんな彼女が帝国の皇子を殺害しようとするなど戦争の引き金にもなりかねない。
護衛もあれだけ美味しかったケーキを食べれなくなった原因である第四皇子などどうなってもいいが、自身の仕えている主人と国のために彼女たちを止めに行くのであった。
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