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160 事件を知らない三人

「陛下、納得いきません!相手はクレハを誘拐しようとしたのですよ。それなのに彼らが第四皇子に手を出したからということで双方、おとがめなしなんてやはり納得がいきません。」


「ナタリー、仕方ないのだ。すでに決まったことだ、それに、誘拐しようとしたことはともかく皇子に暴行を加えたことは事実なんだ。彼らが罪に問われなかっただけよかったというものだ。」


第四皇子とポティリ男爵たちの衝突は一瞬にして片が付き、ポティリ男爵たちが第四皇子たちを捕らえるのだった。しかしながら、ここは帝国なのだ。騒ぎを聞きつけた兵士たちによって彼らは制圧されてしまう。


そんな報告をたまたま聞いたのはナタリー王妃だった。すぐさま、ポティリ男爵たちから詳しい話を聞き、ナタリーの夫。つまり、コーカリアス王国の国王へと報告を行っていたのだ。


そこからはライスオット帝国の皇帝と迅速に話し合いが行われ双方に非があるということでおとがめなしとなったのだ。事件が起こったのが万博の始まる前ということもあり、目撃者も少なかった。


そのため、目撃者には箝口令を引き、迅速に対応を行ったため万博が始まる前にポティリ男爵たちが解放されるという異例の速さで釈放されたのだ。


こうして、誰にも気が付かれることなくコーカリアス王国の出店ブースは活気を取り戻した。クレハのいない帝国万博の三日目の幕が開けたのだ。




クレハ商会が出店していた場所には既に人気のなくなった店だけが残っており、ケーキの噂を聞いてここを訪れた人たちは食べられないことが分かると非常に残念そうに立ち去っていくのだった。


彼らの大半はあまりの人気に既にケーキが完売してしまったのではないかと考えていた。しかし、ここに不幸にも今朝の件を知らない二人がクレハを尋ねようと、やってきてしまったのだ。


「「クレハ!少し話を聞いて欲しいの(クネ)!」」


二人の女性はピッタリのタイミングでクレハがいると思われる店舗の目の前で声をかける。


「ん?あなたは帝国の第一皇女クネ?」


「はい、そうですね。そういうあなたはオリクト王国のテクネー王妃ではありませんか。もしかしてあなたもクレハに会いに来たんですか?」


「おぉ、そうクネ!クレハに話したいことがあったから訪ねてきたクネ!」


すると少し遠くの方から第一皇女の名を呼ぶ人間がかけてくる。彼女は第一皇女ともにクレハへの対策を話していた護衛だ。


「お嬢様、困ります。どうして護衛の私を置いていくのですか!」


「あら、良いじゃないそれくらい。それでは、テクネー王妃もクレハに用があるようですし、一緒に行きましょうか!」


「賛成クネ!二人でまとめて会いに行った方がクレハにも迷惑が掛からないクネ!」


しかし、彼女たちはあまりにも早く処理されてしまったため朝の事件のことを知らなかったのだ。すでに、クレハはこの会場からいないということを。


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