144 もうサラさんの言いなりにはなりませんよ!
帝国万博はあらかじめそれぞれの国に出店枠が決められており、各国の代表枠はそれぞれの国の王族により選任される。
帝国万博での展示品や試食品などの費用に関してはほとんどの国が自国の予算を投じて制作される。これは、あくまでも自国の文化や技術力を紹介する場であるため、出店者は観客からお金をもらうことは許されない。
こうなってしまえば利益がでないだけではなく、損失だけが出店者の負担になってしまうため手を抜きがちになってしまうのだ。
この催しは国の威信をかけた戦いでもあるため、そのようなことにならないように出店者には各国が全面的に支援を行っている。
この日、クレハ達一行は王都に到着し、万博に出店する商人や貴族達が集まる宿の一つへと案内されていた。大陸中の王族や貴族、商人たちがこの帝都を訪れるため、城の宿泊施設では足りず、何か所もの宿を彼らの宿泊場所としていたのだ。
明日は城で出店者たちや各国の王族、貴族が集まる一大パーティーが開催される。このパーティーは顔合わせという名目はあるがその実態は売込みである。
この場で自分たちの持つ技術力を他国の王族や貴族に認められれば商売を拡大できる大チャンスである。そのため、優雅なパーティーとは裏腹に会場の空気はピリピリとしているのだ。
翌日、クレハはルークと共にパーティー会場へと訪れていた。案内人に誘導され会場に入るとすでに何人もの人間が自国の商品の売り込みを行っていたからか、会場には緊張感が張り巡らされている。商人たちは大国の貴族達に売り込みをかけようと互いに牽制を行い、貴族たちに至ってはいかに自分たちの国こそが優れているのかというマウントを取り合っていた。
クレハ達が会場に入ってきたことに気づいたのだろう。王妃のそばにいるはずのサラがクレハの元へとやってきた。
「クレハ様、王妃様が万博での詳しい予定を話し合いたいとおっしゃっていますので、ついてきていただけますか?それと、後でいいのでこっそり王妃様に内緒でケーキを頂けますか。」
サラはいまだにケーキを諦めていなかったのだ、耳打ちでクレハにケーキを要求してくる。しかし、クレハの答えは既に決まっていた。
「分かりました、私も今後の予定を聞きたかったので王妃様の元へ向かいましょう。もちろん、ケーキはあげませんよ。まさかこのような場でケーキをくださいと叫ばないと思いますが、そのつもりならやめてくださいね。 いまならケーキを無心したことは黙っておいてあげますよ。」
「うぐっ、そ、そんなことするわけないじゃないですか、仮にも王妃様のメイドなんですから。ははっ、はぁ~。」
いつものように騒ぎ立てると思っていたサラは元気をなくしたものの、すぐさまケーキを諦め、王妃の元へと案内を行った。
クレハは知らなかったことだが、以前に王妃から罰として1週間まともな食事をとることができなかったことが尾を引いているのだ。罰が終わった後も他国の貴族達の前で変なことをすれば国の恥になると王妃からきつく言われていたのだ。
もしも、言いつけを破ってしまえば今度は1週間では済まさず、1カ月は同じことをしてもらうと。1週間でとうに限界を超えていたところを1カ月と言われたのだ、さすがのサラといえども耐えられないと今のところは王妃の言いつけを守っている。
サラが王妃の言いつけを守れるかは万博が始まればすぐにでもはっきりするだろう。
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