140 宣伝はより大きな舞台で!
ようやく本題に入ることができ、クレハは王妃に以前、話せなかった報告を伝えるのであった。
「王妃様、今回こちらを訪れたのは以前にアルケーでお話しできなかった報告をするためです。結論から申しますと砂糖の安定生産に成功しました。」
その言葉は王妃に何よりも衝撃を与えた。それは、いつも冷静な王妃の表情が崩れてしまうほどだ。
「ク、クレハ、何かの冗談ということではないのよね?」
「そんな嘘をつく必要がありません、出来ないことを出来ると言っても後で自分が困るだけですから。それに、砂糖が安定生産できなければプリンもケーキも作れていませんよ。」
その言葉を聞き、王妃も納得したのだろう。先ほど受けた驚きとはまた別の驚きの表情を浮かべている。
「そ、それで、今後、あなたはどうするつもりなのですか?」
「この際、大々的にこの砂糖を売り出そうと考えています。とりあえずは商会で売り出そうと考えています。すでに砂糖の生産施設は最高レベルの警備を行っていますのでその点に関しては大丈夫です。」
クレハの考えを聞いた王妃はしばらく考え込むとクレハにある提案を行う。
「クレハ、相談なのだけれど近々、帝国で万博があるのよ。その、あなたと帝国の間にはいろいろあるのはもちろん知っているけど、万博は大陸中の国家が自らの国の威信にかけて産業、武器、技術など様々なことを紹介するの。
今の商会で宣伝を行うよりも大きな舞台だから宣伝の効果は計り知れないと思うのだけれど、どうかしら?いつもあなたにはお世話になっているからコーカリアス王国の枠にあなたの砂糖を使ったケーキやプリンを入れることも可能よ。
そうすれば目ざとい商人なら大量にスイーツを作れるクレハが砂糖の安定生産を可能にしたと考えるはずよ。そうなれば、商人たちから噂は瞬く間に広がって利益を最大限に出すことが可能だと思うのだけれど。」
王妃のまたとない提案をクレハは快諾する。クレハとしては既に帝国との件はクリフとの一件が終わった段階で気持ちに区切りがついていたのだ。そのため、気にする必要のない帝国よりも商会としての利益を選んだのだ。
「王妃様、ぜひお願いできますか?すでに帝国への関心はありません、それならばせっかくのチャンスをふいにする必要はありませんよ。もっとも、砂糖が安定供給できるようになっても帝国との取引は行いませんけど。帝国とかかわりのある商人にも卸しませんよ。」
「あらあら、クレハは敵に回したら恐ろしいわね。帝国の皇族にだけはなりたくないわ、商人たちからどうして砂糖が買い取れないのかってせっつかれそうだもの。砂糖を売る人間を決めるのはあなただしね。
私としてもクレハの役に立てて嬉しいわ。万博はどこの国の商人や貴族たちも注目しているから度肝を抜けるわよ。それに、実は毎年、毎年、とある国の王族にコーカリアス王国の技術は大したことがないってバカにされていたのよ。
でも、実際に本当のことだから何も言い返せなくてね、私も悔しい思いをしていたのよ。だから、今回のことであいつの鼻っ柱を折ってやってほしいの!すっとぼけた顔を見てみたいわ!」
王妃は今までのことを思い出したのか、とても悔しそうな表情をしていた。
「それは面白そうですね!私、そう言う逆転劇は大好きなんです。私も最大限に協力させていただきます。驚きを最大限にするために、砂糖の情報は内部から漏れないようにします。」
「ありがとう、これで今年は枕を高くして眠れそうね。」
クレハは自分が負けると考えていない人間に対して策を弄し、打ち負かすことは大好きだった。特に作戦を考えている途中で打ち負かされて驚いている人間の顔を浮かべるのがたまらなく面白いのだ。
「楽しい万博になりそうですね!それでは、私たちはこれで失礼します。あっ、安心してくださいね。サラさんが私たちの所を訪れてもケーキは出しませんから。」
「あら、ありがとうね、それは助かるわ。私もまだまだ許す気はないから、これから一週間はじっくり料理してあげるわ。覚悟して頂戴ね、サラ。」
王妃はサラに含みのある笑みを浮かべる。しかし、サラはこの時の王妃の笑みを知ることになるのは翌日からだった。
サラの一件があった翌日、未だにサラは縛られていた。いくら何でもメイドであるサラが縛られ続けているのは異常だったのだろう。他のメイドたちもそのことに関して何があったのかと噂が広がっていた。
そんな中、とあるメイドが王妃に命令を受けていた。
「あの、王妃様?本当によろしいのですか?」
「ええ、サラにはこれくらいがちょうどいいのよ。これから一週間は縄で縛りっぱなしよ。ご飯は最低限で与えられる質素なものだけ。あの子にとってはご飯が食べられないことが一番の罰だから。反省が見られるようなら解放するわ。」
それから一週間が過ぎ、ようやくサラは解放されおとなしくなるのだった。本当にサラが改心したかはいつか分かるときが来るだろう。
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