109 がっつり、トロトロ料理
クレハは新たな店舗に関する進捗状況を確認する為に、ルークの元を訪ねる。ドルクスとの話が終わり、例の伯爵家の問題をどうにかするために新たな店舗を成功させなければならないのだ。
「ルーク、いますか?」
「あっ、オーナー。おかえりなさい、結構長かったですね。そこまで、王妃様からのお手紙は大変な内容だったのですか?」
ルークの疑問に、クレハは何と言っていいのか、微妙な顔をする。王妃からの緊急の呼び出しと言って出ていったのだから相当重要なことであったのだとルークは思っているのだろう。しかし、ふたを開けてみればサラの食べ過ぎで太っただけなんて、あまりにも残念過ぎる。
クレハは苦笑いをしながら王城であったことをルークに話す。予想通り、ルークの反応も何とも言えないようなものだった。
「あ~なるほど、それだけ食べていれば確かに太ってしまいますよね。でも、僕が作った醤油がサラさんのダイエットに役立って良かったです。」
「確かにそうですね。そうなると、ルークはサラにとって救世主なのかもしれませんね。醤油ができなければ私も豆腐を考えつきませんでしたから。」
「それなら、オーナーが豆腐という食べ物を考えつかなかったら、サラさんはダイエットに成功していないですよ。そうだ、この豆腐も新しいお店で売り出せばいっぱい売れるんじゃないですか?」
「そうね、意外とお腹も膨れる食べ物だから醤油と一緒に売り出せば人気になると思うわ。ヘルシーなのもいいけど、がっつりした食べ物も売り出したほうが良いですね。前々から考えていたレシピがあるんです。ルーク、豚肉、醤油、酒、砂糖を用意してください。これで、絶品料理を作りますよ!」
「いつもの奴ですね!任せてください、早速材料を用意してきます。だから、僕に一番に新しく作った料理を食べさせてくださいね。」
ルークは新しく美味しいものを食べることができると、喜んでクレハに言われた材料を買いに行くのであった。
「オーナー、言われていた材料はすべて用意できました。でも、砂糖の流通している量がとても少なくて、そこまで用意できなかったんです。ごめんなさい。」
「ありがとう、砂糖は貴重だから仕方ありませんね。今度、製造方法を考えてみましょうか。」
現在、コーカリアス王国およびその周辺国家では砂糖は製造されていない。というのも、砂糖の原料である作物がここら一体の国々では育てることができないからだ。
砂糖の原料である作物を育てているのは別の大陸にある国々で、とある商人がその大陸から作物を持ってきて、こちらの大陸で作物を育てようとしたが、どうやっても育てることができなく全て枯れてしまったのだった。
そこから、この大陸では砂糖を育てることができず、別の大陸からの輸入に頼り切っていた。そのため、船での輸入しかできず、どうしても価格が高くなってしまい、流通量も少ない。
「ほんとですか!僕、甘いもの大好きなんです。果物も好きなんですけど、やっぱり砂糖はいいですよね。でも、高いから中々食べることができなくて、僕もほとんど食べたことがなかったんですよ。」
「なら、砂糖の製造方法を考えついたら砂糖を使ったお菓子を考えないといけませんね。」
「やったー!絶対に約束ですからね。」
余程、砂糖を使ったお菓子を食べられることが嬉しかったのか、ルークはピョンピョンはねながら喜んでいる。
「さて、砂糖の話はここまでにして新作料理を作っていきますよ!」
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