98 貧しい領地に主要産業を
農業改革の説明を行うとクレハは次の改革を進める。もともとアルタル王国は主要産業と言われるものがなかったため、とても貧しい国だった。そのため、新しい主要産業を見つけなければクレハの領地も衰退してしまう。そこで、クレハは新たな産業を開発するのであった。
「羊皮紙に代わるものを作りませんか?あれ、高いくせに使いづらくないですか?」
「それはそうですが、そう言うものではないのですか?紙は高級品ですので重要なことしか書きこまないのが普通ですよ。」
「それが不便だと言っているんです。領内の財政を計算する際にも商人たちが売り上げを計算する際にも羊皮紙を使いますが、その代金でかなり負担になっていますよね。それに、必要最低限のことしか書き込めないので不便です。」
クレハはいかに羊皮紙を使うことが不便であるかを説明し始めた。そう言われるとドルクスとルークの二人も思い当たることがあるようだった。
「確かにオーナーの言う通りです。売り上げとかを計算する時にかなりの枚数を使っていたので、それだけでかなりの出費でした。」
「そう考えれば商会ならまだいいほうです。領内の収入を計算するのなら各地で税収を計算する際にも使用しますし、領内全ての税収を計算する際にも使用されます。そうなると膨大な枚数を使用することになりますので羊皮紙にかかる金額も馬鹿になりません。これが改善できるのであれば他のことにお金を使うことができます。」
「そうなんです。そこで、今の羊皮紙よりも100倍安い紙を領地の主要産業にしませんか?これなら、ほかの貴族たちや商人たちに大ヒット間違いなしだと思います。そうすれば、領地の収入も右肩上がりですよ!」
クレハは自身の考えた領地の主要産業が大ヒットすると確信していた。クレハの説明を聞き、ドルクスの表情もとても明るいものとなっていた。彼女の話に未来を感じていたのだろう。
「確かに、100倍安く紙を提供できるのであれば貴族や商人たちがこぞって紙を求めてくるでしょう。そうなればこの国一番の裕福な領地になるに違いありません!ですが、その紙は簡単に作れるのでしょうか?大量に作ることができなければ儲けることはできませんが。」
「その点に関しては問題ありません。材料は木ですのでいくらでも用意できますし、生産するにも一度にたくさん作ることができます。必要なのは製法を絶対に秘密にする作業員くらいです。それさえ集まれば販路を開拓するだけです。」
クレハは二人に紙の詳しい製造方法を説明する。ドルクスはその方法を聞き、製造自体は問題ないと結論付ける。クレハの言う通り、あとは作業員だけだった。紙の製造は製法さえ分かってしまえばだれでもできてしまうため、製法は絶対に秘密にする必要がある。
「なるほど、確かにクレハ様の言う通り、問題は作業員だけのようですね。信頼できる作業員は私にお任せしていただければこちらで用意することは可能です。ですが、かなりの量を製造するのであれば、その製造施設もかなり大きなものとなります。
そうなれば秘密を探ろうとする侵入者が発生してくることも考えられます。侵入者を防ぐために警備をかなりの数、用意する必要がありますが現在は人手不足のため、それは難しいです。そのため、製造施設は小さいものとなってしまいますが、それでよろしいでしょうか?」
「その点に関しては問題ありません。少し伝手があるので、そちらにお願いしてみようと思います。製造施設自体は大きなものにしていただいて問題ありません。そちらは私が担当しますので、製造と販路の確保はドルクスさんとルークに任せて大丈夫ですか?」
「お任せください、必ずやこの事業を成功させてみましょう!」
「僕も商人相手の販路ならお手伝いすることができます。任せてください!」
クレハ達3人は貧しい領地を発展させるために、動き出したのであった。
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