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公園から

第29話 公園から


 調子を取り戻したつぐみさんと、来た道をひたすら引き返していく。無論、途中誰とも遭遇すること無く、休憩所に到着する。やはり、あの道はこの季節誰も使わないのだろう。


 ふたりで休みがてら、水分の補給をしておく。このまま探索を続けても、この炎天下では先ほどみたいにすぐにへばってしまうだろう。


『ラルカ、ごめん、昼間の探索はちょっとこのままでは無理そうだから、夕方に出直す感じに成るけれど、その間行けなかったこの辺りと、ここを娘さんに見て貰えるかな』


『すまぬのー、娘には伝えてはおるが、今は体力を蓄えておる所じゃて、夕方前には動けると思うんじゃが』


『それじゃあ、出来たらさっきの辺りと、この辺、さっきの場所と、南の部分の間辺りの行けてないところをお願いするね。そうしたら、夕方、つぐみさんと俺は公園に沿った住宅街をぐるって回ってみようと思う』


『そーかえ、娘には伝えておいたぞい』


『つぐみさんも、それて良いですよね』


『えっ、ええ、そうしましょう』


 あれっ、なんか気もそぞろだけと、どうしたんだろう。地図から目を上げて、つぐみさんを探すと、壁のポスターを見ているようだった。


 立ち上がって、後ろから覗き込むと夏祭りの案内だ。来週末にここの大広場で行われるらしい。


『一緒に来ますか? つぐみさんの浴衣姿も見てみたいし』


『俊哉さんは着物着ないの?』


『親父の借りてくれば無いことはないけど、後で確認しておくね。それよりも、下は下駄か草履だよね、そっちがあるかな』


『ふふっ』


『えっ、何?』


『ごめんなさい、スニーカーでのあなたの着物姿を想像してしまったの。やっぱりちぐはくね』


 それはちょっと仮装的だから避けておきたい。後は、ビーサンぐらいは有っただろうが、カラフルだったらNGかな。


 あっ、しまった。このシチュエーションだったら、彼女の両肩に手を掛けて脇から覗き込む様にポスターを見る、と言う手があった。よくドラマや漫画で見掛けるシーンだ。自然にそれが出来るように成るのはいつの事なんだろうか。


 このまま、昼食もとらないでうろうろしていても、日射病や熱中症で倒れてしまう恐れもあるから、取り敢えず家に一旦帰るしかない。そして、昼寝でもして、夕方に出直すとなる。


『つぐみさん、一旦家に帰りましょう。昼飯を食べてから、昼寝でもして夕方に出直す感じに成るかと』


『そうね、一旦家に戻ってシャワー浴びたいって感じだわ』


『それじゃあ、日差しが強いから木陰づたいに移動しましょう』


 休憩所を出て、公園の中を日陰に沿いながら、一路家に向かう。真夏の昼過ぎには出歩く人も少なく、道中ほとんど人と会わなかった。


 住宅街に入ると、アスファルトや石畳の照り返しや遠赤外線のせいか、とても暑く感じられる。いやそれだけでなく、エアコンの放熱も有るに違いない。


 つぐみさんの家についた。


『俊哉さん、ちょっと上がって何か飲んでいきません』


『ええ、出来れば冷たいものでも頂けたら』


『しゃあ、きまり。ってあれ?』


 インターホンを鳴らすが、反応がない。御両親は出かけてしまっているようだ。つぐみさんは、数回鳴らしてから、諦めてウエストポーチを探っている。


『あれあれ?』


 鍵が見つからないようだ。


『今朝出てくるとき、私鍵閉めてた?』


『勢いよく飛び出してきたところは見たけど、閉めているようには見えなかったよ』


『あちゃー、忘れてきたかも』


『それじゃ、うちに来ます?』


『そうさせて貰おうかしら』


 つぐみさんが、家に来てシャワーを浴びる。まずい、ちょっと想像してしまった。ここは、さらっと、


『き、着替えはある程度用意できるけど、下着は無いから洗濯するか買います?』


『そっ、そうね。あなたの家で裸でいるわけにも……じゃなくて、洗って乾燥するまでシャワー浴び続けるわけにもいかないでしょうし、確かそっちの駅のスーパーマーケットには、下着売場有ったわにょね、うっ』


 つぐみさん、話ながら少しあたふたして下を向いて赤くなっている。この話題は、あまりおおっぴら(絆通信だけど)には、出さない方が良いかもしれない。


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