表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/95

地球照 月の欠けている部分が淡く光って見える現象


 


 俊介と舞からの連絡が途絶えてしまい、晶の兄、慶之介は自らが地上へ降りた。


 晶の暮らすマンションの部屋に着くと、部下たちは方々にわかれて、俊介たちが眠っているのを発見した。


「俊介、起きよ」


 俊介は、強い力で眠らされていた。


 慶之介はすぐに、鬼の力だと見破る。

 慶之介が力を使って、俊介を起こすと、彼は頭を押さえてしばらく呆けていた。そして、慶之介の顔を見ると青ざめた。


「殿下…なぜ、ここに?」

「うぐいす姫の仕業か」

「姫さまは?」

「ここにはおらぬ」

「そんな…」


 瑠稚婀るちあと舞もようやく目を覚ました。


「瑠稚婀」


 慶之介の声に、瑠稚婀は頷いた。


「鬼が目覚めた。鬼の気配ならたどれると思う」

「瑠稚婀様、お願いいたします」


 舞が涙目で懇願した。


「舞、案ずるな、姫はそなたが悲しむのが一番堪こたえるのだからな」

「は、はい…」


 舞は涙をこらえようとしたが、次々に溢れてきて困った。


「晶さま、わたくしの手を離さぬとお約束いたしましたのに、なぜですの?」


 問いかけたが、晶に届いたか自信はなかった。

 目を閉じて気配を手繰っていた瑠稚婀が目を開いた。

 顔つきが険しい。


「おかしい…」

「どうだ? 婀姫羅あきらは見つかったか?」


 慶之介がたずねると、瑠稚婀は首を振った。


「気配がありませぬ。姫も鬼もおらぬ」

「そんなはずはない」


 瑠稚婀は唇に小さな手を添えて考えた。


「わらわは新月には呼ばれるはずだったのに、鬼を抑え込むために早めに呼び出された。何か考えがあったのであろうか」

「姫さまは穢れを吸ったために、自分では鬼を抑えられないと思ったようです」

「そうであったな」


 ――穢れのために、わらわを呼んだ。


 慶之介が顔をしかめる。


「婀姫羅は、ハンターと接触するつもりか」

「かもしれぬ」

「陽一を探し出せっ」


 慶之介が叫んだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ