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うちの学校はおかしい  作者: 駄文職人
黒名蘭子の場合

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黒名蘭子(くろならんこ)

三年A組。巻き毛の合法ロリだが中身は男前。女子生徒からラブレターをもらった回数は数知れず。アヤカシ対策委員会、通称・オバケ処理班の委員長を務める。

 瑞明高校を出て丘を下った先、大通りに面した並びの一角に格安のファミリーレストランがある。


 ドリンクバーが百円玉四枚でオーダーできるとあって、瑞明高校の学生の御用達となっている。


 普段私はあまり寄り道をしない質なのだが、横を通った際に窓の向こうに探していた顔を見かけて足を止めた。今日当直だった忠士はこの場にいないが、かえって良かったかも知れん。こんなところで会えるなんて僥倖じゃないか。

 迷わず店内に足を踏み入れた。


「何名様でしょうか?」

「すまない、友達を待たせていてね」


 窓際の席の同じ制服を指差せば、余計な詮索はされなかった。


 歩を進め、私は目的の人物ーーではなく彼女と恐らく一緒に来たのであろう知り合いの方に声をかけた。


「久しいね、菜子くん」

「おや、黒名先輩。こんなところで会うなんて奇遇ですね。千鶴さん、こちらは黒名先輩です」


 いつも通り、菜子くんは驚きを最小限に表現して挨拶してくれた。


「やはり先輩も限定チョコレートマシマシタワーパフェが目当てですか」

「すさまじく背徳感をそそる名前だな。本当に一人用か?」

「二〜三人用を一人で食すのが醍醐味です」


 菜子くんの前には確かに見上げるほど高く積まれたチョコアイスにこれでもかとチョコレートソースとマカロンを装飾したパフェが鎮座している。


 形を崩さぬよう細心の注意を払いながらチョコタワーを攻略している菜子くんをはらはらしながら見守っていたもう一人に私は目を向けた。


「君は初めましてだな」

「は、はいっ。結女千鶴ともーします!」


 こちらが本命だ。


 わざわざ椅子から立ち上がって背筋をピシッと伸ばす。まだ緩めきれず首元まで締めたリボンが実に初々しい。


 新入生、千鶴くんは戸惑いがちに私と菜子くんを見比べた。


「え……っと、え? 先輩?」

「えぇ。黒名先輩は三年ですよ」


 見事に顎が落ちたが、無理もあるまい。


 私の身長は140センチ、我ながら小柄な自覚はある。おまけに生まれつきの巻き毛と童顔のせいで、いまだに制服を着ていなければ小学生と間違えられる。


「す、すいませんっ!」

「気にするな。改めて、三年A組の黒名蘭子だ。なんなら蘭子ちゃんと呼んでくれてかまわんぞ」


 苦笑した私は、菜子くんと千鶴くんを交互に見た。





「ところで、君らはなんで別のテーブルに着いているんだい?」

「千鶴さんの一人カフェの練習中です」


 千鶴くんと二つ離れた二人用テーブルから菜子くんは答えてくれた。

【裏話】

店員「いらっしゃいませ。二名様ですね」

菜子「いえ、一人です」

千鶴「一人です」

店員「えっ」


毎日7時に更新しています。

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