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それからの話② 〜母と息子〜

その後の話②

前話で誕生した息子とのほのぼの話です。

イラストは洋菓子さんに描いていただきました。ありがとうございます(*´∀`*)

 暖かな陽光が降り注ぐ庭園を走り回っていたせいか、母親の膝の上で眠ってしまった幼い娘を侍女達に託し、シュラインはふぅと息を吐いた。


 妊娠も第三子ともなれば多少慣れてくるとはいえ、妊娠後期になるとせり出た腹で動きにくくなり激しくなる胎動は時に苦しくなる。

 元気に動き回るまだ見ぬ我が子の感触を確かめるように、シュラインは下腹を撫でた。


 ガサガサ!

 突然、植え込みが音を立てて揺れて側に控えている侍女が身構える。


「母上ー!!」


 ガサリッ! 

 シュラインの後ろで大きく音を立てて揺れ、葉っぱと共に登場した銀髪紫の瞳の少年に侍女達は悲鳴を上げた。

 今の時間は部屋で勉強をしているはずの六歳に成長した第一王子、アルビスが土と葉っぱを髪と服に付けて満面の笑みを浮かべる。

 元気でやんちゃな息子とはいえ、乱れた姿にシュラインは目を丸くした。


「アルビス? どうしたのですか?」

「えっと、母上にこれを渡したくて」


 頬をほんのりと赤らめたアルビスは、右手に持った紫色と白色の花をシュラインへ手渡した。


「この前ね、父上から綺麗なお花を貰ってきたでしょう? 僕も母上にお花を贈りたくて、庭へ行って綺麗な花を摘んできたんだ」

「まぁ、わたくしのために?」


 手渡された花を見ながらシュラインは数回目蓋を瞬かせる。


「あっ、もしかして母上は、父上から贈られるお花が一番嬉しいですか?」


 落胆を顕にしたアルビスの眉毛はどんどん下がっていく。


「いいえ」


 首を横に振り、シュラインは沈む息子の頬へ手を伸ばす。

 椅子に座った状態ではなく、屈んで目線を合してやりたいところだがせり出た腹が邪魔をして屈むことが難しい。


「貴方のくれたお花が一番嬉しいわ」


 両手で頬を包み込み微笑めば、アルビスの表情が一気に明るくなった。


「本当ですか!?」


 花を胸に抱きシュラインは「ええ」と頷く。


「母上!! 大好きです!!」

「わたくしも大好きよ」


 腕を伸ばせばアルビスはシュラインの胸へ飛び込んでくる。


(そういえば、しばらくアルビスを抱き締めてあげていなかったな。アルビスも妹とお腹の子に遠慮してくれていたみたいだし。ああ……寂しい思いをさせていたのね)


「ごめんね」と心の中で呟き、シュラインは愛しい息子を抱き締めた。


挿絵(By みてみん)





 庭園の一角、妻と息子の仲睦まじい触れ合いを執務室の窓から眺めていたアルフォンスは、持っていたペンをペン立てへ置く。


「くっくくく」

「陛下?」


 突然笑い出したアルフォンスに、側近はギョッと目を見開いた。


「流石、私の息子だな」


 まだ幼いと思っていたアルビスの成長を知り、笑いがこみ上げて来たアルフォンスは片手を口元へ当てる。


「私が見聞きしていると気付いていて、あのような発言を……クククッ」


 シュラインの周囲には、彼女には知らせず集音器が設置してあった。

 侍女との会話、溜息や呟きすらも拾いアルフォンスへ届ける集音器が集めた愛しい妻と息子との会話は、微笑ましく聞こえるだろう。息子の性質を知らなければ。

 髪色と瞳の色以外はアルフォンスと瓜二つの息子の魂胆など直ぐに分かった。

 上手く甘えて母親の心を掴むとは、流石自分の息子だと感心する一方で息子が超えられない線に、優越感が生まれる。


「どんなに頑張ろうが、シュラインは私の妻だ」


 息子が贈った花以上の贈り物は何かと、アルフォンスは執務そっちのけで思案するのだった。

二人の子どもは、長男アルビス(6)、長女(3)、お腹の子です。

アルフォンスの溺愛っぷりをみたら、まだ子どもは増えかもしれません。


アルビス君は、髪と瞳の色以外全部アルフォンス似ですwww将来有望☆

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