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.  作者: 樂禍幸災箴言
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僕の住んでいるアパートと呼ぶには

いささか呼ぶにふさわしくない風貌をしている

外から見れば、魔王が住んでいる地下宮殿へと誘いかねない腐敗が包み

しかし、その年代から、迫力にも似た雰囲気を辺りに威圧している

実に恐ろしい

元々ここに住むきっかけとなったのが

四浪したのちに、早々と入れ替わりに卒業した

弟が残した部屋である

もちろん所有権は大家さんであるが

一式がまるまる、遺物のように残っており

それを眼下に

兄の威厳から

「それはいらん、心新たに、虹色の学園生活を邁進するのだ」

と言ってみた物の

「それじゃあ、兄さん」

それはそう言うと、そのまま荒波激しい社会へと

いつものように、へらへらとあるいていったのだ

果たして大丈夫だろうか

カナダ等辺で遭難などしていないだろうか

それを知るすべは、母君より、逐一知らさせる雑談の中で、度々登場することから、わずかばかりに確認は出来た

しかし、その中でも、実に疑いを隠せないのだが

何でもちかじか結婚するであろう婚約相手の

猿通さん、が、何でも地元から失踪したらしく

マリッジブルーにのまれ、日本海などに沈んでいないか心配しているそうであり、ちかじか、就職したてにも関わらず

彼女を捜しに、旅に出るらしい

実に心配である

出来れば、弟よりも、確実に人生を歩んでいる男性と、年頃になっていれば、と思わずにはいられない

しかし、心配ではある

もとより、写真一枚見たことはないが

日本風オードリーヘップバーンだというが

オードリーの春日の間違いではないだろうか

おや、そのような厳つい物にお兄さん呼ばわりは出来れば控えてほしくもある

まあ、そんない枠ありがなへやであるが

この堂鳥アパートの下には、一匹の犬がいる

その体はたるみ

四十代おばさんは、その愛くるしさに、半分は、自分のようだと可愛がり

もう半分は、自分を見るようだと、隣町まで豆腐を買いに行くという

ちなみに、このアパートより三件と隣に店を構える

「ヒヨコ取卵豆腐店」の絹ごし豆腐は、町内でも有名であり

中国のマーニハイと言う、おおさまが、その豆腐を求めに、日本間出来たという歴史を持つというが、真相は定かではない

とにかく、その犬であるが、名前を誰も知らないが、大家さんの愛犬であるという事だけは判明しており

わたしはその、たるんだこんにゃくのような、感触を所有する

恐るべき犬の名前をバウ鈴木と適当に名付け呼んでいる

ちなみに真上に住んでいる

髭面の大学に改正の大森と言う男は

マサチューと呼んでいるが、理由は知らない

しかしながら、この犬について、褒めるべき所はすべからず無く

ただいつも、寝ている

散歩に出ても、虎視眈々と、寝そべる瞬間を狙うのである

その日陰に行つも寝ているが

溶けたように、皮膚がコンクリートに沈むように広がり

近づく人間は、全てを無視したまに犬が来ると吠えるだけ吠えて

気が済んだように、又眠る

番犬能力の全くないものである

そんな犬であるが

救急車に吠えない代わりに

霊柩車に吠えるという

よくわからない特技とも言えない特性がある

だからといって何とも言えないが

その犬を僕は眼下に見ながら

二階へと上がる

この三階立ての建物は

歩く度に底が軋み

もはや、泥棒は、あるセーヌだろうが、石川でさえ

その進入は難しいと思われたが

誰も気にもしないので

一向にその効果は見込めないだろう

そして、こんな場所に泥棒に入る馬鹿者はおらず

間違って入ったものなら

一年は抜け出すことが叶わず

抜け出しても、その恐ろしさに、毎日豆腐を思い浮かべながら泣くという

僕が部屋にはいると

そこには弟がいた

「どうした」

僕はスーパーの袋を、

畳において

そう言った

「ああ、これから僕は探しだそうと思う」

この場合、このアポアートにおわすという

黄金のねずみではないだろう

すると、頭脳明晰、安産良好、家内安全、万事休すと言われたわたしは

それはすぐに思いつくと

「あの、オードリーか」

と、ズバリ言い当てる

その慧眼に驚きを隠せないのか

弟は目をむいて

「その言い方は酷いよう」

などと、甘ったれたことを抜かすので

「何が酷いんだ、一人で、恋人といちゃついている奴が」

と、正論の雨嵐を、桃にないふをつくがごいとし

えぐるように、相手に投げた

「・・・明日の午後から、彼女の知り合いを当たってみようと思うんだ」

「そんなことしなくても、そのうち帰ってくるんじゃないか」

わたしは、優しいから慰めのこと場もかけられる

しかし、それは首を横に振ると

「何買ってきたの」と、憮然と、そのスーパーサイトウの、袋を漁った

「無礼であるが、お情けでわけてやらんでもない」

そう言って、わたしは、おつまみを取り出そうとすると

早速、麦酒を、ぷしゅると言わせて、弟は、ちびちびとのみはじめている

なんたる平然憮然

実に馬鹿である

しかし、そこは家族のことなので

「後で、払いなさい」と、いい、私も麦酒を飲む

「彼女は、おかしいんだよ」

弟は、スルメイカを嘗めながら麦酒に又浸している

実に恐ろしい食べ方をする

「それはどういう事だ、お前なのに、生意気だぞ」

僕は、達磨を転がしながら

麦酒を鼻の上に載せ

鼻を冷やしながら言った

「・・彼女は美しいし、知的で優しくて

その上、僕を愛してくれるのだ」

「嘘はやめた前」

「嘘ではない」

「それでは、なぜ貴様の目の前から姿を消したのだ

お前よりもたくましい男を見つけたにちが居ない」

「そんなー」

弟は、さも平然と

口だけはそう言って

麦酒を飲む

口の端からイカスミが飛び出しているのが異様だ

「・・しかし、その彼女はどういう方なのだ」

「・・おもしろい方だよ」

「そうか、それではいまどこに生息をしている」

「そんな、生物的に言わないでおくれ、多分、六角堂に籠もっていると」

「そんなアホな」

言ってみて、この弟のことだ

妙なこともあるかも知れない

僕はそう思うと、そのまま達磨を嘗めている気味の悪い弟を連れて

六角堂に向かう

昔、弁天大師が、百日籠もり

ついに百日目のうたた寝で

大猿達磨が、現れ、北にいって温泉にはいりたいと言ったという

恐るべき歴史があり

今なお、ぶくぶくと沸き立ついようを物ともせず

温泉を作ったとされる

弁天大師と、大猿達磨を、崇める宗教団体

「めっちゃら教」の神聖な場所と言われ

全国狂的温泉同好会の本部か近くにあると言うが

あの黒木の言うことだから

あまり信用すべき事項ではないだろう

しかしながら、僕たちは連れだって

夜の街を進む

夜だというのに、殆どの酒屋は閉まり

実に閑散としている

夏だというのに鳥肌が立つほど寒く

どうもおかしい

「なあ、弟よ」

「なんだい兄さん」

「嫌に寒くないか」

「そんなことより、人が居なくて、僕は、ちゃみちい」

なにやら気色の悪いことを舌っ足らずにいっていた弟が

「しかし、彼女のせいかも知れない」

「その、オードリーは、そんな奇想天外な力があるというのか」

「うん、彼女の歩くところだけ、蛞蝓が這い

柿を食べていると、あたり中から火事が頻発して

半鐘が五月蠅く鳴り響き街を騒がし

ひとたびマラソンを始めると

あたりは、いつの時期であろうと、秋になり涼しい風が吹き

いつの間にか、ススキがそこら中にはえるという

「そんな馬鹿な、君の彼女は、神様か何かかい、いや、奇術師で君をだましているんじゃ」

「酷いなー」

弟は、長い舌で、達磨を嘗めていたが

不意に空を見上げて

「そう言う人なんだよ」

と言う

僕も空を見上げたが

月がいつの間にかくれ

あたりは徐々に暗やみが包んだ

「・・そう言う人なのか」

「うん」

奴は嬉しそうにいった

嬉しいのであれば、否定することはないだろう

僕たちはただ、歩いた

途中缶コーヒーを嘗めながら

弟は、それを拒否して

まだ酔っているのか、持ってきた、一つ目で、黒い達磨を

なぜか嘗めているのである


「付いたな」

僕はその六角の形の古めかしい建物をみた

その中には、人が居るようで、光が付いており

その中をのぞくと

そこには、黒木がいた

そしてその隣では

オードリーヘップバーンを日本人にしたような

弟には似ても似つかわしくない美しい女性が寝ていた

「おい、黒木」

僕はそのとびらを開けると

黒木は、ぬめった笑顔を見せ

「どうしたんです」ときいた

その手には、本が握られており

先ほどまで読んでいた

「お前はそんなところで何をやっているのだ」

「いえいえ、親友が、本を読んでほしいというので、夜な夜な歩いて

ここまで来たというわけですよエヘン」

さいごになぜかえばる

「弟、居たではないか、どうして分かったのだ」

「はい、電話が来て、その時に、六角堂の話が出ましたので」

「そうか、それでこれからどうするつもりだ」

「いえ、朝まで彼女を見ていようかと」

「そうか・・では、黒木行くぞ」

「嫌です、あなたは怖い」

「気色悪い」

かくして、弟をおいて

僕と、その坊主を靡かせる奇人と、暗い道を歩く

「それで何を読んでいたのか」

「ああ、これですか、僕が書いている、桃色小説の一文です」

「なんと破廉恥だ」

驚愕を隠せない

そんな物を、この男は読んでいたのか

彼女は、そのあまりの支離滅裂末法世界にも響かぬような

下劣な物のせいで、寝込んでしまったのでは無かろうか

「何か、酷いことを考えてらっしゃるだが、違いますよ

彼女は僕の第一号のファンなのですから」

「それだけの関係か、そしてとても信じられない」

「へへへ、彼女は、そう言う人ですから」

黒木は気色悪い

柳に栄える幽霊のような気色悪い顔をして笑うと

いつの間にか出したのか、黒い、一つ目の達磨を取り出して

そのざらざらと長い舌でぺろりと嘗めた

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