表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界リボーン――不死の身体で始まる冒険、これは現世へ還るための物語  作者: 東アガル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
108/108

第108話 色欲


 女が笑う。


 


 


 


「待っていたわ」


 


 


 


 ゆっくりと立ち上がる。


 


 


 


 長い髪が揺れた。


 


 


 


「魔王様直属」


 


 


 


「アスモデウス」


 


 


 


 優雅に一礼する。


 


 


 


「よろしくね」


 


 


 


 ミカが首を(かし)げた。


 


 


 


「戦うネ?」


 


 


 


「できればしたくないわ」


 


 


 


 アスモデウスは微笑む。


 


 


 


 その視線がヒロへ向いた。


 


 


 


「貴方達」


 


 


 


「魔王様に何の用かしら?」


 


 


 


 ヒロが答える。


 


 


 


「確かめたいことがある」


 


 


 


「話したいことも」


 


 


 


 アスモデウスは少しだけ目を細めた。


 


 


 


「そう」


 


 


 


「それなら通してあげたいのだけれど」


 


 


 


 小さく肩を(すく)める。


 


 


 


「そういうわけにもいかないの」


 


 


 


 脚を組む。


 


 


 


 余裕の笑み。


 


 


 


「魔王様に会うなら」


 


 


 


「私を越えてみせて?」


 


 


 


 空気が変わった。


 


 


 


 ヒロが剣へ手を伸ばす。


 


 


 


 その瞬間。


 


 


 


 アスモデウスが笑った。


 


 


 


「じゃあ」


 


 


 


「始めましょうか」


 


 


 


 目が合う。


 


 


 


 ただそれだけ。


 


 


 


 アスモデウスの瞳が妖しく揺れた。







 空気が揺らぐ。







 ミカの動きが止まった。







 次の瞬間。


 


 


 


「見つけたネ!!」


 


 


 


 ミカが叫んだ。








 だが、ミカの視線は。








 そこにいるヒロではない。








 別の()()を見ていた。






 


 


 ミカにしか見えていない誰かを。








 地面を蹴る。


 


 


 


 ——ドォン!!


 


 


 


 ヒロが目を見開く。


 


 


 


「ミカ!?」


 


 


 


 返事はない。



 


 


 


「騙されないヨ!!」


 


 


 


「ヒロのフリしても無駄ネ!!」


 


 


 


 ヒロが息を呑む。


 


 


 


 呼びかけも。







 届かない。







 完全に。







 別の何かを見ている。


 


 


 


「見つけたァ!!」


 


 


 


『バッキュン!!』


 


 


 


 風が裂けた。


 


 


 


 紙一重。


 


 


 


 ヒロが飛び退く。


 


 


 


 その時。







 その腕に。


 


 


 


 何かが絡みついた。


 


 


 


「やめるッス!」


 


 


 


 マキだった。


 


 


 


 ヒロへ飛びつき。








 強く抱きついてくる。







「止まらないッス!!」


 


 


 


 涙目。


 


 


 


 だが。


 


 


 


 身体は勝手に動く。


 


 


 


 離れることが出来ない。


 


 


 


「危ない!離れろ!」


 


 


 


「無理ッスゥゥゥ!!」


 


 


 


 アスモデウスが首を傾げる。


 


 


 


「……あら?」


 


 


 


 少しだけ。


 


 


 


 予想外だったらしい。


 


 


 


 ヒロは。








 変わらない。








「ユナ!」


 


 


 


 ヒロが叫ぶ。


 


 


 


 ユナは既に動いていた。


 


 


 


 フィールド展開。


 


 


 


 透明な壁が広がる。


 


 


 


 成功。


 


 


 


 だが。


 


 


 


「身体が……」


 


 


 


 ユナの顔が歪む。


 


 


 


 指一本。


 


 


 


 動かない。


 


 


 


「くっ……」


 


 


 


 フィールドは維持されている。


 


 


 


 だが。


 


 


 


 何も出来ない。


 


 


 


 ヒロが舌打ちした。


 


 


 


 最悪だ。


 


 


 


 右腕にはマキ。


 


 


 


 ユナは動けない。


 


 


 


 そして。


 


 


 


 一番厄介なのは。


 


 


 


 間違いなく。


 


 


 


 ミカ。


 


 


 


 再び消える。


 


 


 


 速い。


 


 


 


 モラクス戦。


 


 


 


 あの時。


 


 


 


 片角を砕いた突撃。


 


 


 


 今度は。


 


 


 


 自分へ向いている。


 


 


 


「ヒロォォォ!!」


 


 


 


 違う。


 


 


 


 呼んでいる相手は。


 


 


 


 自分じゃない。


 


 


 


 完全に。


 


 


 


 幻術の中だ。


 


 


 


 ヒロは避ける。


 


 


 


 避け続ける。


 


 


 


 だが。


 


 


 


 余裕はない。


 


 


 


 マキが重い。


 


 


 


 ミカが速い。


 


 


 


 そして。


 


 


 


 ミカが強すぎる。


 


 


 


「マジかよ……」


 


 


 


 苦笑した。


 


 


 


 敵に回すと。


 


 


 


 ここまで厄介なのか。


 


 


 


 ミカが笑う。


 


 


 


 楽しそうに。







「終わりネ!!」


 


 


 


 両爪を重ねる。


 


 


 


 回転。


 


 


 


 加速。


 


 


 


 空気が(うな)った。


 


 


 


「スパイラルドライブ!!」


 


 


 


 一直線。


 


 


 


 アスモデウスは見ていた。


 


 


 


 ヒロは抱きつかれている。


 


 


 


 もう。


 


 


 


 避けられない。







 

 アスモデウスはそう確信した。


 


 


 


 次の瞬間。








 ——ドシュッ。


 


 


 


 アスモデウスが笑う。


 


 


 


「残念——」


 


 


 


 言葉が止まる。


 


 


 


 違う。








 景色がズレる。







 首筋。


 


 


 


 鋭い感触。


 


 


 


「……え?」


 


 


 


 視線だけ動かす。


 


 


 


 そこにいた。


 


 


 


 ヒロ。


 


 


 


 剣先が。


 


 


 


 首元に触れていた。








 アスモデウスの笑みが。








 初めて消えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ