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97話 カースト上位女子襲来

火曜日:地球

「濾過フィルターを作ろうかと思っているの」

「はあ?浄化でいいんじゃね?無いの?魔道具とか」

「魔道具は高いのよ……私が作れても低価格で売ることを商業ギルドが許してはくれないの」

「あ~。そっか。うお。もうこんな時間だ。行かないと。」

「ごめんね朝から。いってらっしゃい」


息子に、香原さんのお守りを預けた。肌身離さず持つようにと。香原さんにはできれば言わないで欲しいけれどもう仕方がない。よそ様の娘さんを危険に巻き込む訳にはいかない。


ゴミ出しに行くと、川田さんが娘さんと挨拶してきた。

「こんど引っ越してきた川田美春です。よろしくお願いします」

長身でスタイルも良く、非の打ち所のない美人。

香原さんと同じ、カースト上位女子だ。

「久我です。よろしくお願いします」


私のファンだと言っていたから、息子のストーカーの事もあってちょっと警戒していたけれど、根掘り葉掘り聞かれる事もなく挨拶だけで済んだ。ストーカーの騒動も知ってるだろうに、何も聞かないでくれた。もしかしたらそのこともあってピリピリしている私に配慮してくれたのかも知れない。


母の店に行くと、私はアイテムボックスから焼きっぱなしのガトーショコラを取り出す。

「お母さん、市販のものをワンランク上げる方法を教えるわ。私がもし来られないときにはお母さんがやらなくちゃいけないの。練習しておいて。期待してくれているお客さんがいるの。ありませんでは済まないわ」

「わかったよ」

母が常備していた冷凍カシスをピューレにし、アルコールを飛ばしたリキュールと市販のソースを混ぜた。

「盛り付けはこんな感じ。写真に撮っておいて。お菓子は絶対に目分量ではダメよ。大事なのは再現性。お菓子作りは素人なのだから、勘は一切働かないと割り切って全て計量を徹底して」

「肝に銘じるよ」


女性のお客さんは減っていた。

息子は極端で不器用なのだ。

あの言い方はさすがに酷かった。逆恨みされていなければ良いけれど。


女子達は、美味しそうにランチを食べて、スイーツに舌鼓を打っていた。皆一様に楽しそうで、この子達がストーカーに関わりがあるとはとは到底思えなかった。

このままお料理を楽しんでくれる人だけがここに来てくれたら良いのに。

私は何事もなく家に帰る事ができて、ひとまず事態は落ち着いたのだと分かった。



異世界。

「唯花、浄水器作りたいの」

「作ったとしても荷物になるものを冒険者が持ち歩くとは思えません」

「じゃあ、やっぱりパーティーに一人浄化持ちを徹底がベターかな」

「知識が無いので、現地の人間の浄化では細菌はともかく寄生虫までは対応できません。基本は水筒を持ちますが、2日分がせいぜいですね。安地なら煮沸する余裕あるんですけどね」

あー、そういう……。まずは教育が必要な感じかー。

「こういうのはどうだろう」

豚さんの魔石を凸レンズ型にして覗いた。これじゃ細菌は見えないなあ。ペットボトル顕微鏡とか実験であった気がするけど……。身体強化……遠目じゃなく顕微鏡のイメージで付与してみる。

私しか作れないけどこれは教育の為だからね。虫眼鏡の形にしてまず一個。

「もう一つレンズを作って、こっちは鑑定を付与ってあっ!割れた!!だめかー。飲めるかどうか分かれば有難いんだけどね」

とりあえず虫眼鏡を持って商業ギルドに行く。


「川の水には見えない虫が居るので、それを消す感じで浄化する。このレンズでは見えませんが、体に悪影響のある細菌というのも居るんです。だけど、体の調子を整えてくれる有用な細菌も居るので、浄化の時は、体に悪いものを消すイメージで浄化する様にするのを広めたらどうかと思うんです」

「ヒッ……」

ダンジョンの川の水を見せたらエリザさんが驚いて固まる。

エリザさんがショックのあまり動き出さないのでギルド長に直談判しよう。


「と、こうすれば川の水も飲めます」

と説明。まず浄化の意識を変えないとダメだ。ただ、何もかも消せば良い訳では無いので、この水を飲める様に、飲んでもお腹壊さないように、と強くイメージしなくちゃいけないと話す。


「これは……知れると大騒ぎになるから無理だ!人によってはショックで水が飲めなくなるぞ!なんとおぞましい!」

えぇ!なんでぇー?!

「浄化を徹底すれば問題無いのでは!」

「浄化を使えない人間も居るんだぞ!」

うー。難しいー。教育水準の高そうな商業ギルドでもこれなんだ。私はショックが深刻なエリザさんに治癒をかけた。

「もう水を飲めません……」

エリザさんが泣き始めてしまった。

お詫びに白鹿の魔石に浄化を付与してエリザさんとギルド長に無料でプレゼントした。これを漬ければ一瞬で水は浄化されるからね。

ってあれ?これをギルド主導で貸し出せばいんじゃね?


「無理です。価格が高すぎます」

「ええ……」

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