77話 街とダンジョン
今日は川田さんにお茶に誘われたので、鹿のローストを持ってお邪魔した。
時々お庭でバーベキューをしていると言うと、家族仲が良い事を羨まれた。娘さんは旦那さんの浮気で離婚の裁判中だったのだけれど、急に娘さんが綺麗になったので、相手が離婚を渋りはじめたらしい。でも今も旦那さんがお相手とは頻繁に会っている事が分かっているので離婚は秒読みなんだとか。
「娘は離婚したいだろうけど子供が可哀想よねぇ。」
「そうですか……難しい問題ですよね……」
としか言えない。
川田さん、自分の娘さんの事赤裸々に話すんだなぁ。
いや、今は川田さんは一応友達だと思っているから、前みたいに話に興味がないとかではないのだけれど、わざわざ踏み込んでまで思っている事を言いたいとはあまり思わない。だって考え方は皆違うのが当たり前だ。離婚は人生を左右する問題だから、同意も否定もしたくないのだ。
うちの母は離婚をしてイキイキしているし、私も父親が居なくても別に不幸ではない。特に連絡もしていないし相手からもして来ないけれど、多分新しい家族を作って幸せにやっていそうだ。そういうケースもあるのだから、これに関しては人によるとしか言えない。
結局よそのご家庭の事なんで部外者の私には何も言えないのは変わらないのだ。だからこういう話をされると何と答えたら良いのか困ってしまう。自分の意見に責任を持てないのに軽々しく意見なんて言えないのだから。自分の言動には気をつける様にと小さい頃から父にいつも言われていたを思い出していらない事を言わない様に気を引き締めた。
異世界。
まずやった事は唯花のお守りを作った事。お花のお守りをめちゃくちゃ羨ましそうに見ていたのだ。唯花には武器とか防具を渡していたけれど、唯花は女の子だから可愛い物の方がいいのだろう。完全に失念していた。
唯花は赤と白の花を魔石で、私は黄色と白の花のものを首にぶら下げた。その過程でびっくり事実が判明。素材加工で魔石を複数くっつけられる……。内包魔力が増えたので魔法の補助になりそうだとそれも唯花に渡した。
ついでにレジンや貝殻、鱗や羽根も使ってアクセサリーを作った。目立つのは嫌なので何も付与はしてない。
これから唯花と街に行く予定である。ココは単独でダンジョンへ。お金が全く無いけれど、売り物はダンジョン産の魔石と革にする予定。バロア大森林の薬草や魔力草はダンジョン産と比べて凄すぎて売れないらしいので、ポーションは売っちゃダメって言われた。一番売れそうなのに。
アイテムボックスは隠した方が良いと唯花が言うので、マジックバッグだと時間経過で皮が悪くなったら嫌だから加工した。
お金を作ったら、あちらの文化を調べて、それに合わせて物作りし、役に立ちそうなものを買って日本に持っていこうという話になった。
街に行くのが嬉しいのか、唯花はご機嫌だった。
私はダンジョンから街道脇の木陰に入り、隠密と遠目を使って短距離転移を繰り返して方角を確かめながら街を目指す。実際に歩いてはいないから距離は分からないけれど、ダンジョン近くの休憩所で野営していた人がいたから、1日はかかるのかも知れない。一度来たから多分千里眼転移できるだろう。
門が見えてきたところで景色を目に焼き付けてダンジョンで唯花をココに預けて拠点に戻った。土日は唯花お留守番なのでダンジョン探索しても良いかと許可を取ってきたので了承して送り届ける。
ココならば走って自力で拠点に帰れるから安心である。
まだ拠点以外の場所から地球に戻れるかは自信がないので、私は聖域の拠点に移動した。
残った時間で売りものの服を作ろう。




