32話 ニジマス
土曜日 快晴
今日はスモークチキンとトマトとレタスのサンドイッチを作った。食パンは普段6枚切りなのだが、お母さんはこれをガイド無しで半分の厚さにできるという特技がある。それに比べて私のタレビンの特技のなんとしょぼい事。
菜箸を横に置いて厚みを半分に切る。これ苦手だったけれど前より上手くなった気がする!
サンドイッチ持って夫と近所の公園にお散歩だ。
こうやって2人で歩くのも楽しい。
「すまないね。君がDIYや野外料理に興味があるのは知らなかったんだ。僕がもう少し若い頃に気付いてあげられたら良かったのにごめんよ。もしかしてキャンプをしてみたいかい?」
「DIY自体をやりたかった訳じゃないよ。料理好きを突き詰めたらそうなっただけ。でもお庭バーベキューとか楽しそうだね。」
歩きながら色んなことを話し合った。
普段から会話も多い私達だけれど、お互い知らなかった事があると知った。私がそうであるように、夫も私に負い目を感じているらしい。
それは夫がよく気にしている歳の事ではない。
インドアな夫は、体力が無くて同じ様に遊べない事や、家事や古くて大きい家の維持を全部任せて無理させていると思っているのだ。
「無理をさせてしまってすまなかったね。唯芽は頑張りすぎる所があるから僕は心配なんだ。必要な事があれば、家のお金を使ってくれても良いし、足りなければ遠慮せず僕に言ってくれて良いんだよ。君は気にしすぎる所がある。真面目なのは君の良いところだけど、もっと楽に生きて良いんだ。」
息子に、私が屋根に登っていた事を聞いたらしい。だけど、それを知っても夫は私を叱ったりはしなかった。
夫は何も悪く無いのに、勝手をした私に謝るのだ。
「家の事は好きでやってるし、私は自由にさせてもらって、感謝してるよ。むしろ何も返せてなくて申し訳ないくらいだよ。」
気持ちを伝えるのは難しい。でも今日はたくさん話せて良かったと思う。
――――――
異世界。
今日は魚を取りに行こうと思っていたのに生憎の雨である。とりあえず今日はココの育成をしたい。前に浄化を覚えた時は、ココに直接浄化を何度も使って覚えたから、ゆるく魔法をかけてみるか。
ふんわり風を吹かせてみたり、光で照らしてみたり。でもなかなか覚えられない。
魔力感知ならば体の中だから覚えやすいかも知れないと、ココの中の魔力に、私の魔力でちょっとだけ触れてみたらビクッとした。
可愛い。
それからも色んな事を試し、ココのステータスを開くが魔力感知の文字はない。もしかしたら浄化はたまたま覚えただけで、魔法は普通は覚えにくいのかも知れない。
毎日地道にやるしかない。ある程度自分で身を守れる様にしてあげないとこの子が大人になった時に困る。
「異種族の子育て難しい……。」
でもココは私の事をすごく信頼してくれてるのが伝わってくるから、私が育て方を間違う訳にはいかないのだ。しっかり面倒を見てあげたい。
日曜日。
先週はビデオ鑑賞をできなかったので、見ていないビデオがかなり溜まっている。息子はこの雨の中出かけていった様で、ずっと2人でビデオの消化していた。暇な時は良いのだけれど、溜めすぎるとノルマのように見なくてはいけなくなるのがツライ。
……たまには休みの日に夫や息子も一緒に実家に行って欲しいけどなかなか言いにくい……。お母さんはたまには孫に会いたいのでないだろうか。
異世界では雨が止んでおりました。
今9区画ある拠点の配置は、北西から順番に
1穀物・芋畑 2野菜畑 3空き地
4薬草畑 5小屋、窯、ココの小屋6りんごの木
7穀物畑 8資材置き場 9空き地
となっている。小屋の隣の区画はりんごの木の苗が4本並んでいるだけ。資材置き場も半分は空き地である。
このうち最初の聖域、真ん中の区画がかなり手狭になってきたので、南東か北東の空き地にちゃんと小屋を建て直した方が良いとは思っている。思ってはいるのだが気が重いのは、最初の小屋作りを失敗した苦手意識だろうか。
新しい日課であるココの訓練を終わらせて、川の方へ散歩し、帰り道に木を切って来ようと思う。
川へ来た目的はもちろん魚だ。ココには川に入らない様に言って聞かせ、無魔法の網を水中に一瞬で作りあげる。空中に持ち上げると結構入っている。
ビッグウォータークラムという貝、鑑定で見ていたらいきなり水鉄砲を打って来て驚いた。私は無傷だけどもココに当たっては困る。ハマグリみたいなサイズ感で、一応食べられるらしいのだがアイテムボックスには入らない。貝は死んだら傷むので、その場で水槽を作って入れた。
「アイテムボックスに入らないと地球に持って帰れないんだよなぁ」
水に入れたら大人しくなったので一応拠点に持って帰ろうと思う。異世界もののラノベで貝殻だとか川の砂だとか生産に使うと聞いたことがあるし、何に使えるかは分からないが一応持って帰って調べてみようと思う。私の怪力なら提げられそうだけれども、水槽には一応取手とコロを付けた。
そしてビッグレインボートラウトの群れを掬った様で、大きなニジマスがいっぱいだ。もちろん異世界サイズである。でかい。その大きさはもう鮭にしか見えない。
とりあえず地面に置いて、ここで絞めないと持って帰れないなと思案していると、
「ピイイィ!」
ココが興奮してニジマスに突撃した。そして食べている。
まじか。ひよこって生の魚食べるのか?いやココが異世界仕様なだけだよね?
骨ごとバリボリ……まさかの獰猛さでびっくりする。よっぽどお腹すいてたんだね……ごめんよ……。
餌問題が解決した様で良かった。ココが食べている間に無魔法でマスを締めて解体したら魔石が出た。
「やだ、ココちゃんが魔石飲み込んじゃったみたい。」
ニジマスを食べたらココのレベルが上がった。魚を締めるのをココにさせれば良かったと後悔。
それから帰り道に木を収納しながら戻って来てひとまず資材置き場に置いて、大きな水槽は家の近くに置いた。
名前 ココ レベル1 唯芽の従魔
ビッグジャングルフォールの幼体 メス
HP 71
MP 32
力 13
体力 36
素早さ 27
器用さ 11
魔力 16
運 17
スキル 浄化
↓
名前 ココ レベル2 唯芽の従魔
ビッグジャングルフォールの幼体 メス
HP 90
MP 58
力 20
体力 45
素早さ 51
器用さ 21
魔力 29
運 18
スキル浄化




