23話 ハーブティーの限界と、神棚の奇跡
火曜日:地球
今日は晴れたので屋根裏の補修だ。
一度断熱材を全部剥がして木材と錬金で補強。途中でハーブティーをアイテムボックスから直接口の中に出してゴックン。
「ふっふっふ。セルフ自動回復」
セルフな時点で自動ではないか。
元々あった断熱材を錬金術で補修し、敷き直して終了。
続いて屋根に登って瓦屋根の形と構造を確認する。土魔法と鑑定と錬金で何となく作れると理解した。
しかし瓦がいきなり新品になったら不審すぎる。見た目をあまり変えずに持ってきた異世界の土で足りない部分を足しながら素早く補修していく。カモフラージュの為に雨どいに詰まったゴミをゴミ袋に詰め、雨どいを浄化して無事終了。
水分を摂り過ぎてもうお腹がタプタプだ。
「母さん何やってんの!!」
突然、息子が下から怒鳴ってきた。
「びっくりした!いきなり大声出さないで!」
危うく驚いて落ちるところだった。落ちて無傷でバレたらどうする!
「危ないよ!歳考えてよ!」
下から息子に怒られた。急いで降りたら、待ち構えていた息子に更に畳み掛けられる。
「何でも自分でやらずに大人しく業者呼べよ。落ちたらどーすんの」
息子、かなりご立腹。
「このくらい大丈夫!雨どいが詰まって溢れたんで雨漏りしてたみたいだよ」
ニヘラと笑っていつものように誤魔化す。
相変わらず息子はすぐに怒る。
でも今日はそんなに気にはならない。ハーブティーをたくさん飲んだお陰かも。あれを飲むと気分が良くなる。気分が良くなると視野が広くなる。
そっか。私を心配して怒ってたんだな。
優しい息子を持って母ちゃん幸せだよ。
思わずにやけてしまう。
だがそれが気に入らなかった様で息子の説教が思ったより長引いた。息子は小難しい言葉ですごい上からお説教をしてくる。つまり要約すると歳なんだから危ない事はするなという内容。時々横文字とかも出てきてあまり聞く気がしない。私を歳だと思うのならそういう言葉は使わないで欲しい。
結局お昼も過ぎてしまったので、息子に原付でハンバーガーを買ってきてもらった。
「うっま。なにこれ。え、最近のジャンクフードって美味しい。和樹いつもこんなの食べてんの?」
「ふは。母さんにもこれの良さ分かる?最近のは進化してんだよ。先入観捨ててたまにはこういうもん食べんのも勉強だぞ」
「いや感謝するよ。企業でないと出せない味もあるね」
「けど母さんなら再現できたりして?」
この味は手作りでは出せないよ。いや、今なら多分錬金術で作れそうな気がするな……。イカンイカン、気付かなかった事にしよう。
「いや、できるわけ無いって」
パクリは絶対にダメ。
「そうかあ?このソースサラダにかけてもうまそうだけどな」
その後食材を買いにいき、普通に冷蔵庫と冷凍庫に分けて入れた。冷凍しても劣化はするのでアリバイ作りの為とはいえつらい。
今夜は肉豆腐。
「やった!肉だ!」
そう、今夜は牛肉様ですよ〜。おこりんぼの息子の為にご機嫌取りなのである。
——
異世界も快晴。薬草畑の無事を確認してほっとする。
今日は錬金調薬でMPポーションを作ります!
ハーブティーがぶ飲みには限度がある。回復効率がもっと何とかならないかと考えていたら何となくレシピが浮かんだのだ。
魔力で出した水に光魔法の魔力をガンガンこめていく。キラキラの聖水ができた。聖水はポーションの材料になったり、アンデットや呪いを祓うのに使うみたい。
鑑定すると、聖域に放置するだけでもできるという。水は水魔法で出せるし、アイテムボックスがあって外に放置する発想はまるで無かった。
魔力草を無魔法でゴリゴリすり潰し聖水を足しながら更に魔力を込めていき完成だ。
[上級魔力ポーション:MPがかなり回復する]
「なんでいきなり上級やねーん!」
土魔法でツボをいくつも作って水を溜めておいた。いずれ聖水になるはずだ。
それから異世界の家に神棚を作り、家から持ってきた日本酒とさっき作った上級魔力ポーションとを供えした。異世界に神様が居るかは分からないけれど。
「この異世界転移と家族に毎日会える事に感謝します。ちゃんと地球に帰れる様にして下さってありがとうございます」
柏手を打って祈り、目を開ける。
「は?!消えた?!」
いやびっくりする。本当に神様が居たらしい。
実のところ数日後に神酒とかになってるオチを狙っていたんだけどね!




