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第四話

 ジンとライラの二人はリオたちからもたらされた言葉に一瞬驚いたものの、顔を見合わせ落ち着く。

 確かにもしかしたら貴重な手かがりだろう。しかし、これまで何回ぬか喜びを味わったことだろう。その度に落胆したことは数知れず。それを攻略するには、ヤケ酒か初めから期待しないかしか無い。

 二人は慎重にリオに聞く。



「そいつは、本当に門だったか?

 ただ木が突っ立っているだけの物じゃねぇ~よな?」

「ううん。木じゃなくて何か硬~いものでできてそうだったよ」「ピコ」

「それは、どのくらいの大きさだった?」

「う~~んとね。あの恐竜さんより大きかったよ」「ピッコ」


 両手を広げてリオは言う。そんなリオが言っていることを肯定するかのようにアオも頷く。何気に高度なゴレームのアオにジンたちは気になったが、先ずは遺跡の事が先決だった。


「ま~実際に見てみねぇことには確証はとれねぇ~が、門らしき物があると」

「そうね。私たちの探している遺跡の門とは限らないしね」

「そうだな」


 ジンたちは余り期待しないよう頷き合う。

 そもそも彼らがこの街に来たのは、頼りない噂が発端だった。

 何か遺跡の情報が無いかとこの国の王都で情報をあさっている時、この遺跡の噂を聞いたのだ。

 何でも大きな門があり中は迷宮の様になっているとか、何か得体のしれない物があるとか、どうもかなり古い物だとか。

 いずれも怪しげで頼りない物だったが、場所はこの街ハルマールの近くの森の中。ある程度場所が分かっているのなら虱っ潰しに探せば、あるならあるで無いなら無いではっきりするだろうとこの街に来たのだった。

 割と後先考えていないが、まぁ~大体トレジャーハンターとはそんなもんだろう。たまたま、ジンたちがこの街のハンターギルドの親父とは知り合いだったこともあったが。

 遺跡探索で食えるのはほんの一部のトレジャーハンターだけだ。大抵魔物を狩って稼いでいる。ジンたちも普段は遺跡の情報をあさりながら魔物を狩っている。腕もそこそこあるので、何かと二人はハンターギルドには知られているし、ジンたちも情報を聞きに通っていた。



「確認は明日にでもしましょう」

「だな。ただ……。

 場所はわかるか?」

「わかるよ~~」「ピコ」

「大体どこらへんだ? あの寝ていた場所から」

「あそこからはね~~、奥の方だったよ~~」

「あの場所までは簡単に行けるな」

「そうね。あの魔物がわざわざ作ってくれたからね」


 リオが寝ていた場所からは、あの魔物が通った跡が残っている。そして、魔物と戦った場所はあの付近の探索の起点していた所で場所は良く分かっている。今までただ闇雲に探索していたわけではない。



「ただな~、お前たちをどうするかなんだが。

 連れて行くのは……」

「えぇえ~~~、リオたちも行く!!」「ピコ!!」


 断固ついて行くと言う意思を二人から感じる。



「しかしな~、あの恐竜みたいのがまたいるかもしれねぇだろう。

 そんなところに連れ出すのもな……」

「確かにね……。

 でも、置いていくにしても、どこに置いてくかの問題があるわ。

 それに、何か一緒に連れて行った方がいいと思うの。

 根拠は勘だけど……」


 ライラの言葉にジンもそう感じるのか、考えるように黙る。どこから来たのか何であそこにいたのか、謎の少女と案山子だったが自分たちの探す遺跡とは無関係で無い様な物を感じる。そう、それは遺跡の手掛かりを知っているのではなく、その手掛かりその物だという漠然としたモノ。それを感じる。それに……。


「門を見つけたのはリオたちか。

 のけ者にするのは同義に反するか」


 リオたちは自分たちと一緒に探し物ゲーム、トレジャーハンターをすると言ったのだ。ならば、彼女らを置いて探索するのは、横取りするようでいただけない。


「それなら、明日リオの装備を整えてから行きましょう」

「やった~~!」「ピコ~~!」


 リオたちは嬉しそうに喜び合う。そんな二人を見てジンたちは微笑ましいものを見ている様な表情を浮かべた。




 ところで、ジンたちは食堂の奥のテーブルに座っており、喋り声も周りの喧噪に比べたら小さく誰も彼らの話を聞いてなさそうであった。



 ただ、怪しげな三人組を除いて……。




――― ◇ ――― ◇ ――― ◇ ――― ◇ ――― ◇ ―――




「オ~~~~ホッホッホッホッホ」


 三人部屋に高らかな女性の笑い声が響き渡る。

 その声の発生元は、赤毛の内側にロールしたボブカットの女性だった。目元は少しきつめの感じだが全体的に整っており美人に分類されるだろう。ライラの様に動き易い格好だがハンター風にしてはどこか気品もあった。ただ、その笑い声でいろいろと台無しだったが……。


「お止め下さい、マリー様。近所迷惑です」


 その女性をマリーと呼んだのは細身の男性だった。メガネを掛け黒髪短髪のインテリ風で、手には魔術師の杖があった。



「いいではないか。どうせ、お前が結界を張っているのだろう」


 そう言うのは、金髪ショートの女性だった。軽装備ながらも金属製の物が多く、剣と盾とを装備していた。



「確かに張ってはいますが、それとこれとは別の問題でしょう。

 先ほども、あの食堂で声を上げそうだったではないですか」

「それこそ、ここでは問題が無いのだからいいではないか。

 マリー様のことで細かすぎるぞ、お前は」

「貴方がいい加減すぎるからでしょう」


 そう彼女らは先ほどジンたちのいた食堂にいた怪しい三人組だった。いまは、別の宿の一室に帰って来たところだった。堪えきれなかったのか正体を隠していたローブを脱ぎ捨てた途端にマリーは声を上げたのだった。

 そんな彼女の奇行を知り尽くしていたのか、男性の魔術師が魔術で音が漏れない様に結界を部屋に張ったようだ。


「ラルクもヘルネも、わたくしの事で喧嘩はおよしなさい」

「「はい、マリー様」」

「しかし、これであの者たちに一泡吹かせられると思えば、笑いもしようと言うものです」

「……でも、よろしいのですか」


 ラルクと呼ばれた男性は、そうマリーに尋ねるのだった。


「何を言う。遺跡は早いもの勝ちだろう」


 そう、彼女らはジンたちより先に遺跡に行くつもりだった。先ほどの話ならば先に遺跡に行く事も出来るだろう。彼女らは連日のジンたちの動きも知っていた。何気にストーカーだろう。



「いや、そうでは無く、何やら怪しげな感じを受ける。

 あの少女もあの案山子も……」

「相変わらず、お前は心配性だな。

 それなら、明日あの老人にでも確認を取ったらいいであろう」

「そうですね。

 明日、あのご老人にでも会いに行きましょう。

 それからでも遅くは無いでしょう」

「……はい」




 ラルクにしてみれば、あの老人の人物も怪しさでは負けてはいなかったが。

 ま~ラルクが言うのも変な話だろう、彼らも十分怪しい人物たちであったので。

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