神酒の願い【神酒視点】
すっかり変わり果ててしまったベルの前に立った時、あたしは彼女の痛々しい姿に感情を押し殺すのがやっとだったことを憶えている。
「よく・・来てくれました・・・。」
目前のベルが、そんなあたしの気持ちにはお構いなしに話しかけてきた。
ベルのニヤリとした笑顔は決して純粋なものじゃないってことは判っていたし、それがレギオンの企みだっていうことも知っていた。
そして、あたしを殺そうとしているということも・・・。
あたしはね、本当はここから逃げようと思っていたの。
だって、さっきキララたちと約束したばかりじゃない。
必ず生きて帰るって・・・。
でも、頭では判っていても、どうしてもそれができなかった。
あたしには想像できないような悲しみを背負って、しかも悪魔にまで乗り移られてしまったベル。
ほっとけるはずがないじゃない。
冷静でいるようで、実は混乱しているあたしの頭の中。
でもね、そんな時、キララたちの声がしたんだ。
空耳だったかも知れない。あたしが勝手に想像しただけだったのかも。
でもね、その声は確かにあたしにこう言ったんだ。
ナミ 「いいよ、ミキ。あなたの思うままにやりなさい」
リコ 「悪魔が一番嫌がることをしてやりな!」
キララ「ここまで頑張ったんです。ミキさんの願いは、きっと叶いますよ!」
うん!
だからあたしは・・・無言でベルを抱きしめた。




