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小さな希望

 神酒の体に衝撃が走ったのは、そのすぐ後のことだった。

 最初神酒は、パラケルススの突進で自分の体が投げ出されたのだろうと思った。だが、それは違っていたのだ。

 彼女の体にぶつかってきたそれは、彼女の体を優しく包み込むと、その身を反転させ、まるで神酒を守るかのように彼女を抱きかかえたのである。


 誰?

 終焉を覚悟していた神酒は、突然に起きた自分の身の上に興味を感じ、そっと目を開けた。そして急に彼女の中に流れ込んできた安堵感に目を大きく開き、そのまましばらく動けなくなってしまっていた。


 そこには、ロバート神父の姿があったのだ。


「大丈夫か!?ミキさん!」

 神酒は最初、自分の身に何が起きたのかよく判らなかった。しかしそこに初めてロバートの存在を確認したのが徐々に理解できてくると、今までの緊張感が解れたのか、目に薄っすらと涙が浮き出していた。

 思えば神酒が雛の森に迷い込んでから今まで、一度として心が本当に安らぐ時間は無かった。大人のいない世界がこんなにも不安なものだとは想像もしていなかったのだ。

 しかし、今は自分の身を案じてくれる頼れる大人が目の前にいる。神酒にしてみれば、こんなに心強いことはないだろう。


「ミキさん、大丈夫か?」

「神父様・・・。あたし・・、あたし・・・」

「ミキさん。疲れているだろうけど、泣くのはもう少し後にしてくれ。」

 ロバートが、こちら注意を向けて身構えているパラケルススをキッと睨む。


「ぼくにはまだ君を守りきる自信が無いんだ。君が協力してくれないとね」

「はい!」

 神酒は両手で自分の涙を拭くと、しっかりと自分の足で立ち上がった。

 絶望と悲しみの中で全てを諦めていた彼女に、希望の光が射したのだ。


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