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【完結】聖女召喚!……って俺、男〜しかも兵士なんだけど……??  作者: バナナ男さん
半年後の話

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61 王家の策略

(大樹)


頭を吹っ飛ばしたモンスターを思い出しながら、あいつのせいでずっと《聖零華》が入手できなかったんだもんな〜と続けて考えていた。

その間にニコラは、国民達の反応に対して満足気に笑う。


「そのモンスターは見事討伐されました。その愛し合う二人が愛の力で悪きものを倒したのです!」


いや、普通に俺一人で蹴飛ばしただけだけど……??


さも感動しました!という様子で目尻を拭くニコラに、国民達は神妙な顔に。

そしてその内の一人が、あ────!!!と大声で叫ぶ。


「それレオンハルト殿下だ!!街中をその《聖零華》を持って歩いてたの俺見たぜ!!」


────ザワッ!!!


『レオンハルト』の名を聞いた途端、ざわつき始める国民達。

そして、その言葉が合図の様にワイワイと一人、また一人と喋り出した。


「私も見たわ!!すっごい平凡な顔のお供?と歩いてた!!」


「えっ……まさか……今チューしてた人じゃない?

じゃあ、レオンハルト殿下が平凡なおじさんに迫ってたって噂、マジだったんだ……。」


「ハイハイ!!俺のその会話聞いちゃったもんね〜。絶対アレは怪しいと思ったね!やっぱりそうだったんだ!」


うん……行きはマント取れちゃったし、更に帰りはそのマントが破けて使えなかったからさ……。(レオンハルトが破ったから。)

そんな理由で帰りはレオンハルトは顔丸出しで《聖零華》持って歩いて帰ったもんな。

バレバレ!


ニコラはそれを笑顔で聞いていたのだが、ちょうど良い頃合いを見て、ちょいちょいと後ろに向かって指を振る。

すると後ろから随分くたびれた様子のスレンダーなおじさんが前に出てきて────俺を殺す勢いで睨みつけてきた。


実はこのスレンダーおじさんは、あの太っちょザイラス。

この10年ニコラに酷使され続けてこんな姿に。

……まぁ、健康的になってバンザイではあるが。


ザイラスは続けてレオンハルトを見つめ、さめざめと泣きながら、スッとニコラに何かの紙を渡す。

それからはひたすら俺を睨む!

睨む!睨む!!!

こいつは10年間変わらず俺に恨みを持ち続けた猛者。そして今も続く。


ずっと俺に執着して研究室にこもっていたレオンハルトと何か通じるものを感じるぞ?


汗を掻きながらスイッ……と静かに視線を逸らすと、ニコラはその紙を開き国民達に向かって広げた。

するとそこには────……。


《婚姻は異性のみならず同性の場合も認める法律が可決!》……と書かれていた。


「えええええええ────────!!!!??」


それには俺はビックリ仰天!

勿論国民達もビックリで、一斉に驚きの悲鳴を上げた。


「えっ!!同性婚をニコラ王は認めるって事!!?」


「おい、ちょっと待てよ。って事は、レオンハルト殿下は、王宮を追い出されたんじゃなくて、もしや……。」


「打倒王族!のリーダーになったんじゃなくて、愛する人(男)を選んで自ら……。」


「きっと愛を貫いたのよ!全てを捨てて……なんてロマンチックな愛なの!!」


ココらへんで嫌に美談的な流れに話は逸れていき、何やら怪しい感じになってきた。


「レオンハルト王子の病気説も嘘だったみたいだぜ!なんていっても街で問題になっていたスリ集団の主犯格達を全員一瞬でぶっ飛ばしてたからな!」


「なんてこと!自分を認めてくれない国のために戦ってくれるなんて……素敵ぃぃぃ────!!レオンハルト様〜〜!!」


「そうだよな!別に同性が好きだろうがレオンハルト王子は国の英雄だ!

同性婚バンザイ!俺は賛成だ────!!」


「…………。」


俺は、その非常に単純な国民達の思考とニコラの鮮やかな手腕の両方に汗を掻き、口をぴっちり閉じた。


嵌められた……。

ニコラ達に……。


ニッコニッコと笑顔のニコラと王を支えし女達。

要は、10年間消えることがなかった王族に対する悪い噂をここいらで払拭したかったのだろう。

どんなに良い政治を行っても、必ず不満は現れるわけで、その際にその悪い噂……つまりはレオンハルトの事を火種にされれば、何かしらの大きな問題になってしまう事だってある。

その噂を消し去ろうと、加害者疑いのニコラ達が奮闘した所で、火に油。

余計にあらぬ噂が立ってしまう。

だったらレオンハルト本人から説明させれば……と思っても────。


俺はフッ……とこちらに帰ってきた時のレオンハルトの姿を思い出し、痛む頭を撫でた。


あんなゾンビみたいな状態では、噂は真実となって話は広がっていくだろうと思われる。


俺が帰ってきてシャキッ!としたレオンハルトに説明させても、今度は『じゃあ、なぜ王を辞退したのか?』と邪推されるのがオチ。

そして平凡な男とエッチして過ごしたいなんて言った瞬間、同性婚禁止!の法律にバッシバッシと引っかかり、王家は断罪必須。


それで今、このタイミング。

よく考えたもんだ……。



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