表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女召喚!……って俺、男〜しかも兵士なんだけど……??  作者: バナナ男さん
半年後の話

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/65

52 不安あり

( 大樹 )



森へ行くにはまず王宮を出て街中を突っ切っていく必要があるのだが、せっかくなのでそこで夕食とつまみ、酒の買い出しをしていく事にして、出店が立ち並ぶエリアをプラプラ歩き回る。



ちなみにレオンハルトは顔がそれなりに知られているため、旅人用マントに深くフードを被り、顔が見えない変装済み。



レオンハルトは今まで欲しいものイコール商人が来て置いていくという買い物の仕方しかしたことがなかったため、初めて街中に来た時は、非常に興味深そうにフラフラ歩き回っていた。


その時の楽しそうな様子を思い出すと、ププッと愉快がこみ上げるのと同時に、せっかくだし世界中を歩き回る旅に出るものありかな〜?ととも思っている。



しかし────



目の前で出店のお酒を念入りに手に取りチェックしているレオンハルト・・の近くにいる若い女性達がチラチラとレオンハルトに視線を送るのを見て、何とも言えないモヤッとした気持ちになってしまった。



レオンハルトの顔がいい。めちゃくちゃいい。


そして背は高く体格もガッチリしていてスタイルだって抜群。



つまり、顔を隠していても漂うイケメンオーラで、人が多い所を歩けば大抵の人達が振り向き、こうした好意的な視線を向けてくるのだ。


俺はもう一度チラッと、レオンハルトに好意的な目を向けている若いお嬢さん方に視線を向けると、その美しさと若さと自分を比べて、密かにガガ────ン!とショックを受ける。



容姿、平凡。


歳アラサー、若くない。


職業、元兵士の今はヒモ。



勝てる要素ゼロ!!



思わずフラッ……と膝から崩れそうになったが、フンッ!とその場に踏ん張って耐える。



いや、だからさ?何が言いたいのかと言うと、広い世界に旅に出た先で突然レオンハルトが────……



” やっぱり若くも美しくもない、結婚できない、子供もできない男同士はちょっと……。


美しい若い女性と結婚することにしましたので、ここでお別れですね。


さようなら、大樹様 ”



────ってなってもおかしくないって事!




ううううぅぅぅ…………。



心の中で唸り声を上げて、ズキズキと痛む心臓を押さえた。



現在この国は同性愛に対してかなり厳しく、その理由は ” 生産性がないから ” であった。


だからこそ同性愛者達に人権なし!と言われるくらい周りの見る目も厳しいため、俺とレオンハルトの未来は多分茨の道。


実はそれが分かっているから寛容な王宮内から出たくないという本音もチラホラと持っていたりする。



俺は別に何を言われても全然気にならないが……。



お酒の品質や名産などを細かくチェックするレオンハルトをチラッと見る。



レオンハルトって多分繊細だと思うんだよな〜……。



腕を組みながら、ふぅ〜……と大きなため息。



なんかこそこそと同性愛についての世論調査的なモノをまとめていたみたいだし?



いつも通り好き放題俺を扱った後、どうやら動かなくなった俺を気絶したと思ったのか、まぁ……いつも通りその後もしばし好き放題楽しんでいたみたいだが、その後突然隣で何かの資料を纏め始めた。


それを気絶していなかった俺がチラッと見ると、そこに書いてあったのが、ソレというわけ。



あ、気にしてるんだ……。


俺との事……。



てっきり誰が見てようが平気でおっぱじめる事から、周りの目なんて気にしてないと思っていたが、意外に気にしていたらしい。


それに気づくと、何となく不安な気持ちが強くなっていった。



俺達は男同士だから結婚はできない。


つまりどちらかが心変わりしてしまえば、あっさりと切れてしまう関係しか結べないのだ。



俺はそれが怖い。


世の中には、俺なんかよりも遥かに魅力溢れる人間がゴロゴロいるから。



レオンハルトはお店に出ているお酒を気に入ったのか、あっさりとそれを買い、更に隣の店を覗く。


真剣な眼差しを後ろの方から見つめた後、選ばれなかった商品達へ目を移す。



アレは未来の俺の姿……なんちゃって〜。



思わずジト〜……とした目を向けてしまうと、突然後ろからドンっと男がぶつかってきて、そのまま過ぎ去って行った。


その去っていく背中を見て、全く……とため息をついた俺は、そのままトンっと飛んでそいつの前に移動すると、そのぶつかって来た男はギョッとして動きを止める。



「 なっ……なんか用ですか? 」



「 ん〜?別に用事って程じゃねぇんだけどさ、悪いけどお前の懐に入ってる俺の金、返してくんね? 」



ピッと男の胸元辺りを指差すと、男はハッ!とした様子でその場所を押さえる。


何となく物々しい雰囲気を察した周りがざわつきだしたが、俺は気にせず挑発するような態度をとった。



「 ついでに周囲にいるお仲間さん?


えっ〜と、いち、にー……合計8人だな。


そいつらがとった金も持ち主に返してやれよ。 」



「 ────っ!!なっ!!なんの事だよ!!


根拠のないイチャモンつけてんじゃねぇーぞ!!コラァ!! 」



図星を指されたからか男は激昂し、腰に差していたナイフを抜くと、周囲からちょうど8人のお仲間さんがゾロゾロと出てくる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ