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聖女召喚!……って俺、男〜しかも兵士なんだけど……??  作者: バナナ男さん
半年後の話

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50 王との会話

( 大樹 )




「 側妃に定められた渡りの時間と節度はキッチリと守っていたのだがな。


それでもきっと、私の態度で色々と察してしまったのだろう。


その結果ーー・・



・・・それにそれだけではない。


彼女は自身の欲しいものをすべて手に入れるため、その度に邪魔だと思うモノすべてを排除したがった。


非常に頭がキレる女性だった。


それこそ、その気質がなければ誰よりも妃に相応しい才能を持っていたと思う。


だから・・・


・・

アレしか方法はなかった。 」




一度大きく息を吸った王は、僅かに眉を歪ませたが直ぐにそれを隠す。



「 ・・いや、違うな。


私は復讐したかった。


愛する人を奪い、罪なき者たちを狡猾に消していくあの女に。


その結果、私は直ぐに病に倒れたから、きっとこうなったのは天罰なんだろうと思っているよ。



レオンハルト、お前は私の様になるな。


復讐する力があるなら、” 取り戻す力 ” に変えた方が良い。


これが何もできなかった私のお前に送る最後の言葉だ。 」



レオンハルトはその時、ピクリと反応しまっすぐ見つめてくる王の目をジッと見つめていたらしい。


そんなレオンハルトを優しげな目で見返した王は、続けてニコラへと視線を移した。



「 私はお前から母を奪った男だ。


復讐したいと願うか? 」



そう問われたニコラは何と吹き出したのだそう。


そしてクスクスと笑いながらそんな王の質問に答えた。



「 実はですね、私は王子としての才能と実力はあると自負しているのですが・・


どうも ” 子 ” としての才能には恵まれなかったらしいですね。



私にとって大事なのは ” 秩序と正当性 ” 



愛などというモノより遥かにそれが大事なのです。


きっとこれは生まれながらの気質なのでしょうね。 」



その答えに王は一瞬驚いた顔をした後、大声で笑う。


ニコラはそれを見てニッコリしながら、今度は瞳に僅かな生気を取り戻したレオンハルトに向かって言った。



「 レオンハルト兄様。


実は私は王になりたくありません。


正直面倒ですし、大変な事も多い。


王になれば愛に生きる事は一生許されず、自由も一切なくなるでしょう。


このまま兄様のスペアとして悠々自適に暮らしたいと思っていますが、兄様はどうお考えでしょうか?


どうかお考えをお聞かせ貰えませんか? 」




レオンハルトはゆっくりとニコラの方へ視線を動かした。



そしてーーーーー





「 ーーで、お前が王様になったって事か。 」



「 フフッ。まぁ、そういう事です。


レオンハルトお兄様は元王子という立場になりました。


研究塔と多額の研究費用、今までの研究資料達と自由な時間と引き換えに身分を無くしたと言う事です。 」



やはり嬉しそうなニコラに、ジト〜とした目を向けた。



「 ーーで?レオンハルトを必死に止めてまで、俺にその話をしたかった本音は? 」



「 ・・いえ?特に裏などありませんよ?


でもしいて言えば・・聖女様は非常にお優しいお方の様なので、この話を聞いたらもう離れられないだろうとは思ってます。 」



それを聞いて、やられた〜・・と俺はソファーの背もたれにグタ〜と身体を深く預けた。



要はニコラは俺という人間がどういった人物なのか、じっくり見定めたかったらしい。


だからこんな話をして、俺の反応をみたのだと思われる。


そして恐らくは合格?だったから、今こうして穏やかな話し合いで話を終えたというわけだ。




「 ・・もし俺が、不合格な人間だったらどうしてた? 」



「 どうもしませんよ。そもそもそんな出鱈目なお力を持つ方をどうにか出来ませんしね。


でもーーー・・そうですねぇ?


いつかは見つかるかもしれませんね。



未来は常に変則的で未定ですから。 」




こりゃ〜強敵だわ。



笑顔の下に全てを隠し、恐ろしい程淡々とこいつは自身の欲を叶えていくだろう。



その ” 秩序と正当性 ” という欲を。



とりあえず俺はその枠からはみ出ない様に気をつけよう。


そう決意した、その時ーーーーとうとうアルベルトを突破したらしいレオンハルトが部屋に飛び込んできて、今度はガミガミと怒り出す。



俺に。




いや、何で俺、怒られるの??



そう思っていたら、レオンハルト曰く



「 大樹様はわたぼこりみたいな人なんですから、ふわふわどこかに行かないで下さい!! 」



らしいが・・・




わたぼこりってさぁ・・


もう少しいい表現ないの??




本気で思ったが、ギューギュー抱きしめてくるレオンハルトに俺は何も言えなかった。






そんなある日の思い出に浸り、思わず遠い目になってしまったが、とりあえず目の前のニコラへ意識を戻すと、その花についての知識を頭から引っ張り出す。



年始にしか咲かない花


通称《 聖零華 》



これは真っ白な花弁が美しい、形的には薔薇に似ている花だそうだが、全体的に透き通っているそうだ。


絵画で見る限りは、花というより水晶に近いのかも知れない。


森の深い場所にしか咲かないため入手難易度は非常に高く、しかも現在はほぼ入手不可、その事から昔は偉い身分の人に物申す時に事前に贈ったとされているが・・


現在の主な使用目的は病気や怪我に効く材料にする事。


様々な効能があるため、スーパー万能薬とも言われている凄い花らしい。



そんな花をニコラは一体何に使うつもりなんだか。



一癖どころか百癖はあるニコラをジトーっと疑いの目で見ていると、バターン!!と大きな音を立ててレオンハルトが部屋に飛び込んでくる。


そして当然の様にガバッとソファーに座る俺の腹に顔をつけ抱きしめて来た。



ニコラと話す時はアルベルトが足止め( 剣で )


そしてその後はアルベルトの攻撃を振り切ったレオンハルトがこうして抱きついてくるーーが通常パターン。



そしてーー・・



「 全く!ススの子みたいに動き回らないで下さいよ!!


忌々しい!! 」



< ススの子 >


屋根や部屋の隅に気が付いたら溜まっている汚れの塊


子供の様に神出鬼没なためそう名付けられた


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