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聖女召喚!……って俺、男〜しかも兵士なんだけど……??  作者: バナナ男さん
本編

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25/65

25 ありがとう

( レオンハルト )


しかし、どうにか納得できる言い訳を探そうと必死に考えてみたが、情事の最中の事を思い出してしまって頭の痛みは更に増す。



多分反応からも行為自体が初めてだったはず。



それに気づいてはいたが、すっかり興奮してしまっていた私は、戸惑い身体を離そうとする大樹様を押さえつけ、その耳に酷い言葉を投げつけた。


「 私の事が好きじゃないのか? 」だの「 黙って受け入れろ。 」だの……。


「 大人しくしないと二度と会ってやらないぞ。 」だの、そんな脅しを掛けて嫌がる大樹様に無理やり自分を受け入れさせたのだ。



「 …………。 」



何故こんな酷い事をしてしまったのか……。


そんな後悔はあったが不思議と喜びの感情が大半を占めていて、更には自分は悪くないという気持ちさえあった。



嫌がって自分を受け入れようとしない大樹様が悪い。


自分をここまでおかしくした大樹様が悪い。


だから大樹様が責任をとるのは当然の事じゃないか……?



最初、僅かに私を拒否しようとしていた様子を思い出し、ムッとしながら大樹様を見下ろしたが……自分の前で安心したように目を閉じているその無防備な姿に、気持ちはあっという間に落ち着いていく。



凶暴な思いに支配され、” とにかく自分を受け入れて欲しい ” 


そればかりを押し付けてしまったが、次第に柔軟に自分を受け入れる大樹様に、今度は今まで誰にも感じた事がない愛おしさを感じた。



” これで大樹様は私のモノ ”


突如湧いてきたその想いにまた興奮して────……




それからまた長く続いた凄まじい快感を思い出し、体が熱くなりそうになったが、必死でそれを抑えつける。



どうしよう……。


” 嬉しい ”


酷い事をしてしまった……。


” でもこれできっと一生私から離れられないでしょ? ”



理性的に考えようとしているのに全く真逆の事を考える自分に動揺しながら、更に無意識に大樹様の身体に手を伸ばそうとした、その時……


「 ……う……ん……。 」


大樹様が声を上げてゆっくり目を開ける。



────ギクッ!


怯える様に身体を揺らしてしまったが、直ぐに大樹様に言ってやる言葉を頭の中で思い浮かべた。



” 合意の上だった ”


” 大樹様も気持ち良さそうにしていたし、抱かれて嬉しかったでしょ? ”



また脅すような言葉ばかりが頭に浮かび、その後悲しみ呆然とする大樹様に向かい最後はこう言ってやった。




” 仕方ないので責任をとって、このまま側に置いてあげますよ。 ”




なにせ ” 初めて ” を貰って、心も体もぐちゃぐちゃにしてやったのだから、男相手とはいえ責任はとってあげないと流石に可哀想だ。


そう思いつくと、どんどんと機嫌は良くなっていった。



側に置くのだからそれ相応の場所に住まわせてやって、いつでも通える様にしておこう。


それにみすぼらしいと私が恥をかくから、ふさわしい服や装飾品を贈って────……



これからの事を考えワクワクしていたのだが、目を覚ました大樹様の目から突然ボロボロと涙が流れ落ちたため固まり、考えていた事は全て吹き飛んでしまった。



……無理やりだったから?


それとも痛かったからとか……?


初めてなのに何回もしたからとか……?



混乱する私をよそに、大樹様はゴシゴシと乱暴に涙を拭き「 ありがとう……。 」とお礼を告げてくる。


なぜ礼を告げたのか本気で分からなかったので、とりあえず黙ったが……大樹様はそのまま続けて言った。






「 もう一度会えた。





だから……ありがとう。 」






そう言って泣きながら笑う表情を見て……初めて締め付けられる様な胸の痛みに襲われる。



それから「 少しだけ一人にしてくれ。 」と言う大樹様に何も言う事ができず、私は無言で着替えてそのまま部屋を出ていった。





部屋を出た後はトボトボと歩きながら、何気なく窓の外へ視線を向けると既に空は真っ暗で……そのことからも、随分長いこと大樹様の身体に夢中になっていた事にやっと気づく。



「 ……クソッ……。 」



ぐちゃぐちゃな感情が気持ち悪くて、思わず悪態をつくと、とにかく思いつく限りの大樹様を否定する言葉を思い浮かべた。


” 男だし ”


” 無礼だし ”


” 中年だし ”


” 美しくもないし ”


” 性格だって多分……ちょっとだけ悪いし、口も悪いし ”



次々と頭に浮かんでくる大樹様のマイナス面に、頭は冷えていき ” だからこんなのは一時の過ちだ ” と言い聞かせたのだが……




” ……あ……好き……。うん、好き……大好き……。 ”




” 好きだって言え ” と命令して無理やり言わせた言葉を思い出すと、心臓がズキ────っ!!とあり得ない程痛みだし、思わずしゃがみ込んでしまう。



その痛みに必死で耐えているのに、続けて思い出す心も体も痺れるような強烈な快感の数々に、そのまま身悶えた。



私は……


私は……


違う、違う……



もはや何に言い訳しているのか分からないまま、ゆっくりと立ち上がると、その場を離れるためにヨロヨロと歩きだす。


すると、更にトドメと言わんばかりに最後の大樹様の言葉が頭の中に響いた。





” もう一度会えた。





だから……ありがとう。 ”





ガタガタッ!!────ガシャンっ!!



通路の脇に置いてある小さなテーブルに激突し、更に花を活けた花瓶をその勢いで落としてしまった。



────ハッ!!



そこで我に帰った私が周囲を見渡すと、侍女や官僚達が驚いた様子でこちらを凝視しており、オロオロとしている姿が見えた。



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