11 王になるため
(レオンハルトサイド)
「なんてことだ!!あの蛮族めが殿下に何と罰当たりな事をぉぉ〜!!
大口叩きおって!どうせ実際にモンスターと対峙したら直ぐに泣いて逃げ帰ってくるに決まってます!
────フンッ!!おいっ!アルベルト!!
せいぜいあの蛮族は上手く囮にでも使って、最後はお前たち騎士達でとどめを刺せ!
その後はなんとかしてあの者を亡き者に────。 」
「無理です。あの方は強い。数を揃えても亡き者にされるのは我々騎士団の方だ。」
あっさり、スッパリと告げられた言葉にザイラスは、「────なっ!!」と絶句する。
「貴様は何を弱気な事を言っておるのだ!!専属騎士としてのプライドはないのか?!
自身の君主たる殿下が、ここまで侮辱されたのだぞ!!?こんな事許されるべきではない!!
────そうですよね!?殿下!!」
ザイラスが同意を求めてバッ!!レオンハルトの方を振り返ると、そこにはまだボンヤリとしたままの殿下の姿があった。
「「…………。」」
ザイラスとアルベルトが驚いて黙っていると、レオンハルトはぼんやりしながら自身の鼻をソッ……と触る。
「……メッって言われた……。初めてあんなに怒られた……。」
「殿下っ────────!!!!!」
ザイラスの絶叫する声がレオンハルトとアルベルトの耳を攻撃し、二人は堪らず耳を塞いだが、ザイラスの声の攻撃はそのまま続く。
「王になろうともいうお方が、あの様な蛮族の戯言に惑わされてはなりません!!気を強くお持ち下さいませ!!
弟君とその派閥の者達に、付け入る暇を与えるおつもりですか?!」
『弟』という言葉にハッ!としたレオンハルトは、直ぐに表情を引き締めた。
現在この国では2人の王子がいて、第一王子であるレオンハルトが王位継承権第一位だが、王妃が産んだ子供ではないレオンハルトを決して認めようとしない者達も存在している。
しかし今回のユニークモンスター討伐を見事成功させれば、異議を唱える者達は消え、時代の王は完全にレオンハルトに決定するだろう。
そのために反対する意見もある中、無理やり聖女召喚に踏み切ったのだから。
「分かっている。心配するな。
聖女が女であったならそのまま予定通り王妃として迎え、地位をより確かなモノにできたというのに……本当に忌々しい事だ。
────アルベルト、とりあえずあの蛮族には好きにやらせてみて隙あらば始末を。
そしてザイラスの方は俺達が討伐に向かう間に、次の聖女召喚の準備に取りかかれ。」
「────はっ!」
「……はい。」
ハキハキと返事をするザイラスに対し、アルベルトの方は少々歯切れの悪い答えだったが一応は了承する返事を返す。
それに対し気に入らなかったらしいザイラスは、一瞬ジロッとアルベルトを睨みつけた後、コソコソとレオンハルトに耳打ちした。
「殿下、それと秘密裏に勧めている兵器についても順調でございます。
この研究が成功すればモンスター共は全て根絶やしにできる事でしょう。」
クックッと笑うザイラスに、レオンハルトはニヤッと歪んだ笑みを返すと、自らもユニークモンスター討伐についていくための準備に向かった。




