ハースキリの物語の概要
ダラ・ハースキリはもともとルサー人だったが、最初の妻に追いつくため、国籍を雲霓に変えた。
妻は雲霓軍军部の隊員であり、ダラは妻の父に認めてもらうため、自ら雲霓軍官学校に入学した。
だが彼の才能はあまりにも驚異的で、学校でも戦場でも常に戦功を立て、称賛を浴び続けた。
やがてたちまち大校にまで上り詰めた。
だが、軍人になったことは、彼にとって最後悔やむことになる選択だったかもしれない。
その後、ダラは妻を連れて戦場に赴いた。
ある戦闘で部隊は敵の襲撃を受け、ほぼ全滅。妻は敵に討たれてしまう。
その瞬間、悲しみのあまりダラの力は一気に開花し、彼は妻の遺体を抱え、生き残った兵士たちを率いて敵の半数を撃破し、脱出を果たした。
その日は、ちょうど彼の 35 歳の誕生日だった。
帰後、ダラはずっと「自分が妻を戦場に連れて行ったせいで殺してしまった」と自分を責め続けた。
戦争のため常に命の危険にさらされ、いつ自分が死んでもおかしくない状況。
だからこそ、もう二度と誰も愛さないと決めた。
これ以上、誰かを不幸にするわけにはいかない。
彼は心を閉ざした。
その後も十数年にわたり戦い続け、ダラは戦場で己を磨き、力を高めていった。
70 歳近くになり、自然な老いを迎えようとした時、彼はついに限界を突破し、寿命が延び、若さを取り戻した。
これをきっかけに少将に昇進。
80 歳を超えた頃の戦争が終結し、世界は未曾有の平和を迎える。
だがダラは軍人としての道を離れず、使命を忘れなかった。
戦争はいつ再燃してもおかしくない。
自分は気を抜くわけにはいかない。
100 歳の誕生日、軍が祝宴を開いてくれた。
その日、一人の女性が彼の人生に現れた。
長生きした甲斐があって、彼はすぐに違和感に気づいた
その女性は他の男性から人気があるのに、誰にも素っ気なく、なぜか自分ばかりを特別に気づかってくる。
これはヤバい、とダラは危機感を覚えた。
ある日、我慢できなくなったダラは彼女を呼び出し、自分に対する思いを尋ねた。
案の定、予想通りの答えだった。
ダラは自身の気持ちを告げ、はっきりと拒絶した。
だが、ここまで言われても彼女は諦めず、「これからもずっと追いかけます」と告げた。
ダラは仕方なく、彼女から離れるため、一時的に雲霓を離れることにした。
故郷に帰ってみようと思ったのだ。
そして、そのまま 50 年が過ぎた。
再び雲霓に戻ろうと思ったのは、一通の手紙がきっかけだった。
手紙の住所を頼りに、ダラは雲霓の病院へ行き、看護師に案内されて病室の前に立った。
ノックし、返事を聞いてから部屋に入った。
中に入ったダラは、ベッドに横たわる老婆を見て固まった。
彼は始法の気で彼女だと見抜いた。
世間話をするうちに、彼女が一生、結婚しなかったことを知る。
ダラは放心状態になり、体が震え、激しい後悔と自責の念が込み上げてきた。
自分が彼女の人生を台無しにしてしまった。
なぜ、彼女はそこまでするのか。
ダラには理解できなかった。
最終的に、彼は原因をすべて自分に帰した。
自分が他人を愛さなくても、他人が自分を愛さないとは限らない。
だから、もう優しく親切な人間ではいられない。
厳しく、無愛想な上官になろう。
この方法は見事に効果を発揮し、その後 200 年間、異性が彼に関心を持つことはなかった。
ただ、途中で「竜」という男と知り合った。
面白い男で、一緒にいると心が和む。
だが、彼はなんと、ダラが 80 歳の時に天秦人と戦った際に遭遇した仮面の男の双子の弟だった。
あの男は非常に強かった。だからダラは、あの男を倒すことを目標にしようと考えた。
その後もダラはひたすら修行を重ね、天性の才能と努力により、人間の限界まで力を高めた。
雲霓で 3 人目の大将となり、現在は雲霓随一の大将だ。
もはや自然死などダラには通用しない。
無謀なことをしない限り、死ぬことはない。
この間、ダラは何世代にもわたり優秀な将校たちを育て上げ、国に送り出した。
生徒たちは皆、ダラを尊敬している。
あの厳しい教官がいなければ、自分たちは今この地位にはいない。
だが、ダラは本当に今の生活に満足しているのだろうか。
彼は心の中に、何か欠けたものがあると感じていた。
ここまで登り詰めても、生きていく目標が見つからない。
だから、時折、死にたくなるような考えが浮かんでしまう。
夜奈のもとへ行きたい。
だが、何事もないと思った時に、限って予期せぬことが起こるものだ。
ある夜のこと。
居酒屋を出たダラと竜は別れ、ダラは家の近くの歩道橋を歩いていた。
すると、一人の少女が橋のふちで泣き叫んでいるのが目に入った。
少女は一気に欄干によじ登り、ためらうことなく身を投げた。
「バチッ!」
稲妻が走り、少女は助け上げられた。
だが少女は感謝するどころか、泣きながらダラを罵り、なぜ助けたのかと問いつめた。
ダラも久しぶりにこんな扱いを受け、酒も入っていたことから、思わず少女を強く叱責した。
だが、だんだんと声が小さくなっていく。
少女は反論した。
自分は不治の病にかかっている。
治療費もない。
こんな人生、早く終わらせたほうがましだ。
ダラは一瞬、凍りついた。
理由は少女の言葉ではない。
この少女の顔が、あの人と…… あまりにも似ていたから。
我に返ったダラは、自分が治療を手伝うと告げ、明日、またこの橋で待つように言った。
だが少女は、もう家を売ってしまったと答えた。
仕方なく、ダラはなぜか少女を自宅に連れ帰ってしまった。
家に帰ったダラはトイレに閉じこもり、鏡の中の自分を見つめた。
まさか、心を動かされたのが自分だなんて!
鏡の中の自分を罵り、問いかけ、怒りながら、いつしか涙を流していた。
その後長い年月、ダラは少女のため、あらゆる病院を探し回った。
治療を探している間、ずっと彼女を介抱し続けた。
途中、少女はダラの正体を知り、驚きと共に信じられない様子だった。
また、この大将が子供たちをとても可愛がり、よく相手をしていることも知った。
少女が理由を尋ねると、ダラはこう答えた。
自分は子供を育て、教えることが好きなのだ。
だから何世代もの生徒を育ててきた。
それは彼にとって大きな誇りだった。
だが残念なことに、彼には自分の子供がいなかった。
少女は固まり、心の中で決心を固めた。
3 年後、ついに少女の病気は完治した。
周りは皆、喜んでいた。
だがこの時、ダラは言った。
「病気は治った。もう、お前のやりたいことをやりなさい」
二人は長い時間を共に過ごし、数々のことを経験してきた。
少女はもうダラなしでは生きられないと気づいていた。
だからこの言葉を聞いて、恐怖に駆られた。
少女は言った。
「ここまでしてくれたのは、ただ病気を治すためだけだったの……?
私、大将様から離れたくない……」
少女はダラを抱きしめた。
ダラは呆然とし、長い時間が経ってから、慎重に彼女を抱き返し、小さくすすり泣いていた。
半年後、二人は結婚した。
結婚式の場で、多くの人が二人を見守り、祝福した。
ダラはひざまづき、左手の薬指につけていた古い指輪を新しいものに替えた。
二人は、心から笑っていた。
だが神様は、人の幸せをからかうのが好きだ。
結婚から 4 年目、少女の病気が突然再発し、急速に悪化。
やがて、息を引き取った。
すべてがあまりにもあっという間だった。
ダラは墓の前にひざまづき、心は死んだように無感覚になっていた。
そばにいる 4 歳の息子を抱きしめた。
それが、彼に残された最後の支えだった。
その日は、ダラの 400 歳の誕生日。
今後の誕生日など、すべて忘れてしまいたいとさえ思った。
一生、誕生日など祝わない。
だが、忘れられるはずもなかった。
その後の年月、ダラは息子を育て、孫を育て、ひ孫を育てた。
489 歳の時、人魔戦争が勃発した。




