第23話:ホムセンDEデート再び
低反発ウレタンの素材が無くなったので。
美里用の物体も製作途中ながら。
ホームセンターへ買い出し。
ホムセンDEデート。
「高校生カップルのデートスポットとは言い難いとは思う」
「まー、いいんじゃない? カップルって言うか、夫婦だし」
「だね」
ある種、すでに熟年夫婦(仮)
いや、カッコ仮でかつ熟年とは?
このふたり。
インドアでゲームやら漫画やらアニメやら。
どちらかと言えば、オタク風味な方向性もあり。
あまり出歩かないが故。
ホームセンターも立派なデートスポット。
生活にも密着。
さらに趣味にもと。
「とりあえず美里ママのは今ある分で作るとして……ボクの分も作りたいな……」
「え? 雪人くんの分ってアレで完成じゃないの?」
一瞬、言い淀む、雪人。
しかし。
「いやぁ……ボクもお母さんのサイズの試してみたいなぁ、なんて?」
「そういうコトかぁっ!」
なるほど、納得の、アカネ。
一家揃って。
家長と同じサイズで、ずらり並べば。
一体感も、増す。
増すか?
「それはまあいいとして、まだ色々試してみたいこともあるからねー」
何やら思い、描く、雪人の脳内。
大荷物になる低反発ウレタン素材の入った普通の『クッション』は在庫を確認して後回しとして。
「なんかフロアの構成が変わってるね……」
「ホントだ。前来た時と違ってるね」
「あっちにDIYの専門コーナーが出来てるね。行ってみよう」
家具を作ったり、改造したりするのに便利な素材や道具が、所狭しとならぶ一角。
「へえ……下のフロアのDIYのコーナーとは違うメーカーの道具か……素材も豊富だね」
「ふむふむ」
言われても、アカネには何がどう違うかまではわからず。
とりあえず、夫にあわせて。
「あっ! これっ!」
その夫が、何かを発見。
「ん? なにそれ? でっかい洗濯ばさみ?」
「いあ、これ、クランプ……まぁ、でっかくて強い洗濯ばさみと言えなくもないか……」
妻の発想を、否定はせず。
「何するモノ?」
「モノを挟んで押さえつける道具、だよ」
「? 今の作業に何か使い道あるの?」
「ノリ付けする時に、今は本を重しにして押さえつけてるでしょ?」
「あぁ、そうだね」
「これがあれば……」
展示されている商品を手に取って、握ったり放したりしてカパカパと先端を開いたり、閉じたりして感触を確かめつつ。
「あっちに手頃な板があったはずだから、それと組み合わせれば……」
雪人の頭の中に。
ひらめく使い方。
「物体のサイズがこのぐらいだから、この板を二枚買って、クランプ四つで……いや、六個あった方が確実だな、うん」
雪人に着いて回るアカネにはちんぷんかんぷんながら。
夫が楽しそうに微笑みながら、でも少し難しい顔もしながらブツブツと商品棚とにらめっこしている風景は。
妻にとっては、とても癒される。
こちらまで楽しくなってくる。
さて、雪人くんは、次はどんなモノを見せてくれるんだろう?
どんな世界へ連れて行ってくれるんだろう?
高級なレストランや、有名な大きな遊園地。
そんなところにも行ってみたい気持ちも無くはないが。
夫の見る夢を共に。
「あ、こっちにもクラフト用のハサミがっ!」
しかし、妻、苦笑もしきり。
一体、何本ハサミを買おうと言うのか?
散財。
まぁ、雪人が自分でアルバイトで稼いだお金だし、文句は言わないが。
ある意味、将来を考えれば。子供が出来たら、色々と。
「あ、でもこのハサミはイマイチだな……文具・事務用品のコーナーに行ってみよう」
「はーい」
ある意味、雪人自身が、大きなお子様か?
そんな風にも思いつつ、見守る、妻。
結局。
文具・事務用品コーナーでさほど高くは無いが良いハサミを発見し、買い物カゴに投入。
喜び勇んで会計に向かおうとして。
「雪人くん、クッションは?」
アカネの突っ込み。
「あ……」
本末転倒を地で行く雪人。
さて、帰ったら美里用の物体の制作を。
つづけよう。




