第12話:重力に負ける/負けない
外形と表面処理まで終わった物体にアカネのカシャカシャサポート付きで彩色まで済ませると。
「完成?」
「完成……かな?」
出来上がった物体。
アカネが手にとって、ぷにぷにしてみた後。
「早速、着けてみよう!」
と。
雪人を脱がせて、装着。
上半身に物体とブラジャー。
「おぉ、やっぱり色が着くとそれっぽくなるねぇ……手触りは、と……」
ブラの上からぷにぷに。
「おぉ……でも……」
ブラからはみ出して露出した物体自体は……。
「やっぱりサメ肌だなぁ……」
すりすりしても、ざらざら。
折角整えた表面も塗料が硬化することによって固くなり、ウレタン自体の柔軟性を損なってしまっている。
「ちょっと待ってね……はい、これでどうかな」
ブラの上からキャミソールを纏う雪人。
すっぽりと胸元まで隠れ、当然物体もキャミの下へ。
「あぁ……これなら、うんうん。それっぽーい?」
「でしょ?」
満足げな雪人に対して、アカネは。
「うーーん……でも何かちょっと違和感あるなぁ……ちょっとワンピース着てみて」
「?」
言われた通り、クローゼットからワンピースを取り出して着用してみる。
「ふむふむ……うーん、やっぱり、ココかな?」
アカネが自分の鎖骨の下あたりを示す。
「デコルテ?」
雪人も自分の鎖骨の下あたりに手を当てながらアカネの同じ場所と比較してみる。確かに、雪人の鎖骨の下あたりは不自然に沈んでいて、アカネの方はなだらかに見える。
「あぁ……そうか……アカネ、ちょっと脱いで」
「またぁ……いいけど……」
雪人に言われてスウェットを脱ぎ。
「ブラも?」
「うん」
「はい、はい、と……これでよい?」
「ありがと……ふむ……」
アカネのデコルテのラインに触れる。
「ひゃんっ」
「あ、ごめん……ちょっと寝転んでみてくれるかな、仰向けに」
「はいはーい……えっと、こんな感じ?」
「あ……いや、下は脱がなくていいから……あぁああっ! 足も開かなくていいからっ!」
「え? 違うの?」
「違う違うっ! そのまま少しじっとしてて」
焦りつつ、雪人が胸元から作成した物体を取り出して、アカネの上に置く。
円錐形のキレイな山が少し離れてふたつ。
いや、よっつ、並んでいる。
ふたつは本物。ふたつは偽物。
「やっぱり……」
「何かわかった?」
「うん……」
雪人の洞察。
本物は、立っている時と寝転んでいる時で形状が異なる。重力によってその形状を変化させる、と。
そもそも一般的なブラジャー自体が、その形状の変化を最小限にとどめ、固定するために存在する。
「つまり、今回作った形って、寝転んだ時の形に近かったんだ……」
「そうそう。だから立った状態だと違和感があったみたい」
「なるほど……」
「と、すると……夜、寝転んでいる時にそれっぽい感じになるなら、今夜使うには丁度いいかもね!」
「あー……いやぁ……まぁ……うん」
ともあれ。
「もう一度、立ってくれるかな?」
「はいはーい」
再度、前から、横から、じっくりとデコルテ付近を見てみると。
「ふむ……なるほど……と、言う事は……よし、わかった」
「お? 次はいけそう?」
「うん。改良方法はなんとなくわかったよ」
とは言え。
すでによい時間。いや、宵時間?
とりあえず。
作成した物体はその日の夜の営みに活用されたとかされなかったとか……。
作業はまた、来週の週末にでも。
つづきを。




