第67話 宗平(そうへい)間一髪
「氷の壁ッ!!」
───現場に駆け付けたエヴァンは詠唱する。河川水路の ダムに積み重なったトゲトゲのガレキの山に、氷の壁をパキッと出現させる。
───ッ!!
それは間一髪………宗平は女の子を庇うようにギュッと抱き締め、氷の壁にドンッと激突して何とか助かる。しかし宗平は氷の壁に頭をゴンッと激突して脳が揺れてしまう。視界がクラクラと回り始め、額からジワッと流血し、氷の壁にポタポタと流れ落ちて水面に行き渡らせる。宗平は……意識を朦朧としながら………自分は、どのように歩いているのか、うまく進んでいるのか……。どのような状況なのか分からない、耳からはノイズのような雑音が響き渡り、氷の壁に全身を激突させ、雷流が流れているかのように全身が痛い。恐らく全身打撲になったか……。
全身の痛みに耐え、そしてフラフラと引きずるかのように………氷の壁に身体を傾けながら無意識に歩き進む宗平と、抱き抱えられる女の子。
───ッ!!
クラクラな視界の中。ドク………ドク………と高鳴る鼓動の中、スローモーションの速さで一斉に女性市民達がゾロゾロと駆け付け……そして河川岸から引き揚げられ……そしたら、うつ伏せに寝かせられる……。
宗平はうっすらと半目の状態で意識を整える。
───ああ……誰だ……はやく助けないと……泣いてる女の子を……助けないと……。
女の子を助けないと……自分の使命を言い聞かせながら、宗平の混濁した意識は、漆黒の闇に包まれた……。激しい雨と風に打たれ、体温により心地のよい感覚に包まれ……次第に鎖が千切れるかのように緊張が解けてしまい、このまま気持ちよく眠ってしまいそうだ。そして痛みもなく、雨水の冷たさも感じない。
───へいッ!!……かり……そう……。
誰だ……誰かが俺の名前を……と、宗平は薄れていく意識の中で思い浮かべる。ドクッ………ドクッ……と、混濁した声が脳の中に響かせ、誰かが、宗平、しっかりしろ。と、伝え、呼び叫んでいる。
声は、意識を混濁させる宗平を引き止めるかのように………さらに響き渡るのである。
───ちゃんッ!!ちゃんッ!
───ん、そう……さんッ!!
───ぬなっ!!死ぬなッ!!
───へい、おいっ!!宗平ッ!!
聞き覚えある声(ニィー、リア、アリシア、エイダ)が響き渡る……。そして、落ちていくかのように、宗平の意識は吸い込まれていくのである………。ごめん、多分、俺は死んだかな?………と、宗平は覚悟し、スゥ~~と瞳を閉じる。




