第37話 町外れに住む謎の女性
───〈北の町外れ〉───
エヴァンのエキセントリックの性格に、疲れる宗平である。そして例の師匠の元に向かう2人、せめて師匠はマトモだと祈る。城下町北部の市街地を抜け、森林道を進んだ先には、二階建ての家。茶色の瓦屋根、白色に塗装された壁、扉は樫の木で作られている。
レンガ造りの家の一帯には木の柵が囲み、1本のリンゴの樹が生えている。まるで絵本の中の世界観。小さい頃、よく母親が自分を寝かしつける為、読んでくれた絵本に出てくる家に似ている。何の絵本か忘れたけど……。
「町の外にこんな所が……」
宗平は辺りをキョロキョロと眺める。この場所は城下町とは違い、何故かここは落ち着いた雰囲気が漂い、心地よい空気が充満している。ブルーベリー菜園に水を撒いているのは1人の女性。容姿は三十代後半、サラッとした金髪、母性愛を漂わせ、落ち着いた垂れた瞳。服装は、ヒラリとした袖無しの白のワンピース。
女性は振り向き、2人の元に駆けつける。
「あら、お客様かしら?いらっしゃい……」
「あ、えっと……」
凄く美人な女性だ……思わずドキッとした宗平は何か言おうと……。
「しぃ〜~~しょ〜~~~ッ!!」
宗平の言葉を中断させ、エヴァンはダッシュ。女性の大きな胸に飛び掛かり、スリスリする。
「フフ、お帰りなさいエヴァンちゃん」
女性は優しくエヴァンの飛び付きに応え、そして頭をスリスリと撫でる。まるで母と娘のように優しい表情を浮かべ、迎える。
「しぃ〜~~しょぉ〜〜~お腹すいたぁ〜〜アップルパイ、アップルパイッ!!」
エヴァンは、ハイテンションにアップルパイを注文。ここに帰って来たら師匠の特性アップルパイ、何故なら師匠のアップルパイは世界一であり、大好物だ。
「はいはい……」
女性は愛想良く頭をスリスリと撫でる。そして、宗平と目が合う………。
「どうも………」
少し間を置いてから……宗平は一言を告げ、ペコリと頭を下げる。すると女性はクスクスと微笑み。
「あら……男の人がいるなんて珍しい事があるのね?………アナタもよかったら、アップルパイをいかがかしら?」
女性はクスッと母性的に笑いかけ、宗平を誘うのである。女性の言葉に宗平は………。
「ええっと?……」
宗平は女性の前に緊張し、頭をポリポリさせる。この人がエヴァンの師匠?ものすごく清楚で弟子の彼女とはおお違いだ。それにこの女性を見たら、何故か亡くなった母親を思い出させる雰囲気を漂わせており、懐かしい。アレ、この女性はどこか面影があるような……。




