第36話 北の通り
───〈北通り〉───
宗平とエヴァンは北通りを歩いていた。閑静な民家が一件一件と並び、この辺りもモンスター達の襲撃による被害を受け、壁には穴が開き、地面が割れている。市民達は、宗平を見た途端、すぐに建物の中に隠れる。
「アップルパイ、アップルパイ、師匠のアップルパイッ!!」
エヴァンは自作の鼻唄を歌い、歩いていた。
エヴァンとは裏腹、宗平は、嫌な気分で歩いていた。町の人から嫌われているので、良い気持ちはしない。疫病神、悪魔、殺人犯、市民達により色々な言葉に乗せ、罵声怒声を浴びせられた。混濁した後悔が腹の中で沸騰し、吐き気により灼熱する。
エヴァンは立ち止まって振り向き、宗平に尋ねるのである。
「そーいえば、何で町民はアナタを見たら、家の中に逃げるんですかね、モテるのは普通なんですが、アナタは何かしたのですか?もしかして……はッ!!」
「何を想像したんだ?まぁ、説明するとだな……」
「師匠のアップルパイッ!!クンクン、近いッ!!アップルパイが、私を呼んでいるッ!!」
宗平が説明しとうとしたが、エヴァンはクンクンと鼻を効かし、ダッシュで走る。
(聞いちゃいないし……)
宗平はエイダ、リア、アリシアなど色々な女性を見たが、困惑。
するとエヴァンは宗平の所まで戻り、口を開く……。
「あ、そうだ。私がホウキを持って空を飛んでいたのは、別にまたがってて気持ちいいからじゃなくてよ……」
エヴァンは立ち止まり、顔を赤くして伝える。
───………。
言わなくてもいいセリフを吐いた子とにより、変な空気になる。乾いた風の音が響き、1秒、2秒、3秒……沈黙。
やっぱり、彼女は色々と面倒臭いとタメ息を吐き出すのである………。
(それ、わざわざ立ち止まって伝える事か……)
宗平は沈黙。正直、彼女から伝えられるセリフが、すごーくどうでもいい。するとエヴァンはこの空気を破壊するかのように。
「アップルパイッ!!アップルパイッ!!」
そして変な空気を無かった事にするように……エヴァンは再びダッシュする。建物と建物の間を隠れながら、時々振り向き、宗兵の表情を伺いながら
何だコイツ……と、思いたくなる。マトモな精神状態なら逃げている。現実世界にはこんな奴はいない。
───ハァ……。
宗平はエヴァンのノリに疲れた様子。何か先が思いやられる気持ち、しかし先程とは違い、重い気持ちが柔らかくなり、何故か少し楽になった。
ほんの少しだけ……だ。具体的に説明すればゼロだった精神状態が0.5位にアップした程度だ。




