───行方不明者の真実
───〈洞窟内通路〉───
宗平とアリシア、エイダ、リア、そして保護された女の子と一緒に洞窟の中を歩いていた……。デコボコと隆起した地面、土壁、天井は乳頭状、天井からポツポツと水滴が零れ、空気中はジメジメした湿気が漂っている。松明の火で照らし、トロールの残党がいないか、辺りを眺めながら進む。遭遇すれば、駆除する。男が消滅し、生態変化したトロールは危険でしかない。
───1時間が経過していく……。かれこれ、洞窟内に出来た大から小の分かれ道に入り、広地を調査したが、トロールおろか、誰1人も見つからない。おそらくトロールはあれが全部だったのだろう。
★★★★★★
それから歩いて数十分……。皆は何も喋らずに洞窟の最奥の広地にたどり着き、大穴が広がっていた。外からのすきま風により、不気味な地鳴りが響き渡る。まるで地獄に続いているような大穴。穴の底は漆黒、しかしその穴を覗いたら一生後悔するような光景を目にするのである……。
「うっ…うげぇっ!!……」
その光景に、戦慄した……思わず宗平は両手で鼻と口を塞ぎ、胃の中のモノを地面にボタボタと全て吐いていた。鼻を突き、この世とは思えない凄まじい腐敗臭、気色悪い音を響かせ、空気中に広がる。
「そこに、たどり着くか……」
アリシアは、背中に冷水を浴びせられたかのように。その光景に背筋が凍り、青ざめた。ぐっと吐き気を堪え、怒り、憎しみ、恐怖が精神を混濁させ、冷や汗が全身から滴り、プルプルと震わせる……。大穴全体には、白骨化、腐敗化した女性死体が積み上げられ、埋め尽くされた死体中にはウジ虫が無数に広がり、パキパキと食い荒らす音が沈黙した雰囲気の中、響かせる。
───こんな事って……。
誘拐した女性を弄び、死んだ後はこうやって積み上げていたらしい。まるでオモチャの積み木のように………弄んで動かなくなったら、積み重ねて、そして再び誘拐し、弄び、動かなくなったら積み重ねて……それを黙々と繰り返していたらしい。
するとリアは褐色の女の子に視線を移し、口を開く……。
「じゃあ、この娘は……トロールと人間の女性の間に出来た……」
「止せッ!!」
アリシアはゾクっとする背筋を凍らせ、リアの言葉を中断させる。その言葉の先、あまりにも吐き気がする。女性を誘拐し、私欲目的で弄び、それで出来た子供が……胸くそ悪過ぎる……。
「ハァ……ハァ……ハァ……」
宗平は気持ちを落ち着かせ、息を整える。しかし、戦慄の光景により全身が震え、頭から離れない。




