第24話 ここはトロールの巣窟
宗平は、右手に松明を持ち、周囲に灯りを照らす。左手は女の子と手を繋ぎ、洞窟の中を1ヵ所1ヵ所を確認をしながら進む。まず小さな女の子と手を繋ぐのは慣れていない、妹のような雰囲気に何故か不思議と緊張してしまう。
★★★★★★
ぎこちない雰囲気の中、2人は歩いていた。これが男女のデートなら最悪である。まず宗平は女性とマトモに手を繋いだ事もない。沈黙してくる宗平は、デート慣れしているイケメン男性を尊敬するのである。
ああ………もっとエスコート出来れば……。と、悔やむのである。
湿気によりジメジメした洞窟の通路、デコボコした地面、土質の壁にはカサカサと虫が行き渡る。現実世界にいた頃に見た虫とは違い、ムカデ、ゴキブリ、ネズミ、そしてありとあらゆる生き物が無駄にデカイ……。虫が苦手な人が見たら卒倒してしまうレベルだ。
早くここから出よう………と、宗平は引いた表情で辺りを眺める。それを隣にいる女の子は。
「にぃー?……」
女の子は状況が理解出来ず、ピュアな声を出す。
「静かに、ね……」
と、宗平は言う。何でここにいるのか理解出来ないが、ここはどこだ。とりえずこの女の子は脱出して、アリシア達に相談するとしよう。
しばらく歩いていた……。四方八方の道が幾つも広がり、漆黒の闇が不気味に広がり、何がいるのか分からない。
すると洞窟内の広地に行き着く………。薄暗い場所、状況がどんな事になっているか分からない。地面、壁、天井、パキパキと燃え盛る松明の炎で周囲の状況を確かめる……。それは出口が近い……と、予感する。
「これは?」
宗平の足元に、コツンと、何かに当たった……。ボロ布に巻かれ、乾いた茶色い糸のような物がフサフサと生い茂る。
───コツッ……と、当たった衝撃で頭蓋骨が宗平に向き、正体は骸骨死体。フサフサした茶色の糸は、乾いた髪の毛である。
「しっ………死体ッ!!」
宗平は骸骨死体にビックリし、思わず声を響かせてしまい、ブルブルと腰を抜かす。死体なんて、ドラマやドキュメンタリーのテレビ番組でしか見た事はない、生の死体は初めて見た……。そして再び沸き上がるような吐き気が襲ってくる……。
すると、広地の奥から1体、2体、3体、4体、5体、6体と、キラッとした無数の赤い光が出現。そして、赤い光の正体は、ドシドシと足音を響かせ、宗平に向かってくる。何だ、何だ……良い予感はしない、悪い予感。
宗平がいる場所………そして連れてこられた場所は、トロール達が住みかにしている洞窟である。




