第16話 宗平(そうへい)城下町へ……
――――――アリシアが元気を取り戻した……。
皆は嬉しかった、そして自分も嬉しかった……その後、宗平がこの世界の救世主の祝時として、城の料理人から豪華な晩飯が振る舞われた……。
晩飯はとても美味しかった、何よりもアリシア、エイダ、リアの喜ぶ姿を見て、自分では表現出来ない感情が高まるのであった……。
次の日の朝。
───〈王宮休憩室〉───
「あれ、少し寝ていたか……しかし今のは……」
宗平は、ソファーベッドから起き上がる。あれから豪華な食事を頂いた後、まるで全身を拘束していた鎖に解放されたかのように緊張感が解け、それにより眠たくなった為、少し休憩を、少し寝るつもりが、日を跨いでいたのだ……。アリシアが元気になったから、王宮の料理シェフの気合いが入り、豪華な料理が用意された、美味かった。また食べたいが、何度も食べたら贅沢病になりそうで怖い……。
───しかし、あれは夢なのか……。確か、巨大な闇の前に、剣を持った老人が立ち向かっていた。そんな夢だった……。
まず、休憩室を出る事にしよう……。
───〈王宮内廊下〉───
宗平は朝の王宮内の廊下を歩きながら考える。さて、とりあえず……廊下に遭遇した使用人に話しかける。
「アリシアは?」
宗平は、使用人の1人に尋ねる。どうにも何もすることがない、何か自分にする事が無いか聞きに行く事にする。宗平の質問に、使用人は落ち着いた姿勢で。
「私室で執務に入っています。規律の整備、国内政策の実用確認、認可書類の署名などをしています。忙しいので、誰も入れるなと……」
使用人は頭を下げる。宗平が、この世界に来た事により、ある程度、いや、地域、国、ましては世界が安定するまでの間の規律である。しかし、アリシアはどのような規律を作れば良いか……悩んでいながら執筆し、その合間に認可書類、政策の実用性の確認業務。頭が痛くなる業務であり、ジャマしたら何を言われるか……。
フムフム………なるほどな……。おそらく、入ったら怒られるヤツだ。彼女の表情が浮かび上がる。宗平はさらに尋ねる。
「そうか……エイダやリアは?」
宗平は、聞く。あの二人なら何か分かるかもしれない……。すると使用人は。
「兵士の訓練場で戦闘訓練をしています。実戦形式の訓練なので、邪魔になるかと……」
使用人は、何処か申し訳ない様子で頭を下げる。
「そうか……」
宗平は頭をポリポリ。アリシアは陛下としての執務、エイダとリアは戦闘訓練、どれもこれも見学をしに行ったらジャマだと言われて怒られる……。これでは本格的に何もすることがない。皆はすべき事をしているし、自分はこの世界に何をしに来たんだ……やることが無いのは自分だけである。
宗平は頬をポリポリと掻き、そうだな……とりあえず。
───まず城下町に行ってくるとしようか、町の人に自分の事を知ってもらう事も悪くない……。かもしれない。




