第15話 アリシア、元気を取り戻す
───〈王宮会食室〉───
出入口のドアが開き、入って来たのは宗平とアリシア。疲れた……自分は人から励まされた事は人生で無かったが、咄嗟に思いついた言葉だったが、人を励ましたのは初めてだ。
「その……」
アリシアは恥ずかしい様子。自身の押し殺してきた気持ちを初めて対等な人に解放した為、形は違え、2人には初めての経験だった……。皆は2人に心配な様子で視線を向ける。
「その……皆には迷惑をかけた……今までの私は、人を頼まな過ぎた。これからは皆を頼りにし、相談する。よろしく頼む……」
アリシアは照れ臭い様子、頬をポリポリ。
「陛下……」
「フフフ、よかった……」
エイダとリア、そして使用人達は心配から解放され、アリシアの笑顔を見て、安堵な様子で涙を流していた。宗平には言って無かったが、皆はかなり心配していた。
「何で、皆が涙を流しておるッ!!こんな所を見たら、私まで……」
アリシアは再び、今の状況に感極まりポロポロと涙を流す。自分はこれ程、皆に心配されていたのかと……それなのに、私は自分だけの責任にして……。アリシアを見て宗平は微笑みを浮かべ。
(よかったな、アリシア……)
宗平はアリシアの為に涙を流している光景に感極まり、微笑む。正直に言えばアリシアが少し羨ましかった……宗平自身、現実世界には自分を心配してくれる人は、存在しなかったからだ。友達はいないし、気持ち裸にして許せる家族はいない……。
「宗平……」
アリシアはちょんちょんと、宗平の頬を突き、呼ぶ。
「何だ?」
宗平は、隣のアリシアに視線を向ける。
───チュッ……。
アリシアはグイッと背を伸ばし、宗平の頬に、キッスをする。
「なっ……」
「まぁっ……」
「陛下ッ!!」
エイダとリア、そしてこの場にいる使用人達はカチコチと固まり、驚愕した……。
「アリシア……」
宗平は、いきなりの事でビックリし、頬を赤くし、沈黙するしかない。この気持ちを表現したら、普通に歩いていたら突然後ろからキックされ、そして何事もなく謝罪する事もなく立ち去られた。と、言う気持ちだ。
アリシアは宗平に向け、緊張した様子で口を開くのである。
「…………お主がこの世界に来て、とても感謝している。このキスは………ほほっ……ほんのお礼じゃ……」
アリシアはムスッと照れ臭そうに頬を赤くし、宗平からスッと離れる。このキスはありがとうのキスだ……彼女はプライドが高い気質がある為、素直になれない。本来なら自分でしっかりして立ち直るのが理想である。




