表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

プロローグ『自由の果て』

深く、冷たく、そして果てしない闇に満ちた海の底。

巨大な監獄船『ネプチューンズ・コフィン』は、その黒々とした水面をゆっくりと切り裂いてゆく。

挿絵(By みてみん)


その船内は鋼鉄の壁に覆われ、囚人たちが重い鎖で縛り付けられていた。囚人たちの表情はみな暗く、ただ諦めだけが彼らを包んでいる。



その中に一人だけ、静かに目を閉じ、呼吸のリズムを崩さない魚人がいた。


彼の名はジル・レイヴン。

トビウオ魚人の彼は、翼のような特徴的なヒレを耳元と頭部に持ち、鋭い眼差しと引き締まった体躯をしていた。

挿絵(By みてみん)


──終身刑。

世界で最も恐れられる牢獄、深海監獄アビスロック行き──



「反乱罪」という札を貼られ、海の底へ沈められる。

それが政府の答えだった。



世界は今や、海洋の覇権を握った魚人と、陸地を支配する獣人が主役となり、かつて栄えた人間は、少数が細々と暮らしているのみだった。


ジルはその世界の中で、“ブルータイド”の一員として戦っていた。

差別と抑圧に抗い、自由と平等を掲げる反体制組織だ。



だが、その理想は政府軍の圧倒的な暴力の前にあっけなく砕かれる。


仲間は死んだ。

叫びも、魂も、深海に呑まれた。

生き残った者も散った。

そして、ジルだけが捕らえられた。


鎖が擦れる音が、船内の静寂を何度も裂く。

誰の呼吸も、重く鈍い。



目を閉じているのは、諦めたからじゃない。

今はまだ――待っているだけだ。


呼吸の奥で、拳の感覚を確かめる。

(……俺はまだ生きている……ならば、抗ってでも生き延びてやる)






やがて船内に冷たいアナウンスが響く。

「間もなく深海監獄アビスロックに到着する。囚人ども、立て!」



囚人たちが立ち上がり、重い鎖を引きずりながら船の窓から外を見た。

窓の外に は闇の中から巨大な影が浮かび上がった。海底の岩盤を掘り抜いて作られた要塞──深海監獄『アビスロック』がその禍々しい姿を現したのだ。


挿絵(By みてみん)

「……あれが……」

誰かの声が震えた。

その瞬間、囚人たちの顔から色が消える。




船が近づくにつれ、監獄唯一の出入口が姿を現す。

それは、海の自由と深海の檻を分かつ境界――鋼鉄の巨大門『深淵の錠前』だった。

やがて、低く重い軋み音を響かせながら、その門はゆっくりと、開き始める。




船はその中に吸い込まれるように入ってゆく。




船が監獄港に到着すると、囚人たちは荒々しく降ろされ、冷たい石畳の上に立たされる。




その前に立ちはだかったのは、巨躯のシャチ魚人。

ただ立っているだけで、周囲の空気が重くなる。

看守たちですら声を潜め、背筋を伸ばしている。


監獄長ギルバート。

この監獄の“王” 絶対的支配者だ。


挿絵(By みてみん)


ギルバートが冷たく囚人たちを見下ろした。

「囚人ども、お前たちを拘束している鎖を外してやる。自由に動くがよい」



囚人たちはわずかに期待の表情を見せたが、ギルバートはすぐにそれを打ち消すように続ける。

「勘違いするな。この監獄の外郭

は、超高密度の岩盤に閉ざされている。逃げ道など存在しない。

脱獄などは、不可能だ」



ギルバートの口元が、わずかに歪む。

「お前たちが自由に動ける理由はただひとつ──お前たち囚人同士が勝手に争い、互いに潰し合うことが、我々看守にとって都合がいいからだ」



一拍置き、冷たく付け加える。

「そうすれば――我々が“管理”する必要すらなくなる」




ギルバートは冷たく笑い、背を向け歩き出す。

看守たちが無言で続いた。



周囲の囚人がざわつく中、ジルだけは冷静に拳を握りしめ、ギルバートの背中を睨んだ。

(絶望に屈するつもりはない。俺は必ずここから出る──)




ギギギギィ……


その時だった。

下の階層へと続く扉が開かれ、囚人たちは混沌の中に投げ込まれていく。

ジルは深く息を吐き、暗闇の中へ踏み出した。




──闇の扉が開かれた瞬間、囚人たちは“地獄のルール”に縛られる。

だが、その鎖を断ち切ろうとする者が一人だけいた。



これは、反逆者ジルが世界を変えるまでの物語だ。


《蒼海の解放軍》より、深海監獄から感謝を込めて。

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます。


もし物語を面白いと感じていただけたら、

あなたの一票(=★評価・ブックマーク)が、

監獄で抗い続ける仲間たちの力になります。


▼作者Xはこちら

https://x.com/00aomiray00?s=21


これからも『半魚囚人ジル』をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ