クランのスカウト拒否RTA
新しい狩場は変わらず草原だったが丘や池、何かの実が成っている木など様々な物が増えていた。狙撃ポイントも増えた為、こうして隠れながら撃ちやすくなった。
「とりあえず狙撃魔銃士っていう職業にならなきゃいけないんだよね? あ、敵みっけ」
「そうですわね。十レベルで転職条件が満たせるので、このレベルアップスピードなら今日中にも達成出来るとは思いますわ。今のレベルを確認しましょうか?」
「そーいや忘れてたね」
索敵を一旦中断し、二人はステータス画面を開く。
名前:ニャイアル
種族:猫又lv3→5 職業:初級魔銃士lv5→9
HP:70→100 MP:140→160
筋力:9
頑丈:7→10
器用:10
敏捷:20+3→4 【種族ボーナス】
精神:13→15+1
知力:19→21+3→4 【種族ボーナス】
スキル:【魔銃ダメージ増加lv3】【チャージショットlv1→2】【精神強化lv1】【鑑定lv1】
SP:9
STP:0
装備:武器【初心者のスナイパーライフル】頭【無し】体【魔銃士の迷彩服】腕【無し】脚【初心者のズボン】靴【初心者の靴】アクセサリー【無し】【無し】
チャージショットを強化し、一旦閉じた。
「この依頼が達成する頃にはレベルアップするかな?」
「だと良いですわね」
草原にはターゲットのゴブリンの他に、色とりどりのスライムや、ミニベアが成長したような姿の敵、野生動物が間に入る。
「ふー……」
「グギャッ」
また一匹、ポリゴンのカケラとなる。後ろから接近してくる敵も稀にいるが、それらはサヤが処理している。
今ニャイアルが使っている武器の最大射程は、八十メートルくらいなので無理は出来ない。しかもあくまで最大なので、実際は五十メートルがマトモに弾が当たる射程なのだが……。
「よーし当たった」
「よく当たりますわね……?」
「ん? これくらい余裕だけど」
目の良さとブレの無さ、それに勘の良さも相まって彼女にとっては簡単なことだったのだ。撃たなければならないのは後一匹、見つけることは出来たが岩の裏に居て、頭が少し出ている程度だ。
「んー、多分いける」
「あ、あれを狙うのですか……」
サヤも遅れて気づくが、流石に顔が少し引き攣っている。ニャイアルは深呼吸をし、ミリ単位で銃を動かしながらトリガーを引いた。
「グギッ?!」
放たれた魔弾は、頭を見事貫き消え去る。それと同時にゴブリンも倒されていったのだ。
「帰るよー、今度からちゃんと頭出てるやつ狙お……」
「え、えぇ……(リアルよりも精度が良くなってる気がしますわね)」
二人は依頼の達成報告をし、回復薬と多少のGを受け取る。しかし色々見て回ろうとする二人に、一人の男性プレイヤーが近寄って来た。
「そこのお姉さん方! クラン烈火の怒りに入りませんか?」
「「断ります(わ)」」
「「え?」」
疑惑と困惑の声が周りと目の前の男性から聞こえてくる。
「どうしてですか! 上位ギルドですよ?」
「興味ないのでお引き取りを」
「私も生憎クランに入るつもりはありませんわ」
「なっ……初心者共め! 拒否権があると思うか?」
「サヤどうする……?」
「どうしようもありませんわね……」
ニャイアルはその言葉通り興味がないため。サヤは配信活動の邪魔になるのと、行動が縛られるのを嫌ったためこうなった。
「じゃあ僕たちはこれで」
「えぇ、他の方をお当たりくださいませ」
スカウトに来た男性プレイヤーは地団駄を踏み、去る二人を見ることしか出来なかった。
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