対浮遊戦艦ガンドロフ
とうとう浮遊戦艦ガンドロフに乗ったシェネッツアがやって来ました。
蹂躙する積もりのシェネッツアを蹂躙するナオヤ!
転章1 世界探訪記 メリカ国⑤
勇者でありながら世界に戦いを挑む八神直哉です。
謁見当日 夕刻前
指さされた先の黒い点はみるみるうちに大きくなりその異様を見せてきた。
ナオヤには分かっていたが浮遊戦艦ガンドロフである。
王都の街中で次第に騒ぎが大きくなり、王城でもざわめきが絶えなくなって来た。
しかし、アンガス王がそれを制する。
「落ち着け、皆の者!
こちらには勇者ナオヤ殿が居るのだ。
大概の事は何とかなる。」
アンガス王の断定に次第に落ち着きを取り戻し、空に浮かぶ船より、アンガス王の方を貴族達は向いて指示を待つことにした。
ナオヤが貴族達を見回して、誰か居ないような気になっているとメリダが側に寄ってきて小声で話し掛けてきた。
「いつの間にかツヴァイ・メフィス侯爵とその子飼いのドライメッシ・シンデール子爵が居ないよ。大概な奴らだねぇ~」
どうやら不死騎士バラダック率いる騎士団は領主に見捨てられたらしい。
全体をアーケロンの亀甲で覆われ鈍い虹色に輝く浮遊戦艦ガンドロフが王城の訓練場に近づいて来た。
人だかりを見つけたので寄って来たのかも知れない。
上空100M辺りで滞空していた。巨大な船の形の影が東に伸びて王都に落ちる。まるで近くに雲が浮いているようだ。
ぐらん、ぐらんと音を立ててから大音響で声がした。
「こちらはエルランディア帝国大提督シェネッツアだ。
メリカ国の人民に告ぐ、降伏せよ。
この浮遊する船は浮遊戦艦ガンドロフだ。
抵抗する様子があれば魔法攻撃を行う。
王及び王族からの返答は如何に?」
アンガス王がナオヤの方を伺う。ナオヤは天地自在でアンガス王のいるベランダまで行き、王の側に立った。
「ここは相手の姿を見て近くで直接対話するのが良いかと思います。
宰相ゼン殿は如何考えられますか?」
ナオヤの問いに宰相ゼンは短慮してから
「ふむ、このままの状態では交渉も何も出来ませんから、勇者ナオヤ殿の言うとおりに成されるのが宜しいかと存じます。」
アンガス王は宰相ゼンに頷き、相手のエルランディア帝国大提督シェネッツアを呼ぶ事にした。
側近の者が用意した声を拡大する魔道具を口に当てて話す。
「エルランディア帝国大提督シェネッツア殿、儂がアンガス・メフィス・メリカ王だ。
貴公の言葉の真意を問いたい。
いきなり押し掛けての降伏勧告には承伏しかねる。
先ずは顔を見て話は出来ぬものか?」
アンガス王が後ろに下がると貴族達全員が下がり、ベランダに空白が出来た。
此処に降りてこいと言う意志の表明だ。
果たしてシェネッツアはどう出る?
プシューと言う排気音がして浮遊戦艦ガンドロフの後部ハッチが開き、亀甲船が5隻出てきて王都の各地に散っていった。
無音で移動する小型の甲虫のような物体にどよめきが起き、王都各地に着陸した。
着陸した場所では建物が倒れ、悲鳴が上がる。
ぐっとアンガス王や貴族達から声が漏れるがそれ以上は畏怖を見せても我慢したようだ。
再び声が轟いた。
「今放ったのは我が国の亀甲船である。
魔法はおろか剣の攻撃などは受け付けない強さを持っている。
抵抗する様子を見せれば亀甲船による蹂躙を開始するので大人しくしているのだ。」
無反応なのを肯定の意志と見たのか、浮遊戦艦ガンドロフの前部下の一部が離れ、浮遊して近づいて来た。
そこにはシェネッツアと暁炎と黒衣の大男、不死者のゾルダか立っていた!!
ナオヤは自分の倒したのは影武者だったのか、それともこちらが影武者なのかとも考えた。
あと20M程に近づいた時、シェネッツアがにやりと笑い手のひらを上に手をかざした。
忽然と姿を表す“死魂の玉“。漂う、その異様な雰囲気に誰もが身構えた。
すうっ~と持ち上がった“死魂の玉“が転がり落ちた!!
慌ててお手玉しようとしたシェネッツアの目の前で“死魂の玉“が消えた!!
「うおお~?」
シェネッツアの混乱し慌てた声が漏れる。
「なななな!」
暁炎の驚きで馬鹿みたいな声が溢れる。
「・・・・・」
黒衣の大男は無言だった。
それを見ていたアンガス王や貴族達から失笑が漏れる。抑えきれないバカバカしさに腹を押さえる者が居る始末だった。
ナオヤは内心ほっとしていた。今頃“死魂の玉“は飛空艇クレイモアにアムフォーと共に転移させられている筈だった。
ミラージュで姿を消して、シェネッツアに付き従っていたアムフォーがここぞという場面で大活躍してくれたのだ。
転移したアムフォーと“死魂の玉“はメジーナ博士が上手く保管してくれる事だろう。
後は、亀甲船の始末とシェネッツアの後始末だけだ。
だが、不死者のゾルダが居る。
こいつは計算外だった。
突風のような黒い影が暁炎に近づき、その身を浮遊石から蹴り落とす。
空中で蹴る、蹴る、蹴る!
余りのことに対応出来ずに蹴られ、王都の貧民街の方に墜ちていった。
蹴った影は葵だった。
この時の為に速攻の天走を練習していたのだ。
暁炎の事は葵に任せよう。
落ちてゆく暁炎を唖然と2人が見ている隙に僕はベランダの柵の上に乗る。
「僕は勇者ナオヤ!!
愚か者よ!己の愚かさを知るが良い!!」
僕が左手を上げて指を鳴らす。
見えない熱線が放たれ、地上に合った亀甲船が赤熱する。
全ての亀甲船から蒸気が上がり沈黙してしまう。
「ど、どうした?亀甲船、街を蹂躙しろ!」
浮遊戦艦ガンドロフから「全ての亀甲船から応答が有りません」と悲痛な悲鳴が上がる。
と、浮遊戦艦ガンドロフがぐらっと後ろに下がる。
「何かに押されています!」と再び浮遊戦艦ガンドロフから報告される。
唖然と2人は後ろにずれて行く浮遊戦艦ガンドロフを見詰めた。
「見よ!!これが勇者の力だ!!」
飛空艇クレイモアがミラージュの魔法を解き姿を見せる。
ずずづ・・・
まるで空間から出てくるかのように少しづつ姿を現す。
おまけに、ごおぅんごおぅんという効果音付きだ。遊びすぎだよメジーナ博士!
飛空艇クレイモアは空の全てを占めるかのような巨大さで王城の上にいた。
王城の尖塔にぶつかりそうな低さで滞空していた。
アンガス王も貴族達とあんぐりと口を開けている。
訓練場にいたバラダックや騎士団もメリダすら同じだった。
「に、逃げるぞ~!!」シェネッツアは自分たちの浮遊戦艦ガンドロフを超える飛空艇クレイモアに恐れを成して浮遊石を動かした。
不死者のゾルダが呟く「この船が主の望むもの・・・」
「お前は逃がさん!」
僕は無形を変形させて鞭のようにして不死者のゾルダを浮遊石から引きずり落とした。
慌てて四つん這いに成りながら浮遊戦艦ガンドロフに戻って行った。
ドッスーンとマンガのような音を立てて不死者のゾルダが訓練場の真ん中に落ちた。
訓練場にいた者達は慌てて逃げて散った。
バラダックすら姿がない!
シェネッツアを少し苛めて逃がすのが当初の計画だったが、不死者のゾルダに変更だ。
ただ、こいつは逃がす気は無い。
暁炎と葵の戦いはどうなったのでしょう?
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読んでいただいてありがとうございます。
戦いはいよいよ激しさを増します。
それぞれの戦いの決着が着きます。
評価・ブクマありがとうございます。
誤字脱字ありますのでご寛容下さいませ(笑)
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