浮遊戦艦ガンドロフ
シェネッツアの出発!
浮遊戦艦ガンドロフの勇姿を見よ!!
転章1 世界探訪記 エルランディア⑤
勇者でありながら世界に戦いを挑む八神直哉です。謁見まで後3日。
シェネッツアがメリカ国に向けて出発した。浮遊戦艦ガンドロフが浮かび西に向けて飛んでゆく。
行き2日の工程だからかなりの魔法使いが動員されたらしい。皇帝の下に残る戦力は近衛兵士だけである。
見送りに有力貴族が集まり壮行会まで行われた。
平民街だけでなく移民街、スラムまでお祭り騒ぎである。
誰も遠征の失敗など考えていない。
浮遊戦艦ガンドロフが落とされる事などあり得ないからだ。
詳しいその筋のものによると
全長113M、全幅29Mで側翼長31M、側翼を含めた全幅が91Mである。
海上を行く船に翼が生えたような形をしていて、全体をアーケロンの亀甲で覆われ鈍い虹色に輝く。
その亀甲は上級魔法であっても傷を付けることが出来ない。
試験飛行では高度4000Mまで到達したという。最も空気が足りなくなり直ぐに降下して乗員が全員倒れてしまったらしい。
通常は高度100M以上で航行する。
航続距離は魔法使い次第であり、船速は浮遊高200M時最大船速100㎞/時、魔法使いを常時100人以上を必要とするらしい。
その船内には亀甲船5隻が内蔵され、魔法使いと先鋭の兵士合わせて200名程が乗り込む。
指揮はシェネッツア大提督、元カクシカクの暁炎か補佐につく。
現在追加の浮遊戦艦を建造中で2ヶ月後には就航される予定だという。
その後にはビエト連邦に遠征の話も出ているらしい。
宿を引き払って飛空艇クレイモアに戻ろうとした時ドワドから連絡が来た。
「反皇帝派が動き出したらしい。俺にも協力してくれと頼まれた。無論断ったがな。争いが起こるかも知れないから注意しろ」
なるほど、シェネッツアの留守中に反乱するわけだ。
内乱に加担する積もりがないから即座に引き上げよう。
なのに宿屋で隠れていたミューレイがひとりの男を連れてきた。
男の名はガルバス・エルランディア。
エルランディア帝国の血縁だという。どうやら内乱の首謀者らしい。
身長は葵より高く金髪のハンサムである。
ただ、そのグレイの瞳の暗さが気になる。
何よりハンサムなのが気に食わない。セラは美人というより可愛い感じ、葵でも整ってはいても美人とは言い難い。
僕はとても普通である。
まあ、ミューレイは美人である。
元より反乱には加担しない。
「悪いが僕は力になれない。ミューレイもどうするのか早く決めてくれ。
少なくても午前中には集合場所に来ないと置いて行くぞ。」
ミューレイはミライ王国を滅ぼす荷担をした皇帝に反感を持っているようで反乱軍に加わりたいようである。はっきり言う僕に失望したようでガルバスはミューレイを連れて姿を消した。
まあ、皇帝には僕も少し興味があるので後で見てくる積もりではある。
メジーナ博士はエルランディア帝国で大人買いで資材を大量購入したようである。
葵はクレイモアのトレーニングルームに籠もりっきりで暁炎対策に余念が無い。
ミューレイと別れた僕は姿をミラージュで消して、天地自在で貴族街から皇帝城に侵入した。
皇帝城はほとんど平屋で高い部分が余りない。その代わり広々とした敷地であちらこちらに小森やら広場があり、公園に建物が点在しているような城だった。
場内の移動には専用の馬車を使っているらしい。
どうにも最初からおかしいのだ。シェネッツアがミライ王国に侵攻する事がおかしい。ミライ王国で死魂の玉の情報を得たことがおかしい。カクシカクの国で死魂の玉を見つけ出した事がおかしい。
誰かの筋書きに沿ってシェネッツアが操られているように感じられて仕方がない。
だから皇帝城への侵入なのだ。
皇帝の居る屋敷は警戒が厳重だから直ぐに分かった。
レーダー反応からして北東の使用人入り口当たりに人が密集している。
恐らく反乱軍だろう。あそこからなら皇帝の屋敷の裏口に侵入するには最短で済むだろう。
反乱軍の動きに注意しながら屋敷に忍び込む。
見えなくても気配や臭いを嗅ぎつけられる恐れがあるから完全隠蔽のスキルを用いる。
侵入前にHPを使って取得しておいたものだ。接触していれば複数人に有効だ。
屋敷の中は複雑な構造をしていてまるで忍者屋敷のようだ。だが、人の動きをレーダーで追っていて皇帝の居場所は直ぐに分かった。
どうやら寝室に居るようだ。
ゆっくりとドアを開ける。
豪奢なベッドが部屋の中央にあり、壁一面に沢山の人物画がある。
人物画は歴代の皇帝だろうか。
皇帝の枕元に体格の良い執事が立っていた。
ぶつぶつと何かを呟いて、両手を皇帝の頭の上に掲げていた。
完全隠蔽しているのに気づかれる様な気がして空気さえ動かないようにゆっくりと背後に回って様子を窺う。
ぶつぶつは何かの詠唱のようだ。執事に見えたこの男は皇帝になにやら魔法を掛けていたのだった。
不意に執事に見える男が長剣を背後に振るった。
いつ長剣を抜いたのか、何に気付いたのかわからない。
あのまま立っていて斬られていた。時間を10秒程戻したのだ。
手応えを感じたのにそこにいるのが分かっているようだった。
「お前何者だ?」
僕は姿を見せて逆に訊く。
「お前こそ、誰だ?
皇帝に何をしていた?」
執事のような男はじろじろと僕を見ると
「お前、主敵の勇者だな?
我が主をどうした?
繋がりを感じるから死んではいないようだがこの世にいない。」
話しているにも関わらず構えた長剣の先端は1㎜もずれない。恐ろしい程の手練れだ。
“我が主“と言う言葉から彼=天空寺の側近、ドラゴニュートの綺麗と同じ覇王だろう。
肯定していないがこちらの正体も知られてしまったからには何とか倒したいところだが、いかんともし難いかも知れない。
「返事が無いのは肯定と取る。」にやりと笑う男。
「皇帝に何をしていた!」
詰め寄るように質問するが、さあねとばかりに無言だ。
「お互い手の内を晒したくないようだが、名乗りだけしておこう。
儂はゾルダ、不死者のゾルダだ。」
「勇者ナオヤ。」言葉を交わしながら魔素をゾルダの周りに集める。
溜めも何もなくいきなり長剣が眉間目指して伸びてくる。交わさず大きく飛び退く。
あれは駄目だ。見切って小さく避けると間合いが伸びて斬られる。
長剣の引きも見られないのに更に突かれる。
だから、防戦一方に逃げ回る。
窓のある方に逃げようとするが回り込まれてなかなか交わしきれない。
皇帝が眠っているベッドを盾にようやく窓に近づいた。
ドタバタと走り回ったからだろう、ドアの外に人が集まりだした。
「どうした?魔法は使わないのか、ああん?」
「不利な場所で戦うのは愚者だろう」
恐らく不死者は皇帝に重用されている可能性が高い。そして、シェネッツアに影響や示唆を与えていた筈だ。
周りの家臣全てが敵になる。
逃げるが勝ちだろう。
チャンスを見て、仕掛けよう。
後ろ飛びに窓を破り、ゾルダの周りに数え切れない程のライトボールを牽制に破裂させる。
窓の外で飛空艇クレイモアの転送して貰って逃げ出した。
新たな敵
不死者ゾルダ登場!!
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拙作を読んで下さいましてありがとうございます。
楽しんで頂いているでしょうか?
新しい登場人物を考える度に頭を抱えています。
取り敢えず、再登場まで待って下さい
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