やっぱりババロンが犯人だった!?
竜宮城と思しき施設は?
転章1 世界探訪記 竜宮城②
勇者でありながら世界に戦いを挑む八神直哉です。謁見まで後6日半。
少し遅めの朝、観測所を前にして僕たちは作戦会議をしていた。
僕は味噌ラーメンを、メジーナ博士はワンタン醤油ラーメンを、葵はざるそばを目の前にお互いの意見をぶつけていた。
食べないと食べる時間が取れないことが多いからね。
まあ、観測所の中に入ってサイカの起動をメジーナ博士にお任せすれば良いだけだろうと言う結論だけど、万が一もあるので慎重に事を進める事にしたのだ。
実際近づいてみると観測所もクレイモアと同じ様な耐水圧の魔法が掛かっていて、同質の魔法のお陰で何の抵抗も無く接触できた。
観測所の上面を観測しながら中央部を目指す。魔法のお陰か、さほど傷みは無く施設が生きている証拠にあちらこちらから光が点滅していた。
何故、通信に反応が無いのか不思議なくらいである。
中央部近くに近寄り、クレイモアから観測所のコントロールルームに転送して貰う。
中は薄暗かったが計器の明かりだけでなく明らかな間接照明が着いていた。
サイカは明らかに生きている筈であった。メジーナ博士が声を掛ける。
「サイカ、私を認識出来るか?」
暫く無音だったが返答があった。
お久しぶりです、メジーナ・ババロンさま
「ああ、久しぶりだなサイカ。これまで何度も連絡をしたのだかどうして返答をしなかった?」
はい、どうも通信施設に異常があるようです。
近接区域なら可能なのに遠距離になると不可能になってしまうのです。
「なる程、回路の1部に不具合が生じているのかも知れないな。
ともかく、サイカが生きていてくれて嬉しいよ。」
ありがとうございます。
ところで一緒の方々はどなたでしょうか?出来れば登録をしたいのですがよろしいでしょうか?
それからメジーナ博士は葵と僕を紹介して、僕をババロンの所有者としてサイカに登録させた。
そして、魔素消失現象後の状況を聞いたのだ。
サイカによると飛ばされて着水した後殆ど海面に浮いていたと言うのだ。
魔素も一時的にはゼロを記録したが僅かに回復をしていたと言う。戻った量としても0.1%程度であったが施設保護の魔法を保持する事は出来たのだと言う。
ただ、通信だけは復旧せずそのまま観測を続けることが出来たので、観測プローブを飛ばしたり、接近する民間人と交流したり、難破した船を助けたりしていたと言う。
そして、100年程前に沈み始めて海流や魔素の流れの影響で今の場所に漂着したのだと言う。
濃い魔素のお陰で海底の観測が進みほぼ惑星ガライヤの全域をカバー出来たと言う。
ただ、このままでは超深海に落ち込む可能性があり、見つけられて助かったと言っていた。
メジーナ博士が竜宮城の話を訊くと
恐らく、それは私のことでしょう。観測プローブを幾つか海上に設置している事で難破救助もしています。ここには多少なりとも人間の回復施設がありますから。
更にカクシカクの国の出来事を話“よもつひらさか“の心当たりを訊く。
地名は分かりませんがそのフジと同様な力を有している地点がほぼ反対側にあります。恐らくそこが“よもつひらさか“では無いでしょうか。
目的地が確認出来たことで全員がほっとした。
そこで観測所復活の為に取り敢えずクレイモアから魔素の供給をして、空中に復帰する事になった。
曳航して中央施設への接続は事が解決してから行う事になった。
何となくメジーナ博士は別の事を考えているようであった。
通信施設の修理やらの作業は順調に進展して観測所の空中浮遊まで済み、その日は終わった。
謁見まで後5日の朝、飛空艇クレイモアは観測所を後にして“よもつひらさか“を目指して飛行をした。
目指すはエルランディアである。
カクシカクの国の隣、大陸にある大国エルランディア。その大きさは広いとしか言いようが無い。北にはビエト連邦を控え、南にはスタン諸国がある。
セラに深い関係のあるガライヤ宗国もここにある。聖都バフォメはメリカ国での布教の拠点と云ったところだろう。
エルランディアの更に東には山岳地帯があり、人が近寄ることさえ適わず、人知未踏の場所ならしい。
スタン諸国の南は海になっていて、更に南には知られざる大陸があるという噂である。
観測所か示した場所はこの人知未踏の山岳地帯の向こう側であり、エルランディアのシェネッツアはどうやって行こうとしているのだろうか。
シェネッツアがカクシカクの国の死魂の玉のことをどうやって知ったのかも謎であり、シェネッツア自体も情報通な筈のカンサイの大商人レンライでも知らなかったのだ。
暁炎が内通したとは言え、ここまで強引な侵略をして来たのはシェネッツアだけであり、エルランディアの皇帝の命令では無いのかも知れない。
だから、先ずはエルランディアの首都カルディアで情報収集が必要だろう。
カルディアはエルランディアの西南にあり、ライヌ川とライネ川が合流するY字地点にある。そこをぐるりと城壁を築き、Y字の上部分に皇帝の城と貴族屋敷があり、北門しか直接入ることが出来ない。
西門のある西側は一般市民と商人が住み、東門のある東側は移住者街やスラム街となっている。
城と貴族屋敷のある場所へは跳ね橋でつながり、厳しく検問されている。
天然の地形を上手く利用した首都なのだ。
我々はスラム街のある東門から入った。
エルランディアの首都に潜入です。
果たして判明する事は?




