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二番煎じの転生者  作者: きゅうとす
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おおいあおいの事情

新章が始まりました。


おおいあおいの物語です。



転章1 世界探訪記 カクシカクの国①


勇者メサイア)でありながら世界に戦いを挑む八神直哉ナオヤ)です。



おおいあおいは英雄である。女性でありながら女剣士の枠を越えた英雄なのだ。


おおいあおいの生まれた国に有るダンジョンのヌシ)を倒せる力を持つものに与えられる称号が英雄である。


同郷のドワドも英雄の称号を持ち、しかも御前試合で無敗の英雄である。

ドワド・ユゲトの本名は『城居鉄乃進しろいてつのしん)』と言う。

故郷を出奔した時の渾名『シロヒゲ』をメリカ国の言葉に直したものなのだ。


おおいあおいは『覆葵』が本名である。君主の剣『覆家』は男女関係なく君主を守り、側に仕えていた。


長女であった葵は仕える為に幼い頃から剣士の修行に明け暮れ、その恵まれた長身で直ぐにその才能を伸ばした。


同い年だった主と葵は幼なじみとして仲が良かった。

主として立つ男と剣として仕える葵、妾として葵を近くに置く事は男には考えが無かった。


「葵は我が剣だ。ずっと仕えていて欲しい。」それが主君の願いだった。

第一の剣として仕えるなら剣士として一流でなければ成らない。英雄の中の英雄城居鉄乃進に負けない腕が無ければ成らないと葵は考えた。

そして精進し、英雄を越え、御前試合で無敗が城居鉄乃進に並んだ年に城居鉄乃進が出奔してしまった。


その理由は更なる強さの高見を目指すと言うことだった。

葵は迷った。城居鉄乃進の後を追うべきか、留まって精進するべきか。


主君は城居鉄乃進の辿った道を調べた上で葵に城居鉄乃進を越えよと後を追うことを命じた。

越えたら必ず戻って来て、仕えよと命じたのだ。


城居鉄乃進は秘密の抜け穴から西の大陸に飛んだ。一ヶ月後、葵も僅かな蓄えを持って後を追った。


森で魔物を狩り、剣の腕を磨きつつ、城居鉄乃進を探した。名前を変えた為に探すのは容易では無かったが、剣豪として名を馳せ始めた事で居場所が分かった。


食事もままならないまま、葵はバパルカの都市に入った。腹を空かしふらついている所を男達に因縁を付けられぶつかられた。

男達の狙いが自分の身体であることは明白だった。煩わしさから追い立ててみたものの、逃げ切れなかった。


囲まれて往生しているところを助けてくれた者が居た。それが、ナオヤだった。

衝撃だった。


ナオヤは葵の目的を知ると当たり前のように食事をご馳走してくれた。しかも、自分たちも同じ相手に会いに行くので紹介してもくれた。


実のところ居場所が分かってもどうやって会おうかと悩んでいたのだった。


恩に報いる術もない葵を気のもせず、その後も何くれとなく気にかけてくれていたナオヤに葵は心が揺れた。


バパルカが狂乱の渦に巻き込まれた時ドワドが荒れ狂い、取り押さえようとして跳ね飛ばされそのまま気を失ってしまった。

その師父ドワドをナオヤが押さえ込んだ事を聞いて驚いたのである。


晩餐会の後の模擬試合でも何も出来ずに気がつけば負けていた。


その後、ナオヤが風の町フウトを経て学術都市ディービアに居ると知った時力になりたいと思い、師父ドワドと共に向かったのは天の配慮だったのか。

魔獣ラミアと戦うナオヤの人外の戦いを目撃して、自分の力のなさを実感してしまった。せめて魔力切れで倒れたナオヤを背に治療院に連れて行けたのはドワドの思いやりだったろう。


その際、ナオヤが使っていた体技 天走あまかける)をすんなりと教えてくれた。普通は何年も掛けて相伝される筈の体技がナオヤに掛かるとちょとした指導で身につくのだ。


王都でナオヤの仲間を見つける為に師父と共にあちらこちらと尋ね歩いたが、強者は居場所を転々として掴みにくく、紹介したクリエ&サリエ双子姉妹ですら足手まといでしかなかった。


ナオヤがエルフの里へ行くときも自分達が力になり得ず、修行を続けるしか無いのが悔しくて仕方なかった。エルフの里でナオヤが勇者メサイア)として活躍したと聞いて、嬉しくもあり、寂しくも感じたのだ。


葵に取ってナオヤは頼れる相手であり、手の届かない強者だった。

そして、主に向ける好意とは異なる好意を寄せる相手でもあった。

師父による修行のせいか剣の技術はドワドに肉薄しつつあった。

しかし、ドワドの使う魔纏はどうあっても身につけることが出来なかった。少しも魔法に対して適性が無いのではないかと思っていた。



そんな葵の下に見知った相手が現れた。主の側近である蓮華れんげ)だった。

蓮華は片腕が無かった。左腕の中ほどから先を失っていた。

蓮華の顔には傷が有った。鼻梁の上を斜めに切られていたのだ。

蓮華の足は打撲に依る後遺症で引きずるようにしか歩けなくなっていた。

酷い姿をした蓮華に故郷が危機で有ることを知らされたのだ。当然師父であるドワドにもそれは伝えられた。


直ぐにでもドワドと共に故郷へ帰ろうと葵はしたが、師父ドワドから止められた。たかが2人の剣士が帰った所で状況は変えられないと言う判断だった。


その代わり、ナオヤを頼ろうと言うのだ。

確かに勇者メサイア)となったナオヤの力があれば故郷を救う事が出来る。だが、只でさえ恩が有るのに返し切れない恩を抱えることになる。

葵はそれが引け目に感じたので嫌だったのだ。


師父ドワドからナオヤにドワドと葵の故郷の危機を救う助力の申し出が成された。

そして、それはナオヤに簡単に了承された。


ナオヤは葵の故郷に起きた出来事を知らないのにである。




実のところ、ナオヤも葵を気にしていたのである。剣豪ドワドと修行ばかりしていて折角の王都を楽しんでいない。難しい顔をして常に緊張している。

あれでは19歳の女の子とは言えない。だから会う機会があれば楽しめるように色々と誘ったり、美味しい物をあげたり、笑顔になって貰えるように気を使っていたのだ。


そんな葵の故郷が危機だと言う。ナオヤは葵を悲しませたくない、その一点だけでドワドの申し出受け入れたのだ。


早速、ドワドと葵と蓮華を飛空挺クレイモアに転送する。

船室のソファーで話を訊くためだった。

蓮華に会ったナオヤは難しい顔をした。

密かにメジーナ博士とソリオに蓮華の回復の手立てを考えて貰う。


先ずは話からだった。


カクシカクの国は広い。中央に“フジ“と言う巨大な山があり、それを覆うような樹海が広がり、西の裾野に王都が有る。

王都の名前は“エド“と言う。エドの周りには幾つかの小さな都市があり、フジの反対側には商業都市“カンサイ“がある。

カクシカクの国の形は菱形をしていて、それぞれの角に当たる所から諸島があり、大きめの島には人が住んで居る。東側の諸島の先には大きな大陸があり、国がある。

カクシカクの国はその大陸の国“エルランディア“からの侵略を受けていたが悉くを退けていた。それは毎年生まれてくる英雄の力が有ったからである。

しかし、今回ばかりは違った。ドワドや葵がいなかったと言うこともあるが、エルランディアが新兵器を持ち出してきたのだ。

“亀甲船“と言う船は船上を海の魔獣アーケロンの堅い甲羅に覆われていたのだ。魔法攻撃も通らず、船のまま陸上に乗り上げてきた。亀甲船は陸上では少し浮いて移動できた。

英雄の力は亀甲船一隻なら対応出来たが、複数には無力だった。亀甲船から放たれる魔法攻撃に殆ど抵抗出来ずにカクシカクの国の落ちたのだった。


歩兵無しでカクシカクの国は蹂躙されたのだ。


国主は捕らえられ、側近だった蓮華は見せしめに酷い扱いを受けた。命辛々に逃げ出し、国主を助けるために葵が通った秘密の道を通ってドワドと葵を探しに来たのだった。



話を聞いた葵は下唇を噛んでいる。

ドワドは腕を組んだまま天を仰いでいる。




10日後に迫った謁見を前にナオヤはどんな判断を下すのか?




§§§§§§§§§

読んで下さいましてありがとうございます。

思いつきのまま書き始めた八神直哉の話にドキドキして貰えたらとても嬉しいです。

これからも宜しくお願いします。

§§§§§§§§§

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