勇者(メサイヤ)
ナオヤは女神ガライヤとの邂逅で何をみるのか
承章4 学術都市ディービアの陰謀⑩中
バフォメで昏睡状態の転生者、八神直哉です。
白い夢の中にいた。
いつもの霊夢である。
女神ガライヤと交信する時は霊夢でないと直接交信が出来ない。
あれ?
なんでここにいるんだろう。
ああそうか、ドラゴニュートの綺麗に貰った一撃のダメージで倒れたんだ。
自分のヒールじゃあ効かなかったんだな。
ナオヤ ナオヤ 聞こえるか?
遙か高見から声が落ちてくる。
女神ガライヤである。
ドラゴニュートの女には敵わなかったようですね。
無理もありません。あれはこの世界の生き物ではありません。
別の世界の覇王なのです。
どんな手段を使ったのか不明ですが彼以上のパワーを持っているようです。
彼は様々な力を集めて自身を覇王としようとしているようですね。
彼の正体も彼の居場所も掴めないようにしたと思われる、彼の背後の異世界の神が誰か分からないところが困ったところです。
これからもナオヤには彼を追って貰わなければなりませんが、彼の配下に敵わなくては今回のような事になってしまうでしょう。
ババロンの後方支援は未だ整わない情勢ですが、ナオヤ自身が強くなる必要があるでしょう。
この世界にあなたを転生させた時の制約を解除する時が来たのでしょう。
後はナオヤ、あなたの覚悟次第です。
『勇者』となる覚悟はありますか。
女神ガライヤの言葉に僕は息を飲んだ。『勇者』なんで柄じゃ無い、そう思う自分が居る。
でも、自分が何とかしないとこの世界が滅ぶ。大好きなセラが住む世界が無くなってしまう。
地球に居たときの自分は無力だった。大企業の御曹司と言う肩書きのせいで自分のやりたいことを出来なかった。
しかもその身分のせいで恐ろしい目にも会ってトラウマを抱える事になってしまった。
たまたま、独りで自転車で出掛けられた機会に消滅させられたなんて、運が悪すぎる。
この世界に来て初めて自分の意思と行動を一致させる事が出来るようになったのだと思う。
この世界が好きだ。
セラの住むこの世界が好きだ。
独りで出来る事に限界を感じて、仲間と行動を共にする覚悟を決めたじゃないか。自分を知られる覚悟を決めたじゃないか。
『勇者』になれるのかどうかなんて分からない。
『勇者』と呼ばれるだけの行動が出来るかどうか分からない。
でも、その道しか僕の思いを貫けないなら進もう。
どんな困難があっても、どんなに辛い思いをしても、どんな遠回りをしても、目指す道が『勇者』なら僕の全力を尽くそう。
覚悟は今決まった。
では制約を解除します。
女神ガライヤの言葉と同時に僕は途轍もない力に晒された。
僕は分裂をした。
僕は沢山の異世界で僕を生きていた。
平和な地球で平凡な少年として授業を受けていた。
争いの耐えない国で銃を手に敵と戦っていた。
襲い来るエイリアンズとナイフ一本で格闘していた。
スペースガンシップで敵船を撃ち落とす射手だった。
仲間達と整列して総統の訓示を受けている一等兵だった。
部屋に籠もりゲームばかりしているニートだった。
肉体を鍛え上げ、ライバルと競い合うレスラーだった。
時空間理論を講義するユニオン大学の講師だった。
そして、沢山の僕は収斂して、今の僕になった。
凄ましい勢いで僕の隠されたステータスが上昇していった。
あらゆるスペックがカンストしてゆく。
そして『勇者』の称号が付与された。
ナオヤ、これからあなたはもっと多くの困難に立ち向かわなくてはならなくなるでしょう。
称号の力をもってしても不可能と思える出来事もクリアして行かなくてはならない状況もあり得ます。
でも、挫けないで下さい。
あなたは私の“希望“なのですから。
白い世界は消えてゆき、僕は目が覚めた。
セラが目の前にいた。
それが全てだ。
「おはよう」
僕は丸1日眠っていたそうだ。セラのハイヒールも効かない程の重傷だったそうだ。
体内に闇の魔力が残り、怪我の修復を妨害していたらしい。
綺麗の一発にはそれだけの破壊力があったと言う事だ。僕が受け止めなければ半径100メートルは吹き飛んでいたレベルだそうだ。
そりゃそうだろ、完璧を誇るプロテクトを抜けて、金剛をへし折った威力は半端無い。
あれで大人しく帰ってくれて僥倖というものだ。
綺麗に依るドラゴン襲来は囮だったらしい。
神殿ではとんでもない出来事が起きていたのだから。
セラは神殿でどんな体験をしたのでしょう




