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二番煎じの転生者  作者: きゅうとす
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仲間を求めて

彼に対抗して勢力結集です。

承章4 学術都市ディービアの陰謀⑥上


僕は転生者にして、この世界で初めて敗北を経験した八神直哉ナオヤ)です。



学術都市ディービアの都市長ディビアス・ジャロンに事の次第を話す為にみんなで押し掛けた。みんなとは僕、セラ、あおい、ドワド、デッシャである。


学術都市ディービアの将来に関わる重大な事を話す為である。

「ああ、ナオヤ殿。

元気になられたようで良かった。もう、体の方は大丈夫ですかな?」

一応身体のことを気遣ってくれるジャロンではあるが大勢に少し身を引いている。


「事件の大筋は理解してると思うが大事な事を思い出したんだ。


イオタラ魔術研究所、エル・ランティのデッシャと協力してジャックと言う研究者を追い掛けた時、知らない女に邪魔をされたんだ。その事は報告に上がっていると思う。


白くない包帯女の肩から覗いていたタトゥーなんだが 黒い髑髏が赤い薔薇を咥えている形 をしていたんだ。デッシャは知らなかったが、ジャロンなら何か知らないかと思ってな。」


「ななな! 何ですと!! 

もしかしてこれのことでは無いですかな?」

ジャロンが引き出しから一枚の紙を机に出した。


それは僕が見たタトゥーと同じものだった。


「これは?」僕の問いかけにみんなが身を乗り出した。

「赤い薔薇を奉信する髑髏のマークは『疾黒の女神ブラッディーブァ)』と言うクランのマークです。

“妖精の豪腕“と言うパーティーが中心になっているようですな。

“妖精の豪腕“のメンバーは強盾ダズン、虚剣メリアイダ、凶姫ローズ、幽鬼ファズマ、百薬斎セイだと聞いています。知られているのは名前だけですがね。」


僕があったのは女だったからローズかファズマだけど、多分ファズマの方だろう。メリアイダは知ってるし。


僕の脳裏にあの異様な風体の女が浮かぶ。思わず震えたのをドワドが見逃さなかった。

「ナオヤ殿が格上と認めた女、ファズマですかな?

闘ってみたいものじゃわい。」


「それよりは凶姫ローズのいる“妖精の豪腕“は彼の支配下にあると思われますから、この事件の背後には彼が関わっているのは確実ですな。

 クラン相手とは、これは益々ラサメア辺境伯爵さまと共闘しないと無理ですな。」ジャロンが難しい顔をして言う。


「それじゃあ、ラサメア辺境伯爵様の所へ行って相談しないといけないな。

でもってそれが出来るのは今のところ僕しかいないと思う。」

僕の言葉に驚くのはジャロンとセラ、意味が分からない顔をしているのはあおいとドワドとデッシャだ。


「良いのですか?」セラが訊いてくる。

「関係者だけに絞れば情報が漏れる事も無いだろう。漏れても信じないと思うよ。」僕の言葉に

「敵の転移者が見張っていなければ恐れる必要はありますまい。ナオヤ殿に頼れば今日の内に話を纏められるでしょうな。」とジャロンが同意する。

「私はナオヤさんが良いと言うのなら反対しませんわ。」とセラも言ってくれた。


付いて行けないのはあおいとドワドとデッシャである。

ではと言ってジャロンが秘書に何か指示をして来て、デッシャには今後の情報の取り纏めを指示するとデッシャが急いで部屋を出て行った。


僕はドワドとあおいに

「巻き込んで済まない。出来れば力を貸して欲しいが嫌なら席を外してくれても構わない。」と言った。

「なんの!強敵と戦えるなら本望じゃわい」とドワドが言えば、「ナオヤ殿にはまだ恩を返し切れていないでござる。師匠が降りないなら拙者も降りぬでござる。」と言ってくれた。


堅い意志に嬉しい反面済まない気持ちになる。

ジャロンが戻って来たので「僕の近くに集まってくれ」と言いながらジャロンとセラに頷く。

ひとかたまりになったところでクレイモアに転送指示をする。

全員が一瞬にしてクレイモアの転送陣に現れる。

あおいとドワドが驚いているが構わずセラに任せてコントロールルームへ移動する。

そして、バパルカに至急行くようクレイモアに命じた。30分超で着くそうだ。


移動の様子を見ていると呆れ顔のあおいとドワドがやって来た。

セラに説明は受けたようだがまだ信じられないようだ。

「もうすぐ着くから待っていてくれ。」

転送の驚きだけでなく、スクリーンに表示されていた風景に言葉もでずに2人は固まる。

既にバパルカの外壁が遠くに見えて来た。


「ほら、もう見えて来た。バパルカの上空で滞空、転送で城の謁見の間に直行しよう。」

固まっていた2人を急かして再び転送陣に連れて行く。転送されてあっという間に謁見の間に着く。


謁見の間には誰も居らず、みんなでブダイの私室へ押し掛けた。

突然の来訪に驚くブダイに僕が代表して話し掛ける。

「時間がなくて緊急の方法で帰ってきた。方法は後で説明するが、今は学術都市ディービアの都市長ディビアス・ジャロンの話を聞いてくれ。」

僕達の後ろからジャロンが進み出て、優雅にお辞儀する。

「久しぶりでありますな、ブダイ殿。

ナオヤ殿の言うとおり取り合えずば話を聞いていただきたくお願いします。」

ジャロンがディービアでの彼の現状の活動について説明する。そして喫緊の問題を話す。彼が起こしたクランの脅威に対する共闘が必要な事を説明する。


「なる程、彼の力は調査で済ませられる程度ではもはや無いと言うことだな。私の情報では王都でなにやら画策しているようだと思っていたが、他でもなにやら物騒な事を計画しているかも知れんと言うことだな。うむ、アンガス・メフィス・メリカ王にも進言しないといけないようだな。」


それならばいっそのこと王都まで連れて行くかと思った。その途中でクレイモアの事を説明すれば良い。

指輪を回して中央施設センチネル)のソリオに指輪を複数用意出来るか訊く。

問題なくあっという間に僕の手に転送して来た。


ジャロンとブダイが話を重ねているのを見て、割り込んだ。

「これから直ぐに王都へ行きませんか?使者を立ててからでは時間が掛かりすぎます。

僕達がここに来た手段なら一晩で王都へ行けます。」


ブダイは呆気に取られてしまう。僕の話を理解出来なかったようだ。

「彼が探していた飛空挺クレイモアを偶然ですけど手に入れているんですよ。」


ガタッと椅子から落ちそうになったブダイは叫んだ!

「何だと!?」

「私達もそれ(クレイモア)でここに来たのですな。」とジャロンが補足する。


「先ずは証明しましょう。」と言ってみんなで集まってディービアでしたようにクレイモアに転送してもらった。


それからブダイの騒ぎようはジャロンが初めてクレイモアに乗った時と同じくらいであった。

知り合い全てに教えようとしたり、示威行為をしようとか、僕のことを英雄呼ばわりしたりしようとするので止めるのに苦労する。


ブダイが落ち着いた頃僕はみんなに話をし始めた。

「先ずは、ブダイさまとあおいとドワドに指輪を渡しておきます。

この指輪はクレイモアと通信する為だけでなく、このメンバー同士で話をするのにも使えるから覚えていて欲しい。

クレイモアが近くにいればピックアップしてくれるので逃走や移動にも使えます。くれぐれも無くさないようにして欲しいです。」


「クレイモア、王都の地図を表示してくれ。」

僕の指示にスクリーンに王都の実際の航空写真が表示される。

「ブダイさま、王都での屋敷は何処ですか?そこの庭とかに転送して貰いましょう。」

ブダイが写真を見ながらこっちの方、あっちの方と指示し自分の屋敷を見つけ出した。リアルな航空写真では分かりづらかったらしい。


「アンガス王に話をするのはブダイさまとジャロンで良いな。緊急の報を入れても2~3日は掛かるだろうし、その間僕達は王都での彼の様子を探ろう。」

ジャロンもブダイさまもそれが良かろうと了承してくれたのでブダイの屋敷に早朝に到着してから別れる事になった。


大筋が決まったところでクレイモアの宿泊施設に別々に泊まった。クレイモアの宿泊施設は3階層あるが士官クラスの部屋はその最上位に10部屋あり、それなりに広い。フロアの最後尾は倉庫であり、メンテナンスの為の機械室も兼ねている。

船首方向の一番前の部屋が艦長室であり、僕の部屋である。


そこに僕とセラはいた。


あ、いやセラと同衾する積もりじゃないからね! 


「急にみんなで彼対策する事になって、セラを巻き込んでごめん。」


「ううん、ナオヤさんの役に立てるなら嬉しいわ。」

セラは俯いている。


いつも俯いている。


対人関係が得意じゃないのは知っているが・・・あれ?リリアとは普通に話していたよね。

これって僕に対してだけ?

由々しき事態だ!! 下手したら泣くぞ、僕が。


「えと、  セラと2人だけで話したいことがあったから来て貰ったけど・・ まずかった?

それとも、僕が怖い?」

先ずは緊張をほぐさないと。セラの緊張が移ってきそうだ。


「そう 言う 訳では 無いの。」一言一言絞り出すようなセラの言葉に僕はうろたえた。


「好 き な 人 と同じ部屋にいるのは・・・」

セラの言葉にピンと来た僕は焦って

「お、襲ったりしないから!!

セラが嫌がる事なんてこれっぽっちもしないから!!



そりゃ、セラを抱きしめたいよ。

セラを感じていたいと思うよ。

でも、今は緊急時だから」

僕は立ち上がり壁に向かって、セラから離れる。


セラは無言だった。

セラの気配を感じたと思ったら後ろから抱き締められていた。

「私もナオヤさんの事が好き。

でも、今はこれくらいしかしてあげられないの、ごめんなさい。」


「ありがとう、セラ」

僕は振り向きたいのを我慢して言った。


落ち着いた頃、僕は話し始めた。

「魔獣ラミヤと闘って、僕に力が足りないことを痛感したんだ。僕の力は特殊だから秘密にして置きたいから、パーティーを組むのは極力避けてきたけどそうも言っていられない。

出来ればセラに僕について来て欲しいんだ。

僕のパートナーに、あ、いや違った。僕とパーティーを組んで欲しい。」


セラが息をのむ。驚くのは無理もないと思う。でも帰ってきた返事は思いがけない言葉だった。

「嬉しいわ。私もナオヤさんと一緒に冒険したいわ。

でも、聖女のままは難しいかも知れない。バフォメ北の聖女サフィア様に確認しないと分からないわ。」

緊張が解けたのかなんとか普通に話している。


「それについては考えがあるんだ。バフォメに行ったらセラの家族に会いたいと思っている。北と東の聖女さまにも話をするつもりだ。」

セラが両手で口を抑える。目は見開いて驚きに満ちている。


ナオヤの決意と王の判断が別れます。


未来のダイスはどちらに振れるのか

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