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二番煎じの転生者  作者: きゅうとす
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告白

出逢いとそれぞれの想い



承章2 混乱都市 バパルカ⑩上

僕の名前はナオヤ、八神直哉。

私の名前はセラ、聖都バフォメの西の聖女セラ・バフォメ。

バパルカの長いような短い騒乱は終わった。


事が終わった後でも暫くはセラは動けなかった。

「終わったの?」

訊くとも無しに呟いた。


意外と近くから答えが返って来た。

「ああ、何とかね。」


慌てて掴んでいた手を離す。何故か手を離すのが惜しい気がした。


「えっと、ナオヤさんで良いのかな。」

セラがもじもじとナオヤに問いかける。

「ん?何かな」

セラが倒れているサルーンに屈み込んで再度尋ねる。

「生きてるよね。」

微笑むように笑ったナオヤが答える。

「大丈夫、気絶しているだけだから。闇魔法の影響も無いから暴れたりしないと思うよ。」

ナオヤはラサメア辺境伯爵に近づき、落ちていた『雷熊杖』を拾うとインベトリーに収納した。


城内で気が付いた人達が起き出したのかざわつき始める。

「さて、闘技場の様子を見てこないと。」気絶しているラサメア辺境伯爵をそのままに立ち去ろうとして、

ナオヤは改まった口調で

「セラ様はサルーンさん達をお願いします。」と言いながら行ってしまった。


先程女神ガライヤと邂逅を果たした折にお互いの情報を得ていたのだ。

セラが恥ずかしさに身悶えしているとサルーンが気が付いた。

「あ、あの箱は?」

にっこり笑ってセラは答えた。

「大丈夫、処分したから。みんな大丈夫。」

サルーンは立ち上がり、服を叩き、回りを見回りしてラサメア辺境伯爵を見つける。

そさくさと近づき世話を始めようとする。


それを見てセラはサルーンに「部屋に戻って休むわ。疲れたわ。」と言うと謁見の間を出て行った。


部屋に戻る途中でサルーンの部屋に逃げ込んでいたメイド達に捕まる。口々にサルーンの安否や礼を言われたセラだったが魔法戦の疲れがあるからと謝辞して離れた。

部屋に戻ると倒れていた技僧兵シャダーンの2人は誰かに片付けられ、ベッドメイクもきちんとされていた。

あんな大事件が嘘のような有り様だった。


着替えもせずそのままセラはベッドに倒れ込むと深い眠りに落ちた。



闘技場に戻ると中央にどっかりと座り込んでいたドワド・ユゲトが顔を上げた。

「さあ、続きをやろうぜ!」

闘う事しか頭にないのかこの脳筋野郎。

ナオヤは呆れながらも口にする。

「魔法に掛かってなくても同じ事をするんですね。」


「当たり前じゃあねぇか。面しれえ奴とは楽しみてえのよ。」

堂々と宣うドワド・ユゲトは放って置いて、ブールの様子を見る。物凄い勢いで倒れた割にはすり傷程度しかない。


揺すると気が付いた。

「ブール、大丈夫か」と訊くと、立ち上がり自分の身体をチェックし、軽く飛び跳ねて言う。

「ナオヤ、その様子じゃあ、父上の方も上手くいったようだな。任せて済まなかった。」


全然大丈夫そうなブールに「謁見の間にいるようだから行ってやれ。」と言うとドワド・ユゲトの方をチラリと見て、手を挙げて出て行った。


もうひとりの『おおいあおい』の様子も確認する。

大人しく寝ているだけのようだ。

「お嬢ちゃんは寝てるだけだろ、だからやろうぜ!」

なおも闘いたがるユゲトはこの際だから徹底的に無視しよう。


ユゲトに言う。

「そんなに闘って欲しかったら『おおいあおい』を頼む。今日は疲れた。明日また改めて合おう」

言い方に含みを残して屋敷に戻ることにした。


屋敷の僕の部屋のベッドの上には何故かブラックバーンが丸まって寝ていた。

懐かれたようだ。名前付けてやらないとな。

そんな事を考えながらベッドの隅に眠ったのだった。



白い霧が出ていた。

いつもの夢だ。

でも、今日はいつもと違う。

私の右手はナオヤさんの左手に繋がれている。

ナオヤさんの顔は茫洋とした表情をしている。眠っているのだ。

ナオヤさんの手からナオヤさんの温もりを感じる。心が暖かくなる。


白い霧の向こうに影が見えた。いつもの影だけでなく複数の影がいるのが見えた。いつもの影が私とナオヤさんを招いた。

いつもの影とは女神ガライヤ様である。

隣の大きな影と何やら話をしているようだ。

神の言葉は分からない。



左手に誰かの手を繋いでいた。見るとセラのようだ。

何故か心が躍る。セラだけを見ていたくなる。

彼の残した闇魔法の箱を解呪するため、セラと女神ガライヤ様にアクセスしたとき初めて彼女を知った。

セラの生い立ち、セラの想い、セラの願い、セラの役割を女神ガライヤ様から最初に聞かされた時はなんて切実なんだろうと思った。

セラの力になりたいと思った。

そのセラが手を繋いで隣にいる。たとえ夢の中でも嬉しい。

目の前に女神ガライヤ様がいた。隣には地球神アースだ。2柱は言葉を交わしていた。


『セラとナオヤか、2人のお陰だな。出逢うことで未来が変わった。』

『ナオヤの転生が特異点のエネルギーを緩和させたからだろう。』

『セラの基準値を増加させればさらに此方へ傾くだろう。セラの基準限界は高い。』

『ナオヤの基準値を高めるのは不可能なのか。』

『不可能ではないがナオヤの可能性が狭まる。基準値が低いが故にナオヤは創意工夫し高い可能性を保てる。』

『ではスキルを与え幅を持たせるのならば可能であろうか。』

『消滅の未来を変えてくれたセラとナオヤに報いたい。神器に新たな力を付与し、2人に与えよう。』



小さな影である女神ガライヤ様から光が伸び、セラとナオヤの手首に巻き付く。


女神ガライヤ様の声が2人に届く。

『神器は2人を繋ぐ証なり』


次第に白い霧が濃くなりやがて朝になった。



混乱が収まり、生き残った私達は聖都バフォメに戻る事になった。南の聖女シャルラを始め、技僧シャダーン3人が亡くなり、側女の何人かが怪我をしたのだ。

顛末の報告もシヤルラの葬儀もある。

ラサメア辺境伯爵も落ち着き、正式な謝罪は後日になるにしても送り出すについては何かと便宜を計って貰える事になった。


ただ一つセラには気がかりがあった。

ナオヤの事だった。

一緒にいたいという想いもさることながら、大切な事が言えていなかった。

告白してないし、されてない。


霊夢とおぼしき夢から醒めるとセラの右手には神器があった。ナオヤとお揃いになっている事は想像に難くない。

それだけ女神ガライヤが2人を認めているという事なのだろう。

嬉しさもある。バパルカという都市の混乱を2人で何とかしたのだという自負もある。想いが繋がっていると信じている。

でも、だからこそ告白は大切だと思うのだ。



大きな事件の解決の一助となれた事は良かったと思う。魔法を使ってではあるが、名だたる剣士ドワド・ユゲトだよね)とも戦えることを証明出来たことは自信に繋がっている。

ラサメア辺境伯爵本人からもブールからも多大な感謝とその証としての金貨も与えられた。そんなにされてもと固辞しても、受け取って貰いたいと強弁して言われたら仕方ないのだ・・のだ。

リリアの家庭教師としての給料は別にすると言われたが流石にそれは断った。

バパルカの事件は解決したが彼についての情報収集と検証は終わっていない。

“キングオーガをメテオで倒した話“とか“ロワラエ森林の大火災を起こした話“とか“サファイアドラゴンをティムした話“など巨大な魔法力を使った話はあり得る話ではあるが、本当かどうか検証しないと彼の力を計れない。

全てを検証するのは無理だろうからノイムからの報告待ちだろう。

だから、後10日程は滞在するのだ。その後はまだ決めていない。

そのせいか、ラサメア辺境伯爵ブダイ・ブール親子から冗談のような口調でリリアを娶らんかと言われ続けている。

僕のような非力な魔法使いを跡目にしようとする意味が分からないが、それより気がかりがある。


セラが好きだ。逢って一緒にいたのはそれこそ1時間に足りない。

でも、セラのことは女神ガライヤからだいぶ前から聞かされていたのだ。興味はあった。

女神ガライヤの力を借りるためにアクセスして、セラの事を知って、惚れた。

自分に嘘は付くまい。

だから告白しないと気が済まないのだ。拒否されようと溢れる想いは伝えたい。


セラは明朝バフォメに立つ。機会は今日しかない。

不自然でなくセラに逢うには開催されるラサメア辺境伯爵主催の晩餐会しかない。

当然主賓はセラであり、肩書きの無い僕は無関係だ。実績としても僕はセラの助力しかしていないのだ。

ブダイもブールも僕を同格で招くと言っていたが、対外的にラサメアの名前に傷が付くので止めさせたのだ。ブールの妻のノストリーアも賛成したのが大きいだろう。

ノストリーアは外面を気にしたのでは無く、僕への負担を考えてくれたのだ。

晩餐会で名を売ると言うことは目だつということであり、無用な関係を求める有象無象との付き合いを捌かねばならないと言うことである。

晩餐会では目立たないように気をつけ、終盤にセラへ告白するのだ。

自分なりのストーリーを立て、僕は晩餐会に望んだ。



だが、ある男にそれは台無しにされた。

晩餐会での騒ぎとは


誰が悪い?

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