10.薔薇と小さな騎士(シリルファリナ五歳)
更新が遅くなって申し訳ありません。
新キャラ登場です。
逆ハー要素が入ってきます。
現在私は五歳。初めて王宮にお泊まりしてから、既に二年程経っていた。
今日も王妃様にお会いすべく王宮にやってきたが、急なお客様がいらっしゃって、王妃様はそちらに呼ばれてしまった。時間が空いてしまった私は、広い広い庭園を散歩している。何度王宮を訪れても、いつも必ず王妃様の私室に通され、殆どそこで過ごす為、こんなにゆっくり庭園を見て歩くのは初めてだ。
爽やかな風が心地よい。その風に乗って微かに甘い香り。どこかで薔薇の花が綻んでいるのだろう。私は薔薇の優しい色を求めて、庭園の奥に入った。
レンガ敷きの小道を進んで行くと、チラチラとピンクや黄色、白い色が瞬いているのが見えた。小走りにそこへ向かい、目にした甘い風景に、私は溜息を堪えられない。色とりどりに咲き誇る様々な種類の薔薇は、芳しい香りを放ちつつ、可憐に繊細に且つ豪華に空間を染め上げていた。
「………………うわぁ………………。」
言葉にならない。心ごと釘付けになってしまった。
元々私は、そんなに花が好きだという訳ではない。目の前にあれば綺麗だと思うが、自分で世話をし、育てようと思える程には興味は無かった。
だけど、そんな無関心を吹き飛ばす程この薔薇園は美しかった。
「おまえ、だれだ?」
どれくらいボンヤリしていたんだろう。気が付いたら、目の前に少年がいた。出会った頃のレヴィン王子を彷彿させるような紫の色素。違うのは髪質で、クセっ毛でぽわぽわしている髪を短めにしている王子に対し、少年はストレートの長髪を後ろでひとつに束ねている。身形も極上。走っていたのだろうか、頬が赤く染まっている。
王子に兄弟はいないので、近い親戚の子なのではないだろうか。だとすれば、礼を失するような真似はできない。
「シリルファリナ・クリスティーンともうします。」
「クリスティーン?じゃあ、まじゅつしちょうの…………?」
「はい。むすめです。」
「じゃあ、セラのいもうと?」
「はい。」
少年は首を傾げた。
「ここにはどうして……?」
「おうひさまにおあいするよていだったのですが、きゅうなおきゃくさまがいらっしゃったらしくて……。」
「ああ。それ、オレたち。オレのオヤジとオフクロが、いま、へいかとひでんかにあってるんだ。」
「そうだったんですか。」
私が微笑むと少年はまじまじと私を見た。私も微笑んだまま、失礼にはならない程度に、控えめに少年を見つめ返す。
慌てたように少年は続けた。
「わるかったな。せっかくきたのに。」
「いいえ。そのおかげできれいなバラがみれました。」
もう一度笑顔を向けると、少年はまた頬を赤らめた。
「…………おまえはくろくないんだな…………。」
「えっ?くろく、って?」
尋ねると、赤い顔のまま、少年は視線を逸らした。
「いや、セラはときどきくろいから……。」
そう。確かに兄様はたまに腹黒く見える時がある。勿論私にはそういう態度は取らないけれど。
「セラにいさまをごぞんじなんですか?」
「うん。……オレはエスネラード・サヴェイジ。オレのオフクロはへいかのいもうとなんだ。」
「じゃあ、レヴィンさまのいとこなんですね。」
「うん。」
少年は頷いた後、また口を開いた。
「おまえはいくつだ?」
「5さいになったばかりです。」
「そうか。オレは6さいだ。ひとつ、オレのほうがとしうえだな。」
「はい。」
頷くと、少年はニヤリと笑った。
5歳なので、セリフはあえて平仮名にしてあります。
読みにくかったらごめんなさい。




