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美咲ちゃんとカオルくんの素敵なおかしなまじめな対話!!  作者: しろホーネット


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6/7

─島田トオル式・再教育プログラム─ ニートを自衛隊式で鍛える話

長野県・安曇野。

北アルプスの雪解け水が川を満たし、春の風が寮の白いカーテンを揺らしていた。

ここは「ニート再生学校・アズミノリスタート」。

元勝ち組ニートのカオル(40)が創設し、

そして今、教育主任として立っているのは――

島田トオル(52)。

元陸上自衛官、現・軽貨物運送会社社長。

従業員90名、車両70台を束ねる現場叩き上げの男。

彼は18〜22歳の若者4名を担当していた。

• カズト(18)

• リク(19)

• アキラ(21)

• ケン(22)

4人は元ニート。

10畳の部屋で共同生活を始めて2ヶ月が経つ。


朝の号令


朝6時30分。

トオルの声が寮に響いた。

「起床ーーっ!!」

4人は布団から飛び起きる。

最初の1週間は全員が寝坊したが、今は違う。

身体が規律を覚え始めていた。

7時、食堂で朝食。

味噌汁の湯気が立ち上り、4人の顔を温める。

「いただきます!」

声が揃わなかった瞬間、トオルが言う。

「ケン、声が小さい。腕立て20回追加。」

「……はいっ!」

ケンは食堂の隅で腕立てを始めた。

他の3人は背筋を伸ばす。

トオルは厳しいが、怒鳴らない。

淡々と、しかし揺るぎない基準で指導する。


8時、運動着に着替え、筋トレが始まる。

• 腕立て20回

• 腹筋20回

• 背筋20回

これを朝・昼・夕で2セットずつ。

カズトが息を切らしながら言う。

「トオルさん……これ、いつまで続くんすか……?」

「死ぬまでだ。」

「ひ、ひぇ……」

リクが笑う。

「でもさ、最初よりできるようになってるよな?」

アキラも頷く。

「俺、最初は腕立て5回で腕が震えてたのに、今は20回いける。」

ケンは汗を拭きながら言った。

「筋トレって、やればできるようになるんだな……」

トオルが言う。

「お前ら、筋肉は裏切らん。

努力した分だけ返ってくる。

人間関係や社会はそうじゃない。

だからまずは“裏切らないもの”で自信を作るんだ。」

4人は黙って頷いた。


筋トレの後は2キロのジョギング。

4人は列を作って走る。

カズトが息を切らしながら言う。

「トオルさん、なんで4人一緒に走るんすか?」

「仲間意識を作るためだ。

人間は“誰かと一緒”のほうが強くなる。」

リクが笑う。

「確かに、一人だったら絶対サボってるわ。」

昼は自転車で10キロ。

夕方はまた2キロのジョギング。

2ヶ月経った今、4人の体力は見違えるほど向上していた。


午後は座学。

講師はカオルだ。

「よーし、今日は“社会の仕組み”について話すぞ。」

カズトが手を挙げる。

「カオルさん、なんで勉強が必要なんすか?

俺ら、大学行く気ないっすよ?」

カオルは笑った。

「大学に行くためじゃない。

“自分の頭で考える力”をつけるためだ。」

アキラが首をかしげる。

「考える力……?」

「そう。

社会に出たら、正解がない問題ばかりだ。

だから“自分で判断できる人間”が強い。」

ケンが言う。

「でも俺ら、判断ミスばっかしてきたっすよ……」

カオルは優しく言った。

「ミスしたからここに来たんだろ?

だったら、ここで“正しい判断の仕方”を学べばいい。」

4人は静かに頷いた。


夕食後、4人とトオル、カオル、美咲が集まり、

“2ヶ月目の振り返り対話会”が始まった。

美咲が言う。

「今日は、みんなの“本音”を聞きたい。

2ヶ月やってみて、どう?」

最初に口を開いたのは、最年少のカズトだった。

●カズト(18)

「俺……最初は逃げたかったっす。

でも、最近は“できること”が増えてきて……

なんか、自分が変わってる気がする。」

トオルが頷く。

「お前は声が大きい。それは武器だ。」

カズトは照れくさそうに笑った。


次にリクが話す。

●リク(19)

「俺、家ではずっとゲームしてたけど……

ここに来て、初めて“仲間”ができた気がする。

走るのも筋トレも、みんながいるから続けられる。」

美咲が微笑む。

「リクくんは、人をよく見てるよね。

気配りができるのは強みだよ。」

リクは少し赤くなった。


アキラが口を開く。

●アキラ(21)

「俺……正直、社会に出るのが怖いです。

でも、ここで生活してみて、

“怖いけど、やれるかもしれない”って思えるようになった。」

カオルが言う。

「アキラくんは、理解力が高い。

座学の内容を一番早く吸収してるよ。」

アキラは驚いた顔をした。

「……本当ですか?」

「本当だ。」


最後にケンが話した。

●ケン(22)

「俺……22歳でニートって、終わってると思ってた。

でも、トオルさんが言ってくれたんすよ。

“22なんて、まだ赤ん坊だ”って。」

トオルは笑った。

「事実だ。

22歳なんて、人生のスタートラインにも立ってない。」

ケンは涙をこらえながら言った。

「……ここに来てよかったです。」



トオルは4人を見渡し、ゆっくり言った。

「お前ら、2ヶ月でよくここまで来た。

だが、まだ“基礎”ができただけだ。」

4人は背筋を伸ばす。

「半年後、お前らは“選べる人間”になる。

進学でも、就職でも、どちらでもいい。

だが――」

トオルは拳を握った。

「“逃げない人間”になれ。

逃げてもいいが、戻ってこい。

それができるなら、お前らは必ず強くなる。」

4人の目が輝いた。



10畳の部屋に戻り、4人は布団を敷きながら話し始めた。

カズトが言う。

「なぁ……俺ら、変われるかな?」

リクが笑う。

「変わってるだろ、もう。」

アキラが天井を見ながら言った。

「半年後、俺ら何してるんだろうな……」

ケンが答える。

「何しててもいいんじゃね?

でも、今日の俺らより強くなってるはずだ。」

4人は静かに笑った。

その笑いは、2ヶ月前にはなかったものだ。


• 規律は自信を生む。

• 仲間は弱さを支える。

• 筋トレは裏切らない。

• 座学は判断力を育てる。

• 若さは“可能性”そのもの。

そして、

「君たちはまだ終わっていない」

という理念は、若者4人にも確実に根を下ろし始めていた。

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