俺…何故か召喚される。
新作です!
良ければ感想等…よろしくお願いいたします!
「・・・へ?」
故郷の見慣れた森にいた俺の足下・・・
そこに突如描かれた幾何学模様が急に光り出したかと思うと・・・次に視界に飛び込んできたのは、祭かと見まがうほどに集う人の群れだった。
いや・・・そこにいたのは人だけではない。
若く、居丈高で・・・いかにも偉そうな複数の男女。
その傍らには・・・なんだろう?不思議な光りを纏った様々な生き物が鎮座しているではないか・・・!
ある者の側には、鈍く光る銀の毛並みを携えた狼が・・・。
また、別の者の側には、羽を繕っている巨大な鷹が・・・。
そして・・・・・・その若者達の中では一番年上だろうと推測される男の前では・・・
「グルルルルッ・・・!」
それらよりも一際体格の優れた巨大な虎が、唸りながら俺を見ていた。
どうやら、急に現れたらしい俺を警戒しているようで、触れれば何でも切り裂けそうな鋭い歯がこちらを向いていた。
(「いや・・・そんなに威嚇されても・・・」)
理解不能な仕組みによって、間違いなく来たことの無い場所に連れてこられた俺に、当然、敵意などあろうはずが無い。
にも係わらず、何故かその巨大虎が俺から視線を逸らす様子は一切無かった。
「はあ・・・もう。んで、ここは一体何処だ?」
俺はその猛獣の敵意が解かれることを諦めると、改めて自らが連れてこられた場所の観察を始める。
天井は高く、白を基調として作られた巨大な部屋。
(「なんとなく、神殿に似てるな・・・」)
俺はその中央付近に、何らの方法で連れてこられたようである。
数多居る人の装いは、よく見れば様々・・・。
おおよそ、戦いに向かないであろう装飾華美な衣服に身を包んだ麗人もいれば、鋭い切っ先を天に向け、警備の任を仰せつかっているのであろう兵の姿も確認できる。
「な、なんと・・・!」
「ま、まさか・・・!」
ふと背後から声が聞こえたので俺は時計回りに振り向くと、段を重ね3つほど高くなった場所に、これまた特異な格好をした者達が口をあんぐりと開けてこちらを見ていた。
1人は段の終点・・・その中央でやたら豪華な椅子に腰掛ける壮年の男。
そして、その側に侍っているのは全身を黒のローブで身を包んだ小柄な老婆だ。
俺は彼等の表情を見て、1つ悟った。
(「なるほど・・・どうやら俺はお呼びじゃなかったみたいだな」)
方法は相変わらずさっぱり分からない。
だが、おそらくここにいる者達は『人』以外の何かを連れてこようとし・・・何の因果か、俺を呼び出してしまったようである。
まあ・・・間違いだと気付いたのなら結構。
(「早く、俺を元の場所に還してくれ!」)
それさえ叶えば文句は言う気は無いと、そんなことを思っていた・・・その時!
「う、嘘だ・・・」
背後を確認すべく振り向いた方とは反対側・・・自分の直ぐ真横から声が聞こえた。
「ん?」
俺はここに来てようやく、自身の一番近くにいた人間に目を向けることになる。
そこにいたのは1人の女の子だった。
長い髪を後ろでまとめ防具を装備した状態で立っていたその子は、俺に向かって手を翳すような仕草のまま固まっている。
そして、顔色は蒼白・・・失望を禁じ得ないといった表情で彼女はこちらを見ていた。
俺は即座に理解する。
(「ああ、なるほど。俺はこの子によって呼び出されたんだな!」)
そしておそらく・・・いや、間違いなく、俺は彼女のご希望には添えなかったのだろう。
じゃなければ、その顔に説明がつかない。
(「なら、さっさと還してもらわなきゃな!」)
こちとら狩りの最中に、幼なじみの前から急にココに連れてこられたのだ。
アイツだって、きっと目の前からフッと消失した(と思われる)俺を心配しているだろうし・・・。
(「よし・・・!」)
こんな所で物怖じしていても仕方ない。
俺はようやく腰を上げると、未だ手をかざした状態のまま動く様子のない女の方に向きを変える。
そして・・・どうにか最低限、良好なコミュニケーションを築こうと、俺は右手を差し出し・・・
(「握手は・・・果たして通じるだろうか?」)
という一抹の不安を持ちつつ、彼女に話しかけた。
「こんにちは!俺の名前はトール!よろしく!」
「・・・?ヒッ!?」
ズザザッ!
挨拶をしながら、握手を求めて手を差し出す。
我が故郷では友交を求める一般的な行為・・・だったのだが、俺のその一連の動作に対し目の前の彼女がとった行動・・・それは引きつった声を出しながら距離をとる
即ち、明確な拒絶であった。
(「お、おいおい?確かに俺はアンタのお気に召さなかったのかもしれない。だけど、曲がりなりにもお前が俺をココに連れてきたんだろ?なら、最低限でも友交を深めようとするべきじゃ無いのか?」)
・・・にもかかわらず、ここまで邪険な態度をとられるとは!
(「一体俺が何したって言うんだ!?」)
俺は彼女のその態度に流石に憤った。
「おい!いくら何でも失礼だろ!?」
通じているのか定かでは無い言葉を用い、俺は彼女に文句を垂れる。
そこに何か合理的な理由があるわけでは無い。
ただ、こんな所に唐突に連れてこられた挙げ句、挨拶すら無視・・・そのことによって生じた怒りを発散したかっただけであった。
しかし・・・
「う、うるさい!この変態!近寄るな!」
という彼女の一声で、俺はふと、我に返る。
「え?変態?」
どういうことだ?変態・・・?
国が違えば文化が違い、価値観が異なるのは仕方の無いこと。
故に、もしかすると『握手』という動作が、こちらでは無礼になる可能性を少なからず考えてはいた。
しかし・・・いくら思想がズレがあるとはいえ、ここでは手を握ることを求める所作すら『変態』扱いされるものなのだろうか?
(「・・・だとするとマズいな。ココは俺の知る場所とは根本的に価値観が異なるのかも知れない」)
もしこれ以上下手を打ち互いの関係を悪化させることがあれば、いよいよ帰還する術を失う可能性がある。
そう考えた俺は、せめてこれ以上関係を拗らせることを防ぎたいという思いから、出来るだけ真摯な眼差しと礼節を弁えた言葉遣いで彼女に問いかけた。
「あの・・・もし何かお気に障るような行為をしたのでしたら謝ります。どうやら俺・・・いや、私と貴方たちとでは価値観が異なる様子。私はただ、貴方と友交を育みたいと思っただけなのです。よろしければ、私の何が不快だったのか教えて頂けますか?」
使い慣れない敬語を用い、どうにか彼女と友交を育もうとする俺・・・。
すると・・・その返答として帰ってきた言葉に、俺は度肝を抜かれるコトになった!
「う、うるさい変態!お、お前の祖国では、『全裸』が普通なのか!?」
・・・?全裸・・・?
全裸とは即ち・・・すっぽんぽんのこと。
ソレはつまり・・・そういうことである。
パオーンッ!
「・・・ウォウ」
首を巡らし、自身の様子を視認。
そして・・・彼女の言っていることが決して間違いでは無いことを知った俺は・・・
「ん!そうだ!よろしく!」
もう、開き直るっきゃ無い!と改めて握手を求めたのだった!
・・・一応説明しておくが、俺の故郷にも『服を着る』という概念はある。
だから、そんなところで半生を過ごしてきた俺には、当然・・・それなり羞恥心は存在する!
ましてや全裸など・・・あの幼なじみも含め、異性に見られたことは無かったはず・・・。
だから、恥ずかしい気持ちは勿論あったのだ!
(「だけど・・・ここで慌てて股間を隠したところで何になるって言うんだ!?」)
という諦めと、自らの自尊心を優先した・・・その結果としての握手の再申し込みであった。
のだが・・・
「ちっ・・・近寄るなあああああああ!」
俺の求めた彼女の手・・・それは自らの手に収まることは無く・・・
バチイイイイイイイン!!!
さもありなんというか・・・案の定というか、その小柄な手は見事に俺の頬を打ち抜いたのであった!
ここまで読んでいただきありがとうございます!
これからも、鋭意作成し続けたいと思いますので、応援の程、宜しくお願いいたします!
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