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#13 TS美少女は村に降り立つ。

 箒は、時速40キロ前後で飛んでいた。

 これ以上早くするとかなり揺れることがわかったし、あまり遅いとおしりがもたなそうであった。


 ……別にくい込んだりはしないけど、単純に体重を細い柄で支えてるのだから痛くなる。

 私がそんなことを考えていると、マーシャちゃんがぽつりと漏らす。


「けっきょく、おかあさんにあげようとおもったやくそう、とれなかったなぁ」


 マーシャちゃんのその呟きを聞いて、私はほくそ笑んだ。ふふふ……マーシャちゃん?私を誰だと思ってるんだい?

 そう私が言うと、「ユナおねえちゃん」と返ってきた。……うん、そうだけどそうじゃない。


「ふふふ……実はね、私、魔女なんだよ?」


「しってた」


「知ってたの?」


「だって、いまおそらとんでるし、おうちすごかったし、あんなおりょうりのほうほうなんてみたことないよ。」


 ……そういえばそうだった。私は自重するつもりで全く自重してなかったかもしれない。この世界の人に会ってないせいで感覚が麻痺してたのかも。それはともかく!


「マーシャちゃんが昨日倒れてた時、私が何をしたか、分かるかな?」


 そう聞くと、しばらく考え込んだ後、目を見開いて私の方を見てくる。その顔はわかったんだね。頭の回転が早い子は好きだよ?


「私が、マーシャちゃんのお母さんを診てあげる。」


 つまりは、そういうことだ。


「ユナおねえちゃんだいすき!!!」


 そう言うとマーシャちゃんは私に飛びついてきたのだった。

 ……バランスが崩れて箒が落ちかけたのは言うまでもない。何とか持ちなおしたけど。私えらい。すごい。







 眼下に広がるのが森から畑に変わり、村が見えてきた。あれがマーシャちゃんの村なんだろう。


 ……まあ村というか集落的な大きさだけど。ちなみにフィネス村と言うらしい。

 私が「箒を下ろせるような広い場所ってある?」と聞くと、村の真ん中にある広場がいいと言われたのでそこに箒を飛ばす。



 広場らしき場所まで行くと、そこには沢山の人がいてこっちを見ていた。

 装備を整えた者が多いことから、マーシャちゃんの捜索隊かと思い至る。やっぱり私の予想は当たっていて、朝になってから動こうとしていたようだ。

 私は人を避けるようにして、広場の隅にゆっくりと箒を下ろしたのだった。





 俺はありえないものを見て広場で呆然としていた。

 マーシャちゃんを乗せてきた少女は、マーシャちゃんを下ろすと箒を仕舞った、いや消したのか……?


 いや!?物理的にありえないだろ!?

どうやって何処にしまったんだよ!?


そう、本当にいきなり何処かへと消えたのである。


 ……魔法の類だろうか?俺は昔冒険者をやっていたから多少の覚えはあるはずだが、あんな魔法は見たことがない。

それだけで、あの少女が相当な魔法使いであることがわかった。


 ……いやまあ、箒で飛ぶ時点で色々おかしいんだけども。

 捜索隊のみなが呆然とする中で、少女はマーシャちゃんに連れられて、何処かへ行こうとする。大方マーシャちゃんの家に帰るのだろうが。


 マーシャちゃんが夜になっても帰ってこないと知った時のメリザさんの気の病み様は大変なもので、体調が良くないのにマーシャちゃんを森に探しに行こうと家を飛び出し、俺たちが数人掛かりで説得したのであった。


 しかし、あの少女は一体なんなのだろうか。

 見たこともない凄い魔法を使い、俺達が数十人がかりでこれから探しに行こうとしていた、夜の森で迷っていた(と思われる)マーシャちゃんをたった1人で見つけ、更にはここまで送ってくれたのである。


 彼女にマーシャちゃんを送ってくれたことに感謝し、あわよくば彼女について質問をしたい。


 そう思って俺はマーシャちゃんの後を追うのであった。







 私がマーシャちゃんに連れられて来たのは、一軒の木造の家であった。言っちゃ悪いけどちょっとボロい。


 私の家が創りたてだからそう見える訳じゃなくて、周りの家とかと比べても、相対的にボロい。マーシャちゃんは家に着くとドアを大きくあけて中に飛び込む。


「おかあさぁーーーーん!!!!!」


「マーシャ!?マーシャなの!?」


「おかあさぁーーーーん!!!!!」


 中から部屋着の女性が出てきて、マーシャに抱きつく。一目見て、マーシャちゃんのお母さんだってわかった。


 だってよく似てるもん。マーシャちゃんを大人にしたらこうなりそうって感じそのまま。

 ただ顔色が悪い。体調が優れないと言うのは人目見てわかった。早く診てあげたい。


けど、


「マーシャ!どこへ行ってたの!?心配したじゃない……!」


「ごめんなさいー!ごめんなさいー!!」


「もぅ……!心配かけてっ……!」


 今ここで口を挟むのは野暮というものだろう。私は空気の読める子なのだ。








 それから数分後、私はマーシャちゃんのお母さん(メリザさんと言うらしい)に今までの経緯を説明する。


「……とそういう訳で、ちょっと私に診させて欲しいんですけど……!?」


 そこまで説明した時点で、メリザさんは泣き出してしまう。その涙の理由は言うまでもないだろう。

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